真実! 清潔! 刷新!
 自然共生!

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街頭演説集「自然共生」第3号

第3号目次

 *クリックしてください。ページが開きます。
第 96回 旅タクシーの改革
第 97回 地球温暖化防止対策
第 98回 呉市農業委員の選考方法
第 99回 呉市非常勤職員の待遇改善
第100回 安芸灘大橋通行料無料化の虚構
第101回 障害者の就労とA型事業所難民
第102回 小中学校運営に係る前途資金
第103回 学校校庭芝生化の総括
第104回 中高一貫教育と小中一貫教育
第105回 学校跡地の活用策
第106回 公金コンビニ収納の導入
第107回 特定保育事業における税制優遇措置
第108回 義務教育学校への早期移行
第109回 そごう呉店跡地の活用策
第110回 包括外部監査の成果
第111回 合併町地域まちづくり振興事業の廃止
第112回 衆議院議員総選挙の結果分析
第113回 呉市長選挙の総括
第114回 人権啓発推進事業の差別実態
第115回 中央公園の防災公園化
第116回 コテージかまがりの増築
第117回 環境・健康募金
第118回 青山クラブ等の活用方針案
第119回 介護予防と認知症対策
第120回 障害者就労継続支援A型の在り方
第121回 自閉スペクトラム症の早期発見・早期介入
第122回 特定健康診査
第123回 青山クラブ保存方針
第124回 完全米飯給食
第125回 「呉市版生涯活躍のまち」構想
第126回 豊島小学校跡地活用計画
第127回 第4期くれエコアクションプラン
第128回 財政健全化
第129回 公共建築物の計画修繕
第130回 グリーンピアせとうち公募売却の白紙化
第131回 ワンダーランド検討委員会と呉駅前地区再開発
第132回 内陸部産業団地適地調査
第133回 農薬空中散布
第134回 緩やかなお節介事業
第135回 上下水道局移転
第136回 くれワンダーランド構想推進会議構成員の抽出
第137回 校務支援システム
第138回 呉駅周辺地域総合開発とそごう再々開発
第139回 老人集会所の指定管理
第140回 定住促進策
第141回 消防団員の報酬支払い方法
資料3

Facebook 2017.6.17

旅タクシーの改革で、呉市の観光振興を図れ!

 去る6月13日は96回目の街頭演説。テーマは旅タクシーについてです。
 これは、呉市が大和ミュージアムのオープンを翌年度に控えた平成16年度からスタートさせた施策です。呉市にJRやフェリーで訪れた観光客に、市内を安価にタクシーで周遊してもらうシステムです。
 当初は7コースでしたが、平成24年にNHK大河ドラマ「平清盛」が始まった際、ドラマ館が1年限定でおんど観光文化会館「うずしお」でオープンしたことに併せ、私の提案で「清盛コース」が追加となりました。
コースによって運行時間と料金が異なり、呉駅近くにあるくれ観光情報プラザに申し込んで予約をし、そこが発着点となります。例えば清盛コースだと2時間かかり、4人乗り小型タクシーで8,290円です。これは実際のタクシー運賃と比べ、格安に設定されています。他にも5人乗り中型、9人乗り大型と3種類の料金設定がなされています。
ところが、呉市の制度「旅タクシー」とは別に、JR西日本の制度である「駅から観タクン広島」があるのです。これはJRが観光資源のある駅を選別して全国展開しているシステムで、広島県内では呉駅だけです。つまり呉駅が発着点となり、JRを利用して訪れた観光客向けサービスではありますが、実際は誰が利用しても構いません。
 問題は、呉市において類似施策である二つの観光用タクシーが混在し、料金設定が異なっていることにあります。観タクンにはコース名称はなく、1コースしか用意されていません。そのコースは旅タクシーの清盛コースとほぼ同じで、うずしお、音戸の瀬戸、アレイからすこじまとなっており、運行時間も同じにも関わらず、小型・中型タクシー限定で、料金は6,200円と、旅タクシーに比べ 2,090円も安価に設定されています。因みに清盛コースでの5人乗り中型車の場合、10,200円ですから、これと比較すると、観タクンの方が4千円も安価になっているのです。
実は観タクンは、JR呉駅に乗り入れ許可を得ている5者で構成する呉駅構内タクシー協会しか加盟が許されません。5者の内、個人タクシー協会を除く4法人が観タクンに加盟しています。方や旅タクシーは、広島県タクシー協会呉支部会員法人なら加盟資格がありますが、途中からの脱会法人もあって、現在は僅か9者に止まっています。しかも観タクンと旅タクシー双方に加盟しているのは1法人しかありません。逆に、同法人タクシーに乗車した場合、旅タクシーと観光タクンと双方を利用した場合、料金が異なる奇妙な体験をすることになり、呉市の観光行政に対し、不信感が生じかねません。
 それでは、この二つの類似制度を統合することはできないのでしょうか?
 旅タクシーを開始する際、観タクンの前身が既にあったのです。その後観タクンとして現在の形になったのは、平成24年度のことです。旅タクシーを開始する前に、当然呉市はJRと話し合いをした形跡がありますが、物別れに終わったのではないかと推測しています。何故なら、観タクンはあくまでも呉駅構内タクシー協会が対象であり、県タクシー協会呉支部が対象の旅タクシーとは加盟資格が相入れない、ということが先ず挙げられます。次に料金です。JRは格安にすることで、JR利用客増を図りたいとの思惑が当然あります。だから旅タクシーの料金設定は高いということでしょう。
 では、観タクンの料金を低廉化することで、通常料金の穴埋めをJRがしてくれるかといいますと、それは加盟タクシー会社が自ら被っているため、JRにとっては痛くもかゆくもありません。泣きを見ているのは呉駅構内タクシー協会の4法人です。では同協会が、この金額を受け入れられないと訴えて、運輸局に申請しなければよいのですが、そうすると、呉駅構内への入場特権をJRから剥奪されかねないという危惧を頂いているのでしょう。つまりJRに対して忖度していることになります。JRとしては、その強い立場を利用して暗黙の圧力をかけていることになり、独禁法違反の可能性があるのです。
 
 さて、両制度の統合が困難であれば、その料金格差を埋めるのは、サービスで勝負するしかありません。実際旅タクシーは、運転手自らが観光施設に乗客と一緒に降りて、無料ガイドすることになっているのです。これが観タクンとの最大の違いであり、呉市としては、このメリットを大宣伝に宣伝する必要があります。
 ところが、呉市はPRがへたです。呉観光ホームページ「くれナビ」を開いても、トップ画面から旅タクシーに行き着く道がありません。カスタマ検索で「旅タクシー」で検索すればようやく出て来ますが、呉市外から訪れる観光客が「旅タクシー」をキーワードにできるはずはありません。
 しかも旅タクシーのページい行き着いても、肝心なコース巡りの紹介文、そして観光資源の写真が掲載されていないのには驚きました。ただ、箇条書きで列記しているに過ぎず、味もそっけもないページに仕上がっています。せめて、チラシの両面をPDFで掲載するべきでしょう。本来ならば、コースの地図、観光地の写真と概要説明を記載するのが当然です。
そして肝心なのは、「運転手の無料ガイド付き」、「通常料金より安価」と、お得感が感じられるようにする宣伝文句も皆無なのです。
加えて、大和ミュージアムやてつのくじら館を訪れた観光客のために、そこを出発点とする視点が欠けています。大和ミュージアムから観光情報プラザまでは徒歩で5分はかかります。これでは不便極まりありません。出発点が大和ミュージアムであっても、帰着点は観光客の希望により、呉駅や呉中央桟橋、宿泊予定のホテルへの自由設定を可能にするべきでしょう。そのこともPRすべきです。
 また、大和ミューアムの指定管理者は日本旅行や凸版印刷が入っておりますので、そこと連携を密にしてパック商品化や、同施設内での旅タクシー案内チラシの配布やポスター掲示をするのです。更には、呉市旅館組合と連携して、必要な宿泊施設には案内チラシ配布やポスターを掲示すると効果は上がるでしょう。飛行機で広島空港に降り立ち、エアポートバスで呉市を観光に訪れた方は、ホテルに先ず直行される場合もあったり、ビジネスを昼間済ませてから、夜宿泊される方もおられますので、宿泊施設でのPRは一定の効果があります。その際は、ホテルまで旅タクシーに迎えに来ることも可能にするのです
 そして、ホテル接客係の職員に対して、旅タクシーの説明会を行ったらよいと考えます。
ところで、ここで切実な問題があります。運転手の無料ガイド付きを謳い文句にしたとして、本当に運転手がガイドできるのかということです。
 旅タクシーに登録するには、会社の代表運転手が呉市主催の研修会を受講する必要があります。毎年研修会は行っているようですが、1度講習したらその運転手の所属する会社は旅タクシーとして登録されますので、それっきりになっている可能性を否定できません。 ということは、同じ会社の運転手でも研修を修了した者と、していないものが混在することになります。しかも過去研修をした運転手が既に退職しているかも知れません。これらのことを呉市は全くチェックしていなかったことが、この度判明致しました。
 実は、観光客からくれ観光情報プラザに申込の電話があった際、登録9者のローテーションでタクシーを呼びますから、登録会社であっても、未研修の運転手が迎えに来る可能性も否定できない訳です。しかも、ガイドマニュアルも作成していなかったのです。この観光施設では、これだけは説明して欲しい内容を列記して、運転手に配布しておくべきでしょう。
つまり推察致しますと、実際観光施設に乗客と一緒に降りてガイドしている運転手は稀なのではないでしょうか?これでは、「運転手の無料ガイド付き」はへたに宣伝すると、逆にトラブルになるリスクもはらんでいることになります。
 そこで私案では、この研修を徹底して受けてもらい、研修を受けた運転手の座席には、「無料ガイドOK」の如くステッカーを貼ることです。登録会社で誰が研修を修了しているのか、受講したのかも呉市においてデータ化することも必要です。
 ただこうなりますと、いくら研修費が無料であっても、その分多大な時間を使いますので、営業時間が削がれます。そのため、実際の運行料金との差額を呉市が予算化して埋め合わせる、即ち補助金を支出することを提案致します。そうすれば、呉市の大々的宣伝効果によ、利用客が増え、しかもタクシー会社にとって利用料金収入も安定するので、加盟会社が増えるでしょう。 
 また、今後はコースの見直しも必要になって参ります。過去の利用実績を踏まえ、利用の少ないコースを他と統合したり、重複している施設のコースを統合したり、更に、「この世界の片隅にコース」や「日本遺産コース」を新設したりすることも大いに検討すべきです。
 私は、呉市が観光振興を図る上で一皮むけるためにも、このような改革を早急に検討することを、今後訴えて参る所存です。

Facebook 2017.6.25

地球温暖化基金創設で、カーボンオフセットへの活用を!

 去る6月19日は97回目の街頭演説。テーマはこの度の呉市議会定例会で一般質問した地球温暖化防止対策です。
 地球温暖化対策法第21条では、地球温暖化対策に関し、地方公共団体実行計画を策定することになっていますが、呉市ではその内の区域施策編が環境基本計画10ヶ年の中付け5ヶ年となっており、これでは計画の整合性と市民啓発に難点が生じます。しかも実行計画の呉市役所分である事務事業編5ヶ年計画は、くれアクションプランとして、更に外付けとなっており、混乱状態で的が絞れない格好となっています。
 今年度は、第2期環境基本計画の5年目に当たり、中間見直し時期となっており、実行計画は呉市内全体の区域施策編、呉市役所に特化した事務事業編共に5ヶ年計画の最終年度で、来年度から第4期5ヶ年計画を新たに策定する時期となっています。
 そこで私は、地球温暖化対策実行計画を独立化し、且つ区域施策編と事務事業編の統合を訴えました。しかし市長はその気がないようで、誠に残念な答弁となりました。
 人口23万人の呉市と人口80万人の浜松市を比較してみましょう。平成26年度における温室効果ガス排出量は、呉市が549万t、浜松市が545万tと、人口に大差があるにも関わらず、地球温暖化に通ずる温室効果ガス排出量に殆ど差がありません。これは、呉市に重厚長大型産業が林立していることに主原因があります。
 そこで私は、新条例制定若しくは既存条例の改正で、一定規模以上の企業に対し、廃棄物減量計画に加え、地球温暖化対策計画の策定を義務付けるべきと主張しました。
ところで呉市は、マイバッグ運動を後押しするため、有志企業と提携を結んで、店舗レジ袋の有料化に過去踏み切りました。ところが、その後参画企業は一向に増えていないのが実情で、有名無実化しています。そこで、食品スーパーのみならず、他の小売業にも対象を広げつつ、参画店舗名をホームページで公表したり、ステッカーを店先に掲示するなどの方法で、マイバッグ運動の徹底化を市に促しました。
 次に、呉市役所が手本を示すくれエコアクションプランについて考察してみましょう。
 先ず、呉市公共施設の電力供給契約は、大口契約が自由化された平成17年度から、本庁舎のみにおいて入札を実施し、後の全ての施設は中国電力との随意契約となっています。
ただ電力会社によっては、発電方法が化石燃料だったり、自然再生エネルギーだったりまちまちです。しかも昨年度からは、小口契約も新電力に開放・自由化されました。
そこで可能な範囲で、各施設の電力供給契約は、価格だけではなく、二酸化炭素排出係数とセットにした総合評価で入札等を実施することが必要だと訴えました。呉市は検討するとの答弁でした。
 さて、環境省が定める空調設備における室温設定基準は、夏は28度、冬は19度とされています。ところが本庁舎では、各会議室において、自由設定が可能となっています。
 そこで本庁舎に止まらず、全体制御が可能な施設においては、基準室温に設定すると共に、ある程度時間が経過したら、自動的にストップするシステムを導入するべきです。特に全体制御が最も簡単で、その気があれば、明日からでも実行できる訳です。
 ところが全くやる気がない旨の答弁があり、市長の環境意識の低さが問われなければならないでしょう。
 ところで本市では、今年度と来年度の2ヶ年をかけて小中学校の全普通教室に空調設備を設置することにしています。この愚策により、第3期くれエコアクションプランが総崩れとなりました。教育委員会議でも、温室効果ガス排出量は格段に増え、地球温暖化に拍車をかけるとの議論は皆無でしたし、庁内組織であるエコポリス推進会議でも議論は一切なされておらず、無力化を露呈しました。教育長は市長が任命する訳ですし、推進会議のトップは市長を支える副市長が務めますので、市長のイエスマン組織と成り下がっているのです。
 この度の答弁では、全普通教室で空調冷房が稼働すれば、既存の各教室扇風機2台と比べ、年間600tの温室効果ガス排出になるということです。これが呉市役所全体の1%にも満たないことで、他の部門で吸収は可能といういい加減な答弁が返って来たのには驚きました。1%近くの温室効果ガスを減らすのは並大抵のことではできません。昔に比べて夏が異常に暑いとの理由から、夏休みがあるにも関わらず空調冷房にすることで、益々二酸化炭素を排出して地球温暖化に拍車をかけていることが、全く解っていません。
 一方、本市は平成16年度途中から家庭ごみ収集において、有料指定袋制度導入に踏み切りました。ところが、この売上歳入は一般財源化しますので、市民の努力が目に見える形で環境に貢献することができません。
 そこで、指定ごみ袋売上歳入や回収資源物売却収入を独自の歳入として地球温暖化基金に積み立て、例えば地球温暖化対策費に特化して活用し、その収支をホームページや市政
だよりに掲載するのです。そうすることで、市民の努力が地球温暖化防止に役だっていることが一目瞭然となり、これこそ市民啓発における最大の方法でしょう。
 全普通教室における空調冷房実施に伴う二酸化炭素排出は、当初のプランには無かったのですから、この罪滅ぼし策として、カーボンオフセット事業を展開することを検討すべきです。これは温室効果ガス削減目標に対し、努力しても届かない部分を埋め合わせるために、温室効果ガス吸収事業等に振り向け、それを国や県が認証するシステムです。
 東京都府中市においては、平成23年度からの実行計画にカーボンオフセット事業を位置付ける際、22年度から家庭ごみ行政回収をダクトボックス方式からステーション有料指定袋方式に転換したことを動機付けにしました。
 同市では市内に森林整備エリアがないため、姉妹都市である長野県佐久穂町の森林整備事業をサポートすることで、長野県よりカーボンオフセットの認証を得ています。
呉市では実行計画の中にも、森林等二酸化炭素吸収源確保を謳っており、エコアクションプランでは、市有林の間伐を上げています。但し切捨間伐では、森林全体の実質的な二酸化炭素吸収量増加に疑問が残りますので、併せて植林も行うと同時に、間伐を売却する事業を展開してはどうかと提案致します。これまで本市がそれを行って来なかった理由として、間伐搬出のコストと売却収入が逆ざやになるリスクがあるものと推察致します。
 しかしカーボンオフセットは、ある意味では二酸化炭素吸収量を購入する意味があるため、新たな費用発生は避けて通れません。そこでその必要な穴埋め財源として、地球温暖化基金を活用するのです。
そうすることで、少なくともエコアクションプランの実績を毎年度細かく広報し、合わせて基金活用の流れも広く市民や国民に知らしめるのです。これでこそ、市内企業に対して範を示すことになり、特定企業への計画義務付けとチェックも堂々と行えるようになるのです。

Facebook 2017.6.29

農業委員の選出方法を透明化せよ!

 去る6月26日は98回目の街頭演説。テーマは去る呉市議会6定例会最終日に緊急上程された呉市農業委員の任命についてです。
本議案は、昨年度から施行された改正農業委員会法に基づき、これまでの選挙による委員選出ではなく、推薦と公募によって選定された委員候補者を市長が議会の同意を求めるものです。従いまして、過去における様々な市長任命に係る人事案件とは異なり、議案提出に至るまでに評価委員会が採点評価を下した上での候補者となっている点が大きく異なっていることを、先ず押さえておかねばなりません。
 具体的には、被推薦者11名、応募者20名と合計31名の中から、法改正に伴う農業委員等定数条例により、定数枠の19名の候補者が挙げられている訳です。つまり、評価段階での落選者が12名おられることとなります。
そこで、同意を求められた議会としては、31名の中から19名に絞られた基となる選考基準、即ち、評価項目と配点表が示されなければ判断ができません。
 ところが、議案提出時点でこの評価項目配点表は非公開となっており、それを明示する議案資料もないのです。人事案件ですから、どうせ議会は否決しないだろうとの執行部の意図が透けており、議会軽視も甚だしいと考えます。
 しかもこの評価項目と配点表は、本議案の可決を待って、ホームページで公開されるとの答弁がありました。つまり、被推薦者や応募者にとって、結果が明らかになるまでその選考基準が分からないことを意味しています。加えて、募集を締め切り、候補者名簿が出揃った時点で始めて評価委員会を開催し、4名の委員によって評価項目と配点表を決定し、同時に採点し選考しているのです。候補者名簿を見て選考基準を決めるとうことは、恣意的に特定の人物を当選させることが理論上可能となりますので、選考過程において不透明感を払拭できません。つまり、後出しじゃんけんと同じ理屈であって、相手の手を見て有利な手段を講じていると言われても仕方ないでしょう。
 この度の法改正は、現場の実態を鑑み既存の選挙制度を廃止したことで、最も公明で透明度の高い選考ができなくなっているのですから、不透明感のある選考方法は極力避けなければならないのは当然です。ということは、募集前に第1回評価委員会を開催し、そこで評価項目と配点表を予め決定し、それを公開した上での募集に踏み切るべきだったのです。
実際、この度の委員候補者を見てみますと、被推薦者が11名中8名も当選しています。方や応募者は20名ですが、2名は利害関係のない第三者を選ぶ必要がありますので、実質18名の内、半数の9名しか選定されていません。しかも認定農業者等7名、認定農業者等に準ずる者1名と計8名の内、1名の認定農業者が落選しているのです。
 法の原則は、認定農業者等が過半数である10名いなければならないのを、例外規定を議会の可決を以て採用し、認定農業者等、及びそれに準ずる者とで1/4以上である最低5名を必要としました。ということは、法の趣旨からすれば、認定農業者等は最優先されるべきと考えますが、その1名を落としているのです。ではどのように採点したのか、採決に当たって議会には示されるべきが、それがなされていないのが実情なのです。
 一方、この度の募集に当たっては、農地利用最適化推進委員も併せて実施されました。その結果、農業委員との重複応募者は僅か6名で、しかもその内4名が落選しています。 推進委員は条例で20名となっていますから、大いに定数割れとなるため、その後第3次募集まで行っています。
 ということは、推進委員も併せて立候補した方は、農業委員が落選しても、ほぼそちらで救済されることになりますので、推進委員立候補者を敢えて落選させたのではないかとの疑念さえ生じて来るのです。うがった見方をすれば、これまでの農業委員の定数は38で、有識者枠の8名を除くと30名いました。それが 19名に減らされる訳ですから、現職農業委員の救済策が推進委員という訳なのです。
 第2として、評価委員会は僅か1度しか開催されておらず、法の例外規定採用案が本
定例会初日に議案提出された時には、既に19名の候補者が内定していたという点です。ということは、認定農業者等及びそれに準ずる者を1/4以上にすることを、議会が否決することはないことを前提にしていたのは明白です。これは、議会軽視の何ものでもありません。
 実際、本会議4日目に例外規定採用案である議第60号を可決した直後に、間髪を入れずに代表者会議が招集され、本定例会最終日に提案される予定の本案における19名の名簿が示されたのです。しかもこの名簿には、被推薦者や応募者の区分は記載されていません。これも議会に対して説明不足です。人事案だから議会は慣例によって否決することはあり得ないとの当局の目算が透けて見える訳です。
 結局、例外規定採用の可決前に既に任命案が内定していたという事実は、二元代表制という民主主義のルールを逸脱しており、大いに疑問を感じざるを得ません。
 第60号の議案質疑で私が提案した様に、同議案を可決した後速やかに2回目の評価委員会を招集し、そこで採点すべきだったのです。幸いにも4名の委員の内1名は現職農業委員であり、後の3名は本市の管理職ですから、それは可能だったはずです。もし外部委員が多く同一定例会中に速やかに招集できない場合は、早めに募集をかける手法も一法でしょう。即ち、3月定例会で例外規定適用を一旦採決し、可決を受けて6月定例会で人事案を提出する訳です。同じ議会でどちらも採決しよとする場合は、長丁場である3月定例会で両方の議案を提出する方法もあり得たでしょう。
 ということで、法改正後初めてとはいえ、呉市の不透明な農業委員選出方法に対し、私は苦言と疑問を呈しました。任期満了となる3年後において、適切な選出方法への改善を強く求める意思表示から、討論を行った上で、本議案に唯一反対票を投じたものです。

Facebook 2017.7.8

呉市非常勤職員の待遇改善策を提唱!

 去る7月3日は、前回に続きナビの故障で、テーマバックミュージックがないままでの99回目の街頭演説。テーマは、先日の一般質問で採り上げた呉市非常勤職員の待遇改善についてです。
 本市における非常勤職員には、産休・育休補充や繁忙期に雇用する臨時職員と嘱託員に加え再任用職員があります。
 中でも臨時職員は一般職同様、週38時間45分労働となっておりますが、地方公務員法第22条第5項によりますと、契約期間は半年を限度とし、更新は1回までと記述されています。つまり、最高1年間の継続雇用ということですが、一旦退職して、例えば僅か2週間程度空けてから再度採用する、実質的な継続雇用があったことを、この度の質問で当局は認めました。これは法のグレー部分であり、厳に慎むべきです。
 次に、臨時職員と嘱託員の待遇差に関して考察してみます。
 枚方市非常勤職員一時金等支給事件では、人事院規則の国家公務員における非常勤は常勤の3/4を超えているため、平成22年に大阪高等裁判所において適法判決が出ています。ということは、一般職と同一時間労働である本市の臨時職員は手当支給が、条例で定めることにより可能となりますが、本市では実施していないのが実情で、少なくとも通勤手当は支給すべきです。
 因みに本市の嘱託員には、放課後児童会指導員、学校業務主事(用務員)、生徒指導員、まちづくりセンター館長、学校給食調理員の他、各部署に配置されています。
 また、「臨時・非常勤職員の任用等について」平成26年度に総務省通知があり、それを受け本市は、平成27年度から嘱託職員の報酬の大幅改定を実施し、且つ通勤手当に代わる措置として、1日4時間勤務等パートを除く嘱託員に対し報酬加算を設けました。
 ところが、臨時職員に対しては報酬加算はなく、不公平となっています。この理由として当局はあくまで短期間採用であるからとの答弁でした。
 しかし、嘱託員に対し報酬加算したとしても、実質的な通勤経費に満たない場合が多いとの現場の声を聴いております。また加算したとしても、通勤手当と違って、課税対象が増え、納税の負担増に繋がります。ここは重要なポイントです。
 地方自治法第203条の2第3項には、短時間勤務を除く非常勤職員には費用弁償の支給が可能としています。この短時間勤務というのはパートのことと推察されますが、本市の29時間労働である嘱託員や38時間45分労働である臨時職員に対しては、通勤経費分を費用弁償することができるはずで、これを本市では敢えて怠って来ました。
 更に非常勤職員に対しては、地方自治法第203条の2第4項で、「報酬、費用弁償の額や支給方法は条例で定めなければならない」と謳っています。これを給与条例主義と呼んでいます。にも関わらず、平成27年12月定例会での私の一般質問に対し当局は、「職員給与条例第17条や報酬・費用弁償条例第2条第28号で、任命権者が常勤職員との均衡を考慮して支給すると条例委任しており、多種多様な非常勤職員であるため、適法である」と強弁致しました。これは議会の意志を反映する道を閉ざすという意味で、執行部の独善を許すことになります。
 ところが、茨木市臨時的任用職員一時金支給事件では、平成22年に、非常勤職員が常勤の3/4を超えなくても常勤と評価しつつも、条例根拠なきままでは違法との最高裁判決が出たのです。それを踏まえ、多摩市では既存の規則から、嘱託職員、非常勤一般職員、臨時職員に関し任用3条例を制定しました。
 27年度の私の一般質問に対し、当局は「条例化を検討する」と答弁しましたが、最高裁判決の重みを軽視し、その後検討を怠って来たことが判明しました。
 一方、高齢者雇用安定法の平成25年改正により、定年退職後労使協定での条件を廃止した上で、原則65歳までの再雇用が可能となり、それを受けて公務員もそれを踏襲するようになりました。
 加えて、平成25年3月付け総務副大臣通知「地方公務員の雇用と年金の接続について」では、無年金期間において希望者にはフルタイム勤務を推奨しています。それを受け多摩市では、職員組合との協議により、無年金期間は、週5日のフルタイム勤務か、週4日の短時間勤務を選択できるようにし、年金支給後は短時間勤務に一本化することにしました。
 本市では、一般職定年退職者には選択の余地がなく、再任用は年金開始年度までに止まっており、しかも短時間、即ち週30時間です。
 結局は、「再任用を希望する職員をフルタイム職に再任用することが困難であると認められる場合等での短時間勤務を可能」とする逃げ道をフルに活用していることが判りました。
 では、一般廃棄物収集業務や給食調理員等現業職、消防吏員においては、一般職と異なり、過去において定年退職後最長5年間の再任用を認めて来ました。これでは既得権益が残存し、一般職との不公平が生じます。この際、一般職と同様の待遇に改善すべきす。
 と申しますのも、臨時職員や嘱託員には期末手当(ボーナス)を含む手当支給がないの
に比べ、再任用職員には認められているため、大きな違いがある訳です。
 また、旧交通局では民営化直前に、国の解釈を踏襲し、公営企業であるにも関わらず、運転士を現業職とみなし、行政職俸給表一から二に適用改定を検討し、給与を減額しました。
 そこで現業職に関しても、福山市が近年改定した様に、人事院規則を参酌して行政職俸給表二を適用するべきです。現給保障されますので、すぐに職員には影響はありませんが、長い目でみれば昇級金額が圧縮されますので、財政上効果が出て参ります。
 定年退職後の再任用5年間保証、行政職俸給表一の適用遵守の二つは、現業職における大きな既得権益だった訳です。
 政府では働き方改革を進めており、先だっては地方公務員法が改正され、平成32年度から一部の非常勤職員に手当が認められるようになります。それに合わせて地方自治法も改正されるでしょう。だからと言ってそれを待つのではなく、今すぐ改革に手を染めるべきなのです。

 Facebook 2017.7.14

「安芸灘大橋通行料無料化」マニフェストの虚構と真相

 去る7月10日は、記念すべき100回目の街頭演説。CDプレーヤーと接続し、テーマである「炎のランナー」をバックミュージックに復活させ、国会議員に先を譲っての熱弁33分間でした。
 テーマは、秋の呉市長選で4名の出馬表明者の内3名がマニフェストに採り上げている、安芸灘大橋通行料の無料化についてです。
 安芸灘大橋は、広島県が全額出捐した広島県道路公社による県道建設事業であるため、呉市は平成18年度より、県に対して通行料の値下げを要望し続けて参りました。
 ここで、本橋建設の経緯について述べてみます。これは、平成20年度に無料開通した豊島大橋と同様、県直轄事業として、公社に頼らない手法を採用することも選択肢としてありました。この場合は、国庫補助を受けて県が直接事業主体となり、財源は県税となりますので、供用開始時より通行料が無料となる訳です。その代わり、毎年度小出しに予算化されますので、供用開始時期が大幅に遅れることになります。
 当時、下蒲刈町が県に対し、県直轄事業では供用がかなり遅れるため、公社事業を切望された経緯があります。この場合の財源は、受益者負担原則の下、通行料となります。即ち、県が保証人となって、公社が起債(借金)し、それを30年償還するのです。その結果、平成4年度に事業着手し、12年1月11日に供用開始となり、下蒲刈町として、平成15年度末の呉市への編入合併前に事業の完成を見ることができたのです。
 橋の取り付け道路を含めた総事業費は500億円。その内110億円が公社による有料道路事業となっています。通行料が当初普通車700円、軽自動車550円と割高なのは、予想される通行量から30年償還を見込み計算した結果なのです。
 昭和36年12月に開通した音戸大橋が同49年と、僅か13年で無料化になったのは、予想以上に通行量が多く、30年後を待たずに債務を償還できたことによります。安芸灘大橋の場合、毎年平均3億7千万円ずつ通行料金収入があれば、予定通り平成42年から自動的に無料となる訳です。
但し、生活道路に位置付けられながら、島民人口から鑑みて、通行料の割高感を抑制するため県は、回数券割引率を他の公社事業道路よりも高く設定したことを知って欲しいのです。例えば平成24年度末に債務償還を完了し無料化となった尾道大橋、平成32年2月に無料化予定の広島熊野道路は、100回券で共に2割の割引です。それに対し安芸灘大橋は3割引に設定されていたのです。具体的には、安芸灘大橋における普通車の100回券は、本来なら7万円のところ、4万9千円に設定されたのです。
 それに加え、呉市へ編入合併する前の下蒲刈町と蒲刈町は、各々独自施策として、島民による回数券購入に上乗せ助成していました。下蒲刈町は、県からまとめて回数券を購入販売する際の手数料を基金として積み立て、その穴埋め財源に活用。蒲刈町は一般会計(税金)を充てていたのです。
 その後両町が呉市に編入されると、平成21年度からは割引率を統一化し、同時期に編入合併した豊浜町、豊町両町にもその恩恵を拡大したのです。これは島民のみならず、同安芸灘4町へ通勤や通学する者も対象でした。具体的には、100回券を購入すれば、公社の割引で4万9千円のところ、更に2,580円値引き、46,430円となっていました。
 一方、呉市の要望を受けて、ついに県が重い腰を上げたのです。即ち平成24年1月から25年度末までの2年3ヶ月間に亘って、社会実験を行いました。これは、100回券購入に対し、割引率を30%から57.1%まで大幅に拡大するものです。その結果、普通車であれば、当時片道700円たったものが、僅か300円でよい計算になります。
 ところが、回数券を購入されるのは、同橋を生活道路として活用する島民であって、本土住民や観光客には恩恵がありません。そこで呉市においても、県に対応した施策を講じるよう私が要請した結果、平成24年度から復路通行料無料化が実現したのです。これは土日祝日に限り、安芸灘4島内の登録店で千円以上を消費した場合、その領収証と引き替えに本土への復路通行券を指定営業所で受け取れるものです。これを26年度から平日にも拡大しました。
 ところで、広島県は社会実験を26年度末で終了し、その割引率をそのまま継続する施策に打って出ました。この実験期間は、大幅な値下げの結果、料金収入が3億円程度に落ち込んだようですが、それを恒常化させることは、島民に対し大きな便宜を図ったことになります。それでも30年償還できる様に、その時点で償還計画を大幅に見直したらしいのです。
 過去の呉市議会答弁によると、平成25年度末時点での残債が65億円、27年度末時点での残債が43億円となっていました。通行料金収入が激減する中、この2年間で22億円、年平均11億円の債務が減っていたのです。大幅な通行料値下げの結果、料金収入は年間3億円そこそこのはずです。しかも、30年償還計画は変更できません。
 実は、ここで大きなトリックが隠されていました。110億円の債務の内、50%は国の無利子貸付、35%は県出資金、残り15%が政府系金融機関からの融資です。ということは利息は僅かだと推察されます。
 そして、通行料金収入はこの110億円の返済だけではなく、公社の運営資金にも充てられます。公社職員の人件費や料金所業務委託料、そして橋の修繕費を含む維持管理費がそれです。つまり、110億円より余計にかかるのです。この維持管理費は台風災害とかにも備えねばなりませんから、引き当てています。よってこの引当金の一部を償還財源に回すことで、2年間で22億円も一気に返済し、平成42年から予定通り無料化できるよう計算し直した訳です。
 このまま42年から無料化し、道路公社も解散したとして、引当金は県の一般財源に入れるか基金を引き継ぐかして、後々の橋の補修費用に充てるのが道理です。
 
 ということは、もし無料化を早めるとするなら、この引当金を更に償還財源に充てることが理論上考えられます。しかし、それでは尾道大橋や広島熊野道路と極めて不公平になります。また、出資金の償還を県が放棄すれば、これは県民の血税ですので、安芸灘大橋を利用しない、県北や県東部の県民が黙っていないでしょう。
 つまり、県としてここまで努力して通行料を安価にし、修繕引当金も一部取り崩したのであるから、これ以上は困難だということなのです。それでいて、予定通り平成42年に無料化となるのです。
 それをこの度3人の市長を目指される方が、安芸灘大橋通行料無料化をマニフェストに掲げるのは、市長権限で、県道路公社の債務を呉市民の血税で肩代わりしようということに他なりません。県の橋に対し、呉市が税金を投じるというのは、もっと理屈が合いません。しかもこの3名の中には現職がおられることを忘れてはなりません。と申しますのも、過去の呉市議会一般質問での無料化要望に対し、呉市当局は、「粘り強く県に要望し、利用促進策を検討していくことで、早期償還を目指していきたい」旨の答弁を繰り返して来たからです。この答弁はだいたい部長ですが、それは市長と同義です。答弁を調整しての統一見解に基づく大変重い内容だからです。
 その答弁とマニフェストが完全に矛盾しています。県も驚いているようです。その心は、「呉市が県公社の借金を肩代わりしてくれるのか?」というものです。結局新人は、この様な情報が入らないため、有権者受けのマニフェストを掲げるのが常です。ところが現職は、事情をよく知り尽くしているので、そうはいきません。にも関わらず他者と同じマニフェストを掲げたのは、本橋無料化が安芸灘島民の悲願だからです。このマニフェストを掲げないと、他の出馬予定者に安芸灘4町の票を奪われてしまうという、危機感の表れであることは明白です。当選すれば、後は何とでもなるというのでしょう。
 マニフェストは自身の政策、即ち商品を売り込む際の宣伝文句です。優秀なセールスマンは、販売商品の欠陥は絶対口にしません。そういう意味から、消費者である有権者も、その虚構を見抜く目が必要なのではないでしょうか?

Facebook 2017.7.26

中軽度障害者の就労先確保で、A型難民流出に歯止めを!

 去る7月19日は101回目の街頭演説。テーマは障害者の就労問題です。
障害者の就労に関しては国として、障害者雇用促進法により、一般就労を促進して来ました。これは法定雇用率2%、つまり、従業員50名の企業に対し、1名の障害者を雇用することを義務付けています。これができない企業にはペナルティとして、障害者雇用納付金が課せられることになっているのです。
 ところが、地方にはこのような規模の企業が少ないこと、企業としては知的障害の伴わない身体障害者を特に雇用する傾向にあることから、法定雇用による一般就労には限界がありました。加えて、法に基づかない雇用であって、知的が伴わない発達障害者においては、人間関係の難しさから、一般就労が続かない傾向が多々見受けられました。そして中重度障害者においては、各県と市町が協調補助を行う形で、法的根拠なき小規模作業所での軽作業が続いていたのです。
 そこで、平成18年度に施行された障害者自立支援法(平成24年度より障害者総合支援法に発展的改正)において、小規模作業所を法的に位置付けると同時に、それを取り込んだ形で、障害者就労継続支援事業所がスタートしたのです。これには、国が自立支援給付の3/4を受け持ち、県と市が1/8ずつを負担する仕組みとなっています。
 障害者就労継続支援事業所とは、既存の小規模作業所を発展させ、中重度障害者を対象とする障害福祉サービスを提供する事業所をB型、中軽度障害者を対象とする障害福祉サービスを提供する事業所をA型と呼びます。B型では福祉が中心ですが、作業の中から収益を生み出した分からは、個々の利用者に対し工賃が支払われます。但しこれは、全国平均で月額1万5千円、呉市内では1万円程度の低額に止まっています。
 これに対してA型では、利用者と雇用契約を締結するため、最低賃金法や労働基準法、労働契約法、雇用保険法、労働災害保険法が適用されることが大きな違いです。労働時間によっては、健康保険法や厚生年金保険法も適用されます。例えば社会保険の適用されない週20時間の労働時間であれば、広島県の最低賃金は現在793円ですから、月額6万円強の賃金収入となります。つまりB型の工賃と比較して、大きな開きがある訳です。
 ところが、A型、B型への公的補助、即ち自立支援給付単位は同額となっています。具体的には、利用登録定員20名以下、利用者対職員の比率が10対1、呉市の様な6級地の場合で、1日の利用者1名に対し、5,410円が交付されます。ということで工賃の極めて低いB型が乱立するも、A型は最低賃金をクリアする義務が課せられているため、なかなか増えない実情があるのです。呉市においてはB型28箇所に対し、A型はこの3年間殆ど増えることなく、僅か6箇所に止まっています。

一方国は、去る2月に指定障害福祉サービス運営基準を見直し、それを受けて呉市を含む各市町は同運営基準条例を改正し、今年度から施行しました。その内容はA型事業所において、「利用者による生産活動に係る収入から経費を控除した金額以上を賃金に充てなければならない」、転じて「賃金に自立支援給付を充ててはならない」の2項が追加されたのです。
 この新基準によって多くのA型事業所において、運営継続が困難に陥ったのです。呉市は勿論のこと、近隣町においても既に7月末を持ってA型を廃止し、B型に転換する事業者が出現しました。倉敷市では、A型を含む5事業所が閉鎖に追い込まれ、その結果225名の解雇者が出ます。そのため、ハローワークの障害者担当窓口には就労相談が殺到。この状況を「A型難民」とまで囁かれています。
実際、A型をB型に転換して、そのまま同じ事業所を継続利用する場合、失業手当は支給されますが、最長300日間で、その後は低工賃のみとなります。また他のA型に移ろうにも、その事業所そのものが少なく定員オーバーとなっていたり、しかも仕事内容がマッチしているかどうかの選択肢も非常に狭まっており、失業者になる確率が高いのです。つまり、A型の能力がありながらB型を選択せざるを得ない状況に陥ってしまうことになります。これでは何のために障害者就労継続支援A型事業所の制度を構築したのか、解りません。
 そこで私は厚労省に対し、この新基準に係る法的根拠の確認と新基準の考え方を問い合わせているところですが、まだ解答はありません。A型廃止を防止し、それを増やして行く手段として、A型において自立支援給付の一部賃金への転嫁を許容し、A型とB型における自立支援給付に差異をつけることを提案もしました。
 
 またこの度、A型からB型事業所に就労を転換する障害者に対して、新たな問題がのしかかりました。B型を利用するためには、その適正を判断するアセスメントを就労移行支援事業所等で受けなければならないというのです。この就労移行支援事業所では最長2年間訓練を受けることとなりますが、その間失業手当は一定期間保証されるも、その間は工賃は原則受け取れないことになります。
 これを直B廃止と呼んでいます。私はこれまでA型で訓練を受けていたのであるから、その者がB型へ移行する際は、アセスメントは不要ではないかと主張しました。ところが呉市は、下記理由で、頑としてそういう訳にはいかないというのです。
 つまり、平成27年度から指定障害福祉サービス運営基準が改正施行され、過去延長を重ねて来た直Bが廃止されました。即ちB型の対象者は、①就労経験があり、年齢や体力面で一般企業に雇用されることが困難になった者②50歳以上または障害基礎年金1級受給者③それ以外の者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより課題把握が行われている利用希望者-となりました。ということは、例えば特別支援学校卒業者は、すぐにB型を利用できず、一旦は必ず障害者就労移行支援事業所で適正検査と訓練を受けねばならなくなったのです。
 そこで私は厚労省に対し、A型で訓練を受けた者で、事業所の事情でやむなくB型へ移行せざるを得ない者はアセスメントは不要ではないかと訴えました。そうすると、「それでよい」との回答を得ることができたのです。それを受け、呉市を通じて広島県に対しその旨を伝え、少なくとも本県においては、アセスは不要となりました。私は、「基準そのものが不備だからこの様な事態に陥り、現場が混乱している。しかも問い合わせのあったところとそうでないところで対応が異なるのはまずい」として、厚労省に対し基準の追加改正を要請したところです。
 ということで、この度の特にA型における運営基準改正は、現場を知らず、実態に即していない施策となっています。国のいいなりの地方行政ではなく、疑問点があれば積極的に国に談判し、今後も障害者の就労先確保に向け、精魂を傾けて参る所存です。

学校前途資金の流用を認め、
教育現場に即した予算執行を!

 去る7月24日は102回目の街頭演説。猛暑故、2年前にスタートして以来、初めてクールビズ・ノー上着での出で立ちとなりました。テーマは小中学校運営費についてです。
 
呉市の小中学校運営において、学校毎に配分される運営費を学校配分予算と呼んでいます。これは管理運営費、教材整備費、施設維持補修費の3節があり、小中学校合計で約3億0,700万円となっています。
 この内、管理運営費と教材整備費に含まれる備品購入費を除く約2億5,700万円が各校で自由に使える学校前途資金として位置付けられ、学校規模に応じて公平に配分されます。1校平均が小学校で年間425万8千円、中学校で399万8千円となっており、配分基準として小学校では、学校割25%、学級数割70%、児童生徒数割5%に振り分けられます。中学校では、学校割30%、学級数割65%、児童生徒数割5%です。
 この学校前途資金は、3ヶ月毎に年度4回に分けて学校口座に振り込まれ、毎月教育委員会に報告が義務付けられ、年度末に余剰が出れば返還されます。
ここで、問題は2点あります。
 第一は、児童生徒数割が5%であるため、大規模校においては、宿題やテスト用のプリント作成に係る紙代が不足がちという現実があります。逆に小規模校では児童生徒数が少ないため、余裕が生じているのです。これらは具体的には、教材整備費の中の消耗品費がそれに該当します。
 そこで、この授業用消耗品に係る消耗品費においては、児童生徒数割を増やすことが妥当です。ただ、学校管理費の中の燃料代は、ストーブの灯油代ですので、これは児童生徒数割よりも寧ろ学級数割が影響して参ります。
 つまり、前途資金の3節の中に、授業用消耗品費や燃料代等合計11類があり、その類毎に、それに即した配分基準に本来改定すべきでしょう。
 しかも、小学校と中学校とで1校平均の金額と配分基準が異なっている理由も定かではありません。教育委員会では、過去の慣例を何の疑問も抱くことなく踏襲して来た節が窺われ、統一すべきと考えます。
第二は、管理運営費と教材整備費において、それぞれ限度額が設定されている問題です。
 ここで11類を改めて説明致します。先ず管理運営費ですが、管理用消耗品費、燃料費、食料費(来客用)、管理用印刷製本費、医薬材料費(保健室用)、手数料(クリーニング代等)、物品修繕費(軽微)の7類があります。教材整備費は、授業用消耗品費、授業用印刷製本費、使用賃借料(コピー機リース料等)の3類です。それに施設修繕費(軽微)を加えて合計11類となるものです。
 限度額というのは、例えば施設修繕費を例にとりますと、これは1校平均15万円です。1件1万円未満の修繕はこの15万円の枠内でしか使うことができません。因みに1万円以上の修繕については、教育委員会に要望を上げ、認められれば、別枠予算で手当てされます。これは修繕が発生した場合のみ使用できますので、前途資金の中でも別枠と考えてよいと思います。
 ただ、管理運営費中の物品修繕費に余剰が出たとします。方や教材整備費中、紙代を初めとする授業用消耗品費が不足したとします。これは予算費目が異なるため、流用は認められておらず、余剰金を不足分に充当することは、現在の内規ではできません。そうではなく、余剰分を不足分に充当できれば、当該学校として真に必要なものに充当することができる訳です。
 教育委員会は、それぞれの予算費目等について積算した上で、前途資金を交付決定しているので、流用は許されないと言い張ります。因みに管理運営費と施設維持補修費は、共に予算費目は学校管理費、教材整備費は教育振興費に位置付けられています。
 ところが、地方自治法第220条の第2項では、このような目間流用は認めているのです。元々これらの費目予算を学校現場がいちいち教育委員会に予算申請するのでは、事務の煩雑に伴い時間も浪費します。そこで、地方自治法施行規則第161条に則り呉市会計規則を定めて、予め前途資金を学校に振り込んで、学校の自由裁量を認めているのです。 それを費目毎に縛ったのでは、自由度を高めることにはなりません。従いまして、流用を認め、自由に使途が可能になるよう、内規を改正することを強く要請したところです。
こうすれば前途資金の自由度が増すことから、類毎に配分基準を敢えて変えなくともよいことになります。実際、11類毎に配分基準を変えた上で、各校毎に配分を計算することは、教育委員会の事務も増えることになるため、避けた方がよいでしょう。
一方、各校に交付される前途資金が、今年度から15%減額されることが、この度判明致しました。予算上では読み取れないため、議会にとっても寝耳に水です。
 そこで調査したところ、国の推奨する「学びの変革」において、広島県教育委員会が広島版「学びの変革」アクション・プランを推奨したことが原因と判りました。
 学びの変革とは、これまでの知識の習得を重視した受動的教育から、資質や能力を主体的な学びにより育成する能動的教育への転換を図ろうとするものです。これにより、子ども達が将来の夢を実現し、グローバル化した社会で生きる力を育成するとしています。
ところが広島県は、これらに関する予算として、呉市ではパイロット校である原小学校と広南中学校、実践指定校である警固屋小、中学校と4校にしか手当しておりません。
 つまり、広島県の計画に応じて今年度から全校展開する際しては、呉市予算を充てる必要がありますが、中学校デリバリー給食運営や全普通教室における空調設備設置、そして今年度から簡易洋式トイレ改修費が加わって、教育費をこれ以上増額することは困難な状況です。しかも呉市の学校配分予算は、県平均の1.3倍、全国平均の2倍と、元々手厚くして来た事情もあります。
 そこで目をつけたのが、学校前途資金の教育振興費である教材整備費だったのです。つまり学校前途資金を15%減額し、各校の学びの変革プラン作成を促した上で、それに必要な教材費を後出しするということです。このプラン提出は校長の自由ですが、提出しなければ15%分が貰えないということで、出さざるを得ないのが現場の実情なのです。因みに残りの前途資金は、各学校の提出計画を精査した教育委員会が、後日振り込むことになりますが、各校の計画のできばえやそれに必要な教材の種類や金額等により、差ができることとなります。
 しかも各校平均3%減額になるというのですから、これも大いに疑問を感じているところです。
 ただ前途資金は、各学校にとっては必要経費です。それを新たな学びの変革プランを促進するために前途資金の教材整備費を削るというのは、おかしな話です。必要な教材整備費を削って、学びの変革プラン実践枠の教育整備費をあてがうというのは教育振興から考えれば本末転倒でしょう。
 あくまで、施設維持補修費を除いた前途資金を学校が自由に活用できてこそ、初めて学びの変革の効果が期待できるものと考えています。即ち、資金使途の自由度を増すことこそが、学校の通常運営に加え、学びの変革への取り組み意欲の向上に繋がるのです。 

Facebook 2017.8.3

教育理念なき校庭芝生化は市長トップダウンの失政!

 去る7月31日は103回目の街頭演説。猛暑故、前回に続いてのクールビズ・ノー上着での出で立ちとなりました。テーマとして、学校校庭芝生化の総括を試みてみたいと思います。
 
 この施策は、市長が2期目を目指した選挙マニフェストにも掲げられていたもので、その直前の平成21年度からスタートしました。
 具体的には、先ずモデル校として警固屋小学校が選定されたのです。県内先進事例では、地元スポーツ団体から強い要望があって、「維持管理を自分達で請け負う」との理由で、正にキーワードは「地域協働」でした。呉市も場合も地域協働で行うと名言したものの、初日に野芝を植える時だけ、地元PTAや自治会が参加したのみで、その後は一切関わっていません。何故なら地元団体からの要望ではなく、市長の思いつきで、選挙対策の一環として行われたからです。
 教育委員会議でも、この是非について議論は殆どなく、市長が当時の教育長に指示して進めたことは想像に難くありません。つまり、教育の独立性は損なわれていたのです。
 しかも、野芝の苗代購入費に加えグラウンド造成費が合わせて260万円もかかり、その後維持管理費としての水道代が毎年100万円も余計に支出され続けているのです。因みに、文科省としての芝生化補助金制度はありますが、呉市の場合、校庭面積基準に届かないため、全て市民の血税が充てられました。
 結局散水等の芝生維持管理は、業務主事が行うこととなり、新たな業務が加わったのです。当時の同校業務主事は、通常の嘱託員ではなく正規職員であったため、勤務時間が週29時間ではなく、40時間だったこともあって、これも対応が可能でした。よって、同職員は市長から表彰されています。当時当局は「教諭や生徒もそれに関わる」と美辞麗句を並べていましたが、現実はそんな甘いものではありませんでした。
 これに懲りて芝生化を断念するものと思いきや、それを継続しつつ、2年後の平成23年度にはモデル校第2弾として、両城小学校で開始したのには驚きました。実際、23年度からスタートした第4次長期総合基本計画の前期計画には、校庭芝生化が記述されたのです。
 そこで当初計画を策定した企画部に、その理由を問い糺したところ、「教育委員会から、地域協働の一環であるから重要で、是非計画に記述して欲しいとの要請があった」との回答がありました。実際、平成20年度からの財政集中改革では、地域協働プログラムが3本柱の一つとして盛り込まれていたので、この「地域協働」が落とし文句となった訳です。 ところが、当時地元の自治会連合会に、教育委員会から、「維持管理に地元PTAや自治会等には手を煩わせないから、是非やらせて欲しい」と依頼したというのです。一部自治会長はこれに反対したものの、教育委員会の意向ということで、結局押し切られた格好です。つまり、モデル第2号も市長のトップダウンだった訳です。
 警固屋小学校の野芝で一時枯らしたため、今度は造成費のかからないティフトン芝にして、井戸水対応が可能な両城小学校を選定したのです。初期投資は180万円、水道代は年間10万円に抑えました。
 予想通り、初日の植え込みのみ、地元団体が協力しました。つまり地域協働は最初のセレモニーのみ、事実上は行政主導だったのです。しかも同校も、翌年芝を枯らしています。
 私は平成25年3月の予算総体質問で、これらの取り組みについて、失政を素直に認めて廃止すべきだと訴えました。
ところが教育委員会の答弁は、成果と課題が出て来たとした上で、逃げの答弁に終始したのです。
 先ず成果としては、「児童が積極的に休憩時間に校庭に出て遊ぶようになった。これは体力を増進する教育的視点に合致ている」と強弁。課題としては、地域協働団体が育っていないので、今後維持管理の手法について、「地元と協議を重ねて行く」としました。実際はそのような協議を行った形跡は、今日まで一切ありません。
 また、芝生化することで、体育授業でのソフトボールやドッジボール等で白線を引くことが困難になっている実情もあります。却って授業に支障を来している傾向さえあるのです。
 そこで私は、芝生維持管理にコストもかかることから、「失敗を認めて今後の全校展開を断念すると共に、両校の芝生を廃止すべきではないか」と糺しました。これに対しては、今後地元団体から要請があることもあり得るので、その際には対応していきたい。既に実施した2校については継続していきたい」と、あくまで失政を認めませんでした。
 その後2校以外に芝生化された学校は皆無です。つまり、同じ呉市立小学校で、不平等が継続していることを、先ず重く受け止めねばなりません。教育は公平でなければならないはずです。モデル事業や社会実験というのは、その結果を踏まえ、よい施策と判断すれば全域展開し、愚策と判断すれば廃止するのが本来の手法です。もしマニフェストに従い、残り全小学校校庭を芝生化した場合、イニシャルコストが6千万円余り、ランニングコストが、単純計算で毎年3,400万円も余計にかかって来るのです。
 にも関わらず、市長マニフェストを失敗と認めなくないため、行政職員が市長に対し、忖度して来たと言われても仕方ないでしょう。
 実際、3期目の平成25年市長選では、マニフェストから「校庭芝生化」の文字が綺麗に消えてしまったのです。勿論この度4期目へのマニフェストにも記述はありません。つまり、過去のマニフェストに対する総括が、市民に対してきちっとなされていないのです。
 しかも、成果として胸を張っている、「児童が積極的に校庭で遊ぶようになった」というのは、詭弁でしかありません。何故なら、「環境を整えないと校庭で遊ばないような教育しかできていなかった」とのそっくり裏返しでもあるからです。子どもは、土のグラウンドでどろんこになって遊べばよいのです。それこそ根性や体力が育ちます。坊ちゃん・嬢ちゃん教育、即ち過保護教育であっては決してなりません。教育理念との整合性すら疑ってしまいます。
 マニフェストは、市民や保護者受けするような思いつきの軽々しいものであってはいけません。現実に根を下ろして、財源に裏打ちされた実効性のある政策でなくてはならないのです。有権者は心してかかるべきでしょう。 

Facebook 2017.8.11

中高一貫教育校設置は、先行する小中一貫教育と矛盾!

 一昨日は、104回目の街頭演説。台風5号と公務出張が重なったため、水曜日での登場となりました。この日からバックテーマミュージック「炎のランナー」が復活。テーマは中高一貫教育校の設置についてです。

 さて、去る5月31日の呉市議会文教企業委員会において、中高一貫教育校設置を県に提案する旨が報告されました。正に議会にとっては寝耳に水です。議会で一切議論をせずに、唐突に提案するとは、議会軽視の何ものでもありません。
 県は、平成11年度から制度化された中高一貫教育校設置を推進しており、県内他市でも県立中高一貫教育校設置を要望している手前、呉市としてもそれに乗り遅れたくない思いが滲み出ています。
因みに中高一貫教育校には、併設型、中等教育校、連携型の3種類がありますが、この度の提案は併設型です。具体的には呉三津田高校内に県立中学校を設置する内容となっています。何故三津田高校を選んだのかといいますと、同校が県教委から探究コアスクールの指定を受け、カリキュラム開発を行うリーディング校であること、市内随一の進学校であることです。
 質疑によると、市内の中学生の内、約4%に当たる100人弱が毎年、広島市を中心とする市外の中学校に入学しているので、その抑止策の一つにもなるというのです。もう一つは、高校入試を必要としないため、余裕を持って勉学に励めるということ、小学生卒業児童の選択肢が増えるメリットが強調されました。
 県は、平成16年度から東広島市に広島中学・高校を開設して成果を上げているといいます。また平成31年度からは、大崎上島町に、全寮制の小中一貫教育校を開設し、グローバルリーダーの育成を目指しています。私学では、尾道中学・高校、武田中学・高校、呉青山中学・高校があります。
 但し、デメリットについては、殆ど言及されませんでした。つまり、いいことづくめだというのです。
 ところでこの度、全国初の市立併設型中高一貫教育校である、岡山市立岡山後楽館中学・高校を視察して参りました。それによると、平成9年に出された中教審答申では、「中高一貫教育校設置に際しては、進学校への転身を目的としてはならない」とあり、同校は、今日までそれを忠実に遵守しているというのです。
 また、岡山市教育振興基本計画では、コミュニティスクール、即ち中学校校区を単位とした幼保、小中、地域が一体となって域内の子どもを育てる地域協働学校を標榜しており、これが将来小中一貫教育校設置を目指すことで、中高一貫教育校との整合性が図れなくなるのを危惧しているのが、現場の切実な声だったのです。
 加えて、県立高校内に中学校を新設した岡山県立津山中学・高校では、津山市外から優秀な人材が集まるため、近隣市町が逆に人材不足になっているという問題があるそうです。
これは、正に呉市が目指そうとしている手法と同じです。
呉市において、仮に県立呉三津田中学・高校が開設された場合、高校の学区は県内全域、中学の校区は市内全域となることが予想され、各地域の中学校校区の優秀な人材が中高一貫教育校に取られることになり、既存の市立各中学校の学力低下も懸念されます。
 しかも呉市は、全国に先駆けて平成18年度から小中一貫教育を推進しており、それとの整合性が取れなくなります。例えば某中学校を卒業した生徒が、併設型中高一貫校の呉三津田高校に入学したと仮定します。中高一貫教育校では、中学生の時に高校の授業を前倒しで行うことが可能となりますので、入学時から勉学に差が出る可能性も秘めています。 或いは、小学校時代に小中一貫教育を受けた児童が卒業して、呉三津田中学へ入学すると、小中一貫教育がそこで分断されます。或いは、小中一貫教育校である中学校を卒業した生徒が呉三津田高校へ入学すると、中高一貫教育は受けれないことになります。小中一貫教育は呉市の教育、中高一貫教育は県の教育ですので、児童生徒に進学の選択肢が増えても、混乱する可能性すらあるのです。
 ということは、小中一貫教育を全市内で展開して来た呉市として、敢えて中高一貫教育校を県に設置してもらう必要性はないと考えます。県の財政への圧迫要因にもなるでしょう。
 更には、小学校卒業後の選択肢が増えるといっても、呉三津田高校近くに在住する小学卒業生にとって、通学時間の観点から有利になるのは明白です。となれば、教育の公平性も保てなくなる恐れさえ生じて来るのです。
 一方、呉市議会に報告する直前の5月22日に開催された、呉市教育委員会議の議事録を調べてみました。県提案である中高一貫教育校設置は、単なる報告事項に止まっており、これに対する議論は、予想通り全くなされていませんでした。そればかりか、それに至る過去の教育委員会議でも議論された形跡は皆無です。つまり、5月の教育委員定例会議にこれも唐突に報告されただけなのです。
 ということで、教育行政の最高議決決定機関たる教育委員会議で、全く議論がされていなかったことが判明致しました。
 では、そもそも誰がこの提案を考えたのか?以前から教育委員会内部で調査研究して来たとの議会答弁がありましたが、もしそうであれば、少なくとも教育長を除く4名の教育委員は完全に蚊帳の外に置かれていたことになります。またしても市長の思いつきのトップダウンで、教育長を通じ内定したと言われても仕方ないでしょう。教育の独立性や中立性はあったものではありません。
結局、中教審答申を無視しての進学を目指すための中高一貫教育であり、呉市の小中一貫教育との矛盾、地域中学校の人材不足による学力低下、周辺市町への悪影響等のデメリットを考えた場合、軽々に県に提案すべきではないと考えるものです。

Facebook 2017.8.25

学校跡地の活用策は、原点に立ち返り原則売却で!

 去る8月21日は105回目の街頭演説。隣の呉駅前広場では、市長選出馬表明者との遭遇もありました。テーマは学校跡地活用策についてです。
 呉市は、児童生徒数が激減し、適正規模での教育環境を整えるため学校統廃合を進める中、廃校後の跡地活用策が問題になっていました。そこで平成19年6月に、「学校統合後の跡地活用について」と題し、当時全国的にも珍しい指針を発表したのです。
 その内容は、市民協働で活用方針を策定するとしつつ、基本方針として原則売却を明示したのです。但し、地域事情を考慮する必要がある場合は、土地や建物の一部を処分せずに市民協働で活用するというものです。この一部は、当時私が委員長を務めていた教育経済委員会での答弁で、敷地の約3割ということでした。
 さて、この基本方針に従って初の処分は、平成16年度末を以て廃校となった吾妻小学校でした。当初3割部分の校舎棟を残して欲しいとの地元要望がありましたが、受け手の地元団体が維持管理費を捻出する必要があることが判明して、急速に萎み、最終的には平成21年に、3割部分をコミュニティ広場にしました。残りの3割はディベロッパーに売却し、建て売り住宅となりました。
 処分の第二号は、平成19年度末に廃校となった辰川小学校です。ここも地元の熱意を汲み、3割部分の体育館を「辰川会館」として残し、5つの自治会が共同運営することとなり、残り7割はやはり建て売り住宅となったのです。
 そして、やはり平成19年度末に廃校となった片山小学校が、初めて全敷地を売却することになりました。地元要望を受けて廃校後2年間は第五地区運動推進協議会として無償貸与しましたが、売却後から現在に至るまで、代替措置として片山中学校の一室を無償貸与しています。結局同校跡地は、スーパーとマンションの複合施設に変貌を遂げた訳です。
 これら3ケースが、廃校後の跡地活用策として基本方針に沿って民間売却した全ての実例です。
 但し今日に至るまで、平成17年度末には蒲刈小学校、18年度末には五番町小学校、20年度末には鍋小学校、21年度末には大入小学校、22年度末には音戸、渡子、田原、早瀬、奥内、野呂東各小学校が廃校となりました。
 この内、蒲刈小跡地は地元自治会に無償貸与、鍋小跡地は地域コミュニティバスのNPO事務所に無償貸与、音戸小跡地は企業に20年間の有償定期借地の上で太陽光発電所、早瀬小跡地の一部は広島電鉄に有償借地した上で車庫用地となっています。また23年度末に廃校となった小坪小学校は、地元が運営する文化施設として無償貸与しています。特に同小跡地は、市民協働、地域協働の典型的な活用策と言えるでしょう。
 ここで疑問なのは、跡地活用基本方針に基づいて売却したのは、当初の3例で止まっているという事実です。地域協働で無償対処しているケースでも、全て条件が課せられており、市が売却するようなことになれば、そちらを優先するという特約条項があり暫定貸借となっているにも関わらず、実際は売却が全く進んでおりません。
 そこで平成24年に発表された第1次公共施設再配置計画を見ますと、既に先行実施している公共施設活用策として、学校の跡地活用が記述されており、その中身はあくまで地域協働に基づいた活用となっています。議会答弁でも、地域協働を優先する旨の答弁が目立つ訳です。
 しかし、基本方針は生きていることをこの度再確認しました。但し、基本方針を改めて読み直してみると、市民協働での活用方針を策定しつつ、更地売却の原則を謳っていることが判りました。この2つのベクトルは矛盾しています。即ち、地域協働が優先されるのか、売却が優先されるのか、どちらとも取れるような曖昧な記述になっていることが問題だと考えます。
 やはり原則売却しないと、吾妻、辰川、片山各小学校の近隣住民との不公平感が払拭できないことになります。尤も地域性によっては、売ろうにも買い手がつかないケースも出て来るでしょう。それはそれで仕方ありません。先ずは売却する努力をすることです。
 そのためには、対象となる廃校を列記し、購入意欲を示す企業をリサーチする必要があります。それで引き合いが来て初めて、解体予算を付けて公募売却するなり、場合によっては、解体費を建付減価して売却する手法もある訳です。私は後者の方がより手堅い手法と考えていますし、過去もこの考えを主張して来た経緯があります。
 地域協働も勿論大切ですが、各地域にはまちづくりセンターやコミュニティ施設が結構あって、特に後者は普通財産ですから、呉市としては地域協働として地元に無償貸与したい意向があるのです。その手法で地域協働は進められますし、昭和地区ではまちづくりセンターや地区体育館を、昨年度から指定管理に移行しており、これも地域協働の拠点となるものです。他にも老人集会所は、以前から地区社会福祉協議会が指定管理を受けていますし、地域協働拠点は結構あるのです。
 従って地元とも協議を進めつつ、原則売却の原点に立ち返るべきです。不公平感をなくし、且つ財源確保に繋げることで大きな意味で呉市財政に寄与し、ひいては各種施策に貢献することになるのです。
一方、売却が容易な場所と言えば、やはり中央地区です。旧五番町小学校は平成23年度予算で解体費を計上し、そのまま全部売却する方針でした。
 ところが同年の東北大震災があったことで、国からの通達で集団疎開用の公共施設を用意する必要があったため、解体予算を使いませんでした。つまり、同校舎をアパートメントに改修する余地を選択肢として残したのです。
 その後そのニーズは立ち消えとなったにも関わらず、翌年度から今年度に至るまで、実に6年間に亘って解体費を予算計上していないのです。つまり少なくとも現時点では、呉市として売却する意図がないことを意味します。様々な事情があることは薄々感じてはおりますが、すぐに売却しない理由があるのなら、きちっと議会に示すべきでしょう。議会に対しては、検討中として曖昧な答弁に終始して来た経緯があります。
また、合併前からの統合により、廃校ではなく、休校となったままの学校もあるのです。具体的には情島小学校、延崎小学校、大冠中学校、音戸西中学校です。当時は、売却することで補助金適正化法により、国に補助金を返還しなければならない理由がありましたが、その期間は当に過ぎています。
 情島小は選挙時の投票所、延崎小は適応指導教室と東林館呉分校への無償貸与、大冠中学校は教育委員会倉庫、音戸西中学校は公共事業の資材置き場くらいしか活用できていません。この中で売却可能な音戸西中学校は、学校廃止し普通財産にした上で売却すべきでしょう。
 いずれにしても、これらの点について、今一度糺して行く必要があると考えています。

Facebook 2017.8.30

公金コンビニ収納の導入は費用対効果が希薄!!

 一昨日は、106回目の街頭演説。テーマは公金コンビニ収納の導入についてです。
呉市は、去る8月21日の呉市議会総務委員会で、公金コンビニ収納の導入を発表しました。これは市役所が時間外や休日であっても、いつでもどこでも公金を、24時間、全国13チェーンのコンビニエンスストア約6万店舗から納付できるというものです。
 先ず第1弾として、今年10月から、普通徴収における市県民税、固定資産税・都市計画税、軽自動車税をスタートさせ、来年4月からは、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、市営住宅使用料を追加。そして来年10月から保育料を追加して、完結とします。
 一見、市民や納税者、被保険者にとって朗報であり、便利さが格段に増すため、皆が喜びそうですが、問題は費用対効果です。本制度の導入に当たっては、当然パソコンのシステム改修、即ちイニシャルコストが必要不可欠であり、これは全システムの合計で2,860万円かかります。それに加えて、1件納付当たりの収納代行手数料が60円(消費税込)かかりますから、これら全てが稼働して年間10万6,500件が見込まれており、結果、ランニングコストが年間639万円も半永久的にかかって来るのです。
 既に今年2月にプロポーザルを実施し、委託業者が㈱電算システムに決まっています。
 問題はこれらコストに見合う、歳入増が図れるのかということです。私の質問に対し、「殆ど期待できない」旨のがっかりする様な答弁がありました。市民の利便性が格段に増すことで収納率が向上し、その分本システムに係るコストを上回る歳入があるなら、費用対効果があることになります。地方自治法第2条では、「地方公共体は、最少の経費で最大の効果を挙げねばならない」と謳っているのです。
 と申しますのも、1件当たりの収納代行手数料は、納付者負担ではなく、公金負担となりますので、とどのつまり市民の血税を充てることになり、結果、寧ろ歳入減に繋がりかねません。これでは、納税者全体の理解を得ることは難しいでしょう。
 普通徴収市税の納付方法は、対象者の38%が銀行引き落としとなっており、残り62%が窓口納付です。ということは、確実に納付される銀行引き落としを利用している市民にとっては、コンビニ収納は意味がないことになります。つまり市民誰しもが銀行引き落としにすれば、コンビニ収納は不要になるのです。その便利さを求める必要もないでしょう。
 ましてや、サラリーマンや公務員は源泉徴収されますから、そもそもが対象外です。加えて介護保険料となれば、サラリーマンは給料から天引き、高齢者は年金から天引きされていますので、コンビニ収納の必要性は極めて低いのです。
 その様な中で、先ずは口座納付を増やすことが先決なのです。
 では何故、最も便利とも言える口座納付が半数に満たないのでしょうか?それは、自動引き落としにすると、支出が一時的に嵩んだ場合、例えば電気代とか携帯電話使用料等が引き落とせなくなり、生活のライフラインが途絶えるリスクがあるからにほかなりません。 この心は、電気が止まったり携帯電話が使えなくなっては困るから、これは優先しなければならない、対して税金は滞納しても何とかなるとの甘えの構造が一部の市民にあることの裏返しです。憲法で定められた納税義務や呉市との契約よりも、私的な民間会社との契約を優先するという図式なのです。これでは本末転倒と言わざるを得ません。
 因みに口座引き落としの場合は、1件当たり10円(消費税別)ですから、その公費負担は格段の差となるのです。
 また、百歩譲ってもしシステムを導入するとしても、一部市民が上記の事情で窓口納付に拘り続けるなら、便利さという公共サービスを享受する代償として、収納手数料は自己負担とすべきでしょう。
 実は、県内では公金コンビニ収納に踏み切っていない自治体は呉市を含め2市のみと言います。そして、どの市もそれに係る収納代行手数料には血税を充てているのです。この度呉市が導入に踏み切った最大の理由は、県内他の自治体も導入しているからという単純なものでした。
 これは市長トップダウンの愚策の臭いがしてなりません。選挙目当ての耳障りのよい施策と言われても仕方がないでしょう。
 
 一方、コンビニ収納の際、マイナンバーカードは不要となります。あくまで呉市がバーコード付き納付書を郵送しますので、それをコンビニに設置する機器にかざせば読み取る仕組みとなります。ならば、今年1月からスタートしたコンビニでの住民票取得にはマイナンバーカードが必要ですから、それと同列に扱ってシステム化する必要はさらさらない訳です。
また、コンビニ収納対象外の納付書もあります。これは納付額が30万円を超えるもので、バーコートそのものが付いておりません。或いは納付期限が過ぎているものやバーコード部分が破損しているものがそうです。このような場合は、トラブルになる可能性も秘めています。
 ということで、人口減や高齢化に伴って税収が減り財源が乏しくなる一方で、公共サービスは市民から一層の拡充を求められ、コスト増は青天井となります。これでは安定した公共福祉を継続して行くことは到底できません。心してかかるべきだと考えます。

Facebook 2017.9.4

企業主導型保育への税制優遇は認可保育所の経営を圧迫!

 去る9月4日は107回目の街頭演説。テーマは、本定例会に提出されている、特定保育事業における税制優遇措置についてです。
 即ち市税条例と都市計画税条例の改正ですが、これは平成32年度までに待機児童ゼロを目指す安倍政権による保育施設確保策の一貫としての市民税、都市計画税へのわがまち特例の適用です。
 これには大きく二つあり、その第1は、地方税法で既に課税標準の特例割合が1/2に優遇されている子ども子育て支援法による地域型保育の内、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育各事業です。もう一つは、この度の地方税法改正の附則により暫定的に追加された企業主導型保育事業です。
つまり、これらはわがまち特例の適用として、国の基準1/2を参酌して、自治体の実情に合わせ、特例割合を1/3~2/3の範囲内で条例で定めることになりました。
 そこで、この範囲で最も企業に対しての優遇措置である、1/3に改正しようとする案です。
 さて、企業主導型保育事業という名称は、この度内閣府による実施要綱で初めて登場しました。つまり、児童福祉法や、子ども子育て支援法を読んでも、そのような単語は出て来ません。しかも、改正地方税法附則第15条第44項には、児童福祉法が引用されており、それも企業主導型保育事業ではなく、「特定事業所内保育施設」と定義しているのみです。
 方や地域型保育事業3類型は、子ども子育て支援法に位置付けられていますし、改正地方税法第349条の3第28項~30項においても、その根拠条項を児童福祉法から引用しています。
 この内事業所内保育については、改正前の地方税法において、利用定員6人以上は、家屋や設備への固定資産税と都市計画税は非課税となっていました。この度の改正におけるわがまち特例の適用は、利用定員5人以下としています。勿論、事業所従業員の子女以外をも利用を可能にすることが条件で、呉市ではまだ登場していません。
 結局、事業所内保育は市町が認可する施設、企業主導型は認可外施設であることが判りました。つまり、政府が特に大都市圏における待機児童をゼロにするため、例え認可外であっても、企業がこの2年間で新設すれば、施設整備や利用者保育に対して補助金を出すということです。その際の条件は国が実施要綱で、利用定員6名以上、当該企業の従業員以外、即ち地域枠が1/2以下に定められています。
 これは待機児童が多く存在する大都市圏での誘導策と考えられ、国が直接補助を決定しますので、呉市の様な待機児童ゼロの都市においては、却って保育の提供過剰を招く恐れがあると推量されます。
企業の事情で休日出勤や夜勤、週限定日出勤と、様々な保育ニーズに対応するために、認可保育所より規制が緩やかな企業主導型保育は地方においても存在意義があるということで、内閣府も私の質問に対し、本市と同様に回答しています。
 ところが本市には、新たな保育料負担が生じる多様な保育ニーズは僅かしかありません。
しかも、従業員以外の利用定員が5割以下ということですので、経営を安定させるためには、企業も目一杯従業員以外の子どもを定員に含めることが考えられます。
 地域枠においては、施設基準が同等である小規模保育を初めとする地域型保育で十分穴埋めが可能ですし、現実的に既存保育事業者の経営圧迫を招く恐れがあるのです。
 認可外施設である企業主導型保育への国の補助は、本来の目的に照らした場合、待機児童の有無で線引きをするべきだったでしょう。
 そこで、地域型保育へのわがまち特例が改正前の特例割合1/2よりも、2/3と逆に課税標準が大きくなる逆転現象の余地を残している矛盾について、総務省に聴きました。すると、予想通り「地域の実情に合わせるため、裁量範囲を増やした」との回答がありました。
 一方、わがまち特例における交付税措置について考察してみましょう。
 地域型保育の3類型において、固定資産税と都市計画税は、地方税法改正前既に例外規定で課税標準が1/2に定められていました。その際は、固定資産税のみの減額分について交付税措置される仕組みとなっていました。
 その上で、条例改正後の地域型保育3類型や企業主導型保育において、課税標準の特例割合を参酌基準の1/2にした場合やそうでない場合に設定したと仮定すると、交付税措置は全てその減額分が対象になるのではなく、あくまで特例割合1/2による減額分しか措置されないことが、私の質疑で判明致しました。
 結局特例割合を最小の1/3に設定しても、1/2までしが減額分の交付税措置が認められない、つまりうまみがあまりないということなのです。
 企業主導型保育への国庫補助や税制の優遇策は、大都市における待機児童ゼロを解消するために、政府が捻り出した施策です。具体的には、今年度と来年度に新設されたことで国庫補助の対象となり、固定資産税と都市計画税のわがまち特例も5年間の暫定措置でしかありません。呉市においては、本来必要性が極めて低いものと言えましょう。
ならば、待機児童ゼロの本市の実情を鑑みて、企業主導型保育においては、課税標準の特定割合について国の基準1/2を参酌するのではなく、緩和幅を最小限に抑制する2/3を適用すべきと考えます。本市が大都市基準に合わせる必要はさらさらない訳で、寧ろ既存の認可保育所の経営圧迫をできるだけ回避するのが、改正法下で呉市が果たすベターの手段なのです。 

Facebook 2017.9.13

一体型小中一貫教育校から義務教育学校への早期移行を!

 一昨日は108回目の街頭演説。市長選出馬予定者の挨拶運動と重なりました。テーマは、小中一貫教育の方向性についてです。
 呉市は、文科省から小中一貫教育研究開発指定に係る助成金を受けた上で、全国でトップを切って一体型小中一貫教育校を開設しました。平成18年度の呉中央学園を皮切りに、21年度の警固屋学園、24年度の広南学園、25年度の倉橋学園がそれです。
 呉中央学園は、五番町小学校と二河小学校統合し、二河小学校と中学校の敷地を活用、警固屋学園は、隣接する警固屋小学校と警固屋中学校の間に自由通路を建設して往来を楽にしました。広南学園は、長浜小学校と小坪小学校を統合し、長浜小学校と中学校の敷地を活用、倉橋学園は、県立倉橋高校廃校に伴う跡地を県から安価に取得して開設したのです。
 一体型小中一貫教育のメリットは、1年生から9年生まで義務教育を同じキャンパスの中で実施することにより、大きく二つの効果があるといいます。
 第一は、小学校教諭が中学校生徒を教え、中学校教諭が小学校児童を教える、いわゆる小中乗り入れ授業が可能になることで、中一ギャップ解消に繋げることができます。
 第二は、縦の交流授業により、中学生が小学生を指導することで自尊感情を高揚させ、自信にも繋がり、小学生は中学生を範とすることで目標が明確になり、学習意欲が湧くことです。
 これらを更に具体化させるため、前期1年生から4年生、中期5年生から7年生、後期8・9年生という区分、いわゆる呉市方式と呼ばれる「4・3・2区分」での教育カリキュラムを確立し、全国の範となっています。
 その結果、学習成績の向上といじめや不登校の減少が、目に見える形で効果を現して来ました。そこで呉市は、小学校と中学校が離れていても同じ教育カリキュラムを実践することで、分離型小中一貫教育を推進して来たのです。但し、分離型は小中乗り入れ授業が一体型に比べて少なくなることは否めません。
 
 では一体型小中一貫教育校、具体的には呉中央、警固屋、広南、倉橋各学園は、一つの学校なのでしょうか?そうではありません。学園は愛称でしかなく、法律的には各々呉中央小学校と呉中央中学校という風に、別々の学校で、それぞれ小学校長と中学校長が人事発令されているのです。
 教育委員会は過去、「学園が愛称に止まっているのは法律が追いついていないため。いずれ将来法律改正がなされれば一つの学校となり『学園』は正式名称となる」と答弁していました。
 ところが、学校教育法が平成28年度に改正施行され、義務教育学校の設置が可能となったのです。それに伴い、初年度である28年度には、呉市とトップランナーを競ってきた東京都品川区を初めとして、全国22校が義務教育学校に移行しました。今年度は更に増え、来年度から移行する所も多々あるとのことです。
 そこで、先の9月定例会で私は、「小中一貫教育のトップランナーである呉市が何故、義務教育学校に移行しないのか?過去の答弁と矛盾している」と一般質問しました。
 すると市教委は、①校長が1名になるので、小学校長会、中学校長会のどちらにも出席せねばならず事務が増える②暫定措置はあるものの、小学校教諭と中学校教諭双方の教員免許を持たねばならず、人材不足-の2点を挙げつつ、「当面義務教育学校への移行は考えていない」と、過去の方針を転換したことを暗に認めたのです。
 しかし、これは児童生徒の教育効果を考えますと、教育事務負担という教員の立場を優先する本末転倒の理由です。
 例え校長の会議出席が増え、校長業務過多のデメリットよりも、校長が1人のため指揮系統が一本化され、組織の運営がスムーズに行われ、児童生徒への教育にも好影響を及ぼし、総合的に観て遙かにプラスとなります。しかも副校長が二人加配されますので、校長が過多の際は、副校長が代理で校長会に出席することは可能ですし、教頭会には、副校長が2名いるのですから、十分対応できる訳です。
 また、小学校教諭か中学校教諭の免許しか持っていない教諭は、県主催の研修を積極的に受けさせ、双方の免許取得が逆に進むことで、より中身の濃い小中一貫教育が早期に実現することにもなります。考え方が非常に消極的であり、全く逆です。
 加えて大きなメリットとして、6年生の卒業式と7年生の入学式が不要となり、文字通り1年生で入学、9年生で卒業を迎えることになり、9年間の一貫した教育が実践できることが挙げられます。この様な教育的効果を考えますと、デメリットを吸収してお釣りが来る訳です。
 このことを踏まえ私は、当初教委が構想に位置付けていた横路、蒲刈に加え、現実に小中学校が隣接している阿賀も含めて、早急に義務教育学校創設を目指すべきと訴えました。しかし市教委は、「これらをいきなり義務教育学校にする考えはないものの、一体型小中一貫教育校設置については、今後検討する」と答弁。これでは過去の一般質問から全く進展していないことになり、市教委の教育理念が極めて欠如していることを自ら露呈する結果となりました。
 ところで、1年生から9年生までの一体感を醸成するにおいて、本市の課題は給食問題です。即ち、音戸共同調理場を活用した倉橋学園や警固屋中学を除き、1年生から6年生までが自校調理たる食缶方式給食、7年生から9年生までが弁当箱方式と持参弁当併用の選択制デリバリー給食と、異なっているからです。これでは、一貫した地産地消や食育が実践できません。食は教育の根幹に位置付けるべきだからです。
 そこで、呉中央学園では調理場のキャパが不足していると過去の回答ですが、増設した場合のイニシャルコスト回収年数について問うたところ、「全く考えていないから積算は無意味」との答弁でした。また広南学園では現状のキャパでも中学生も食缶方式給食が可能であることを指摘。それに対しては「PTAと相談した結果、中学校はデリバリー給食を選択された」と、PTAに責任を転嫁する始末です。確たる教育理念があれば、逆にPTAを説得する立場であるにも関わらず、これでは市教委の責任放棄と言われても仕方ありません。
 結局、小中一貫教育における義務教育学校への移行、隣接小中学校の義務教育校創設等が曖昧になっているのは、本市が教育基本法第17条第2項に定められた教育振興基本計画を策定していないからです。
 平成24年6月、不肖による一般質問に対して当局は、「今度策定して行く」と答弁しておられます。その後昨年度、地方教育行政法改正施行に伴う呉市教育大綱策定がなされ、同時にそれに基づく呉市幼児教育振興計画を策定しました。特に後者の根拠である教育基本法第11条には、計画策定について触れられていないのです。更に今年度は、スポーツ振興計画や文化芸術振興計画も策定中です。
 これら新たな動きにも関わらず、未だ教育振興基本計画を策定していないとは驚きです。私は再度市教委に対し、同計画を策定するよう強く要請したところです。

Facebook 2017.9.27

そごう公募売却における解体費への公的補助を問題視!

 去る9月19日は109回目の街頭演説。テーマは、そごう呉店跡地の活用策です。
 さて呉市は、去る9月8日の呉市議会総務委員会で、そごう呉店跡地の公募売却方針の概要を発表しました。そごう呉店を市役所に大規模改修して活用すればよかったと、市民の声をよく聞きますが、あの建物と敷地が呉市所有と勘違いされておられるケースが殆どのようです。
 建物は再開発ビルなので、㈱そごう・西武が77%の地上権を所有しており、呉市所有分は6階フロアと7階の奥、即ちKURE若者プラザが入居していた部分で、全体の19%が該当します。そのほかにも民間権利者が7者おり、最近まで営業を継続していた1階の酒店や喫茶店を初め、4%を所有していました。
 また敷地部分は、呉市が79%、そごう・西武が18%、日本通運㈱が3%を所有しています。
 さて、そごうが閉店してから4年半、何故今日までもつれたのか?これには二つの大きな理由がありました。  
 第一は、そごう・西武は建物の売却方針を打ち立てたのに対し、呉市は一貫して賃貸での活用を模索していたことです。私はそごうと一括売却の有用性を主張して来ましたが、方針転換をしたのが、1年程度前だったのです。
 第二は、建物売却には9権利者の合意、即ち呉駅西再開発ビル管理組合としての統一した方針決定が必要です。そごう・西武や他の民間権利者から見れば、高く売却したいのは当然のことで、最高値を付けた事業者に売却する意向だったと推察されます。
 ところが呉市としては、再活用内容において、呉市の賑わい創出や経済発展の貢献度を尺度にしますから、この部分の合意に手間取りました。その間、事業者からの引き合いは続いていたようです。
 実は、この度合意に至ったのにはトリックがありまして、先ず、管理組合における9者の権利者を3者、即ち呉市、そごう・西武、日本通運に集約したことがポイントです。委員会ではこの点の詳細説明を当局がぼかしたため、私が追求しました。すると、日本通運を除く民間6者の権利床を、そごう・西武が一旦時価相場で購入することになったことが判明しました。これなら低価格で売却しても、大きな売却損は発生しません。これが合意に至った真相だと踏みました。但し、その分そごう・西武にはリスクがある訳です。
 では、いつ公募するのか、そのスケジュールは未定でした。理由は、民間権利者の内1者との売却手続きが遅れているとのこと。通常はスケジュールが固まってから、議会へ報告するものです。何故、先走って発表したかは、11月に実施される市長選挙に間に合わせるためだったことは、誰が見ても明らかです。
 ところで、公募売却に当たって、いくつかの条件が示されました。
 ①建物と土地を一括購入すること②建物を再活用するか、解体して建て替えるかは自由③床の5千㎡以上は商業施設として活用④内、3千㎡以上は飲食、物販とし、2千平方㍍以上は遊戯、ホテル、映画館、フィットネス等の賑わい施設とすること④所有権移転後1年以内に解体若しくは改修に着工すること⑤所有権移転後5年以内に創業すること⑥事業開始後10年間は提案内容通り遂行すること-です。
 例えば、現そごうの総床面積は約2万3千㎡ですので、同規模の建物に建て替えた場合、1万8千㎡はマンションにして転売してもよいことになります。
 そして、売却価格に最低制限は設定しないことが、最大のポイントです。
 一方、これまでの方針では、建物は一括売却、土地は借地というものでした。その際、大型商業施設再生促進事業制度を創設した上で、建物の改修費として、1/2、2億円を上限に公的補助するというものでした。この度は引き合い業者の意向も踏まえて、建物と土地の一括売却を英断しつつ、改修の場合は3億円を上限に引き上げ、改築の場合は、5億円を上限に補助する制度を検討しているとしました。
 この場合、マンション部分は転売して収益が発生し、所有権が移転されるため、補助の対象外としたところです。
 委員からは、「建て替える場合、解体費も補助対象とすべきではないのか?」と質問が出されたのに対し、当局は「対象となると思う」と答弁。そこで私が、「建物付き土地を購入する場合、直後に解体すれば、解体費用が控除され、地価が建て付け減価されるので、それはおかしい」と質問しました。対して当局は、「補助金が二重投資にならないよう、制度設計を考える」と、答弁修正に追い込まれたのです。
 また私は、「これまでは建物のみの売却方針だったことで、改修費用を平成27年度予算では2億円を計上していた。ということは、公募する際の事業者側の担保として、予算の裏付けが必要ではないか?その際は補正予算を組むのか、それとも公募仕様に、『補助金支出は議会の議決が条件』との文言を入れるのか?」と、核心を突きました。当局は「要綱を策定するので特に予算化はしない」旨の答弁でしたが、それでは応募者において不安が生じるし、そもそも議会は所有権移転後の予算を絶対否決しないとたかを括っていることになります。これでは議会軽視と言われても仕方ありません。
 この背景には、公募前に補正予算化しても、事業者が決定し、解体後の建て替え完了まで年数がかかるため、すぐ執行できないというジレンマがあるのです。これには答弁があいまいにされたままとなりました。
 いずれにしても、よい事業者が選定されること、できるだけ高値での売却となることを切に祈るものです。

Facebook 2017.9.28

包括外部監査を機に議会のチェック機能強化を!

去る9月25日は110回目の街頭演説。テーマは、包括外部監査の効能についてです。 
私は以前から、本市において内部監査に止まらず、外部監査の導入を訴えて来ました。平成26年3月定例会における予算総体質問でもこれを採り上げ、当局に迫りましたが、コストがかかるとの理由で、前向きな答弁は得られなかったのです。ただ、呉市と同じ特例市だった八尾市は、当時から外部監査を導入しており、それにかかる経費は国の補助金を全額充てているということでした。
 ところが、呉市が昨年度から中核市に移行したことで、法的に包括外部監査の導入義務が生じ、今年3月に初めて包括外部監査結果報告書が提出されたのです。因みに監査業務は年間1,200万円で公認会計士と契約を締結し、その経費は特別交付税に算入されます。ということは、直接市民の血税を充てなくて済む理屈となります。
 方や内部監査と呼ばれる呉市監査委員は3名で、代表監査委員は呉市部長級のOBの天下り先となっており、もう2名は公認会計士と呉市議会議員なのです。私も平成22年度に呉市監査委員を務めたことがあり、その内幕はよく知っており、その苦労も解っているつもりです。
 因みに、現場へ赴き帳簿類を調査する監査の補佐役は、現役の呉市職員なのです。つまり、身内の監査を行っている訳で、これでは第三者として政策面の可否というカテゴリーで精査はやり辛く、結果甘い監査になると言われても仕方がありません。従って、過去議会費の中の政務活動費が監査の目玉として選択されることはなかったと思います。
 ということは、内部監査では特に事務的、会計処理等に力を入れ、外部監査では年度毎に特定のテーマの下、政策面にまで大きく踏み込むということで、この両者が相互に補完作用して初めて、一人前の監査になり得るとも言えましょう。
 さて、平成28年度の包括外部監査は、補助金をテーマに設定し、その関連で、初めて政務活動費が集中的監査の一つとなりました。
 これに対して特に厳しい意見は付きませんでしたが、会計帳簿類の作成を、議会事務局職員ではなく、議員本人が担うべきとの指摘は受けました。
 議会としては、さしあたって、携帯電話通話料と自家用車ガソリン代に対し、みなし比率1/3を公費負担していたのを、今年度から思い切って全額自己負担に致しました。このみなし比率は、過去の裁判判例を基にしたもので、議員活動には政務活動、議員個人の活動、後援会等私的活動の3種類に分類されるとの考えからです。ですから1/3を公費負担していても特に問題はないのですが、近年政務活動費の不正が全国的に多発したこと、世間への説明責任を果たすことの2点の理由で、呉市議会として、自主的にこれらに係る公費負担を廃止したのです。これは、はやり外部監査の威力の賜だったでしょう。
 一方、これまでの主要施策における評価シートでは、各担当部署が自己評価して甘くなっており、これでは議会のチェックも十分果たすことができませんでした。しかも、指摘を受けそうな施策については、そもそも担当部署が評価シートの対象から外すことも十分あり得たのでした。
そこで、この度の外部監査報告を読みますと、特定団体への定額補助金に対して、投資効果の検証を求め、金額の見直しまで言及されていたのには驚きました。この中には、過去、私が指摘して来たものが何件か含まれており、それは厳しい監査意見が付いたものもあったのです。
 具体的には、合併町地域まちづくり振興事業補助金、広電へのバス購入補助金がそれです。私は、この包括外部監査結果報告書を後ろ盾に、先の一般質問や一昨日まで連日開催されていた決算特別委員会でも、大きくチェック機能が増したと痛感したところです。決算委員会で私は連日質疑を行っておりますが、これとて、十分な事前調査が事欠かせません。その際に、この外部監査報告書が大きな助けとなったのでした。
 と申しますのも、決算書では記述されていない補助金額、その背景や導入経緯、平成24年度からの補助金額の変遷、補助対象団体についても克明に記載されていたからです。
 議員は市民を代表して、市長以下執行部の施策や予算執行状況をチェックする役割と責務があります。ですから、特定の市長候補を議員が応援すると、その候補が市長になった場合、市長与党となって、議員としてのチェック機能を行使し難くなります。
 私は今後も、毎年度末に提出される包括外部監査結果報告書を大いに活用して、チェック機能を強化し、議員としての努めを果たして参る所存です。

Facebook 2017.10.3

合併町との不公平を解消し、真の地域協働確立を!

 本日は111回目の街頭演説。演説途中、複数の小学生が「自然共生」の幟旗を珍しそうに触っていました。
 さて、テーマは合併町地域まちづくり振興事業についてです。
 この事業は、呉市が周辺8町と合併する際、合併特例法により基金を造成し、合併町独自のまちづくり事業に対し交付するために創設した制度です。即ち、地域振興基金を40億円積み、その運用利益を原資に合併後10年間、1町当たり年額300万円を交付するというものです。
 因みに40億円の内、95%に当たる38億円は合併特例債を発行し、その内7割に当たる元金26億6千万円に利子を加えた金額が、10年間に亘って交付税措置されます。
 その後金利が低下してきており、平成25年度決算では578万円、28年度決算では461万円にまで運用利益が低下しました。本来の説明だと、基金果実の範囲内で補助するのが筋ですが、呉市は議会に説明することもなく、300万円の8町分2,400万円を毎年度支出し続けて来ました。昨年度においては、果実の不足分1,931万円に血税が充てられたことになります。
 問題は旧市内20地区との不公平感です。各地区には地域協働を推進するため、ゆめづくり地域協働交付金が交付されていますが、これには地区内人口によって、金額が異なります。例えば、私が副会長を務めている第四地区まちづくり委員会には、年額200万円が交付されています。合併町では人口が少ないため100万円となります。ところが合併町にはゆめづくり交付金に加え、別枠で地域振興補助金が一律300万円交付されているのです。
 私は、平成27年3月定例会での予算総体質問でこの点を指摘し、改革を要請しましたが、当局は聞き入れませんでした。しかも、地域振興補助金を今後も継続していく旨の答弁さえ飛び出したのです。
 ところが、呉市が昨年度から中核市に移行したことで、同年度から初めて包括外部監査制度が導入されました。その監査意見として、この不公平が見事に指摘されたのです。即ち、合併町地域まちづくり振興補助金とゆめづくり地域協働交付金の中身は同じであり、合併後10年以上を経過した現在、当初の目的は達成しているにも関わらず不公平が存続している、という内容です。
 私はこの監査意見をやり玉に、去る9月定例会一般質問で当局を追求。当局は、合併町地域まちづくり振興補助金とゆめづくり地域協働交付金における一体的な見直しに着手したことをついに吐露しました。
 更に、補助金の交付を受けたまちづくり協議会等が他団体に再補助していて、不透明になっていることに対しても監査意見がついたのです。私は再補助の原則禁止や、それらを根拠付けるまちづくり委員会条例制定を提唱しましたが、当局は2年半前同様受け入れませんでした。
 一方、合併町地域まちづくり振興補助事業を廃止し、ゆめづくり地域協働交付事業に統合するとなると、前者の原資となっていた地域振興基金40億円の使途が新たな課題として浮上して参ります。
 28年度は、県の基金が取り崩されたことにより、呉市出捐分が返って来たので、これを地域振興基金に加えたところです。私は地域協働に係る市民の寄付や本庁舎自動販売機収入を充てた市民公益活動支援基金も合体させて、新たなまちづくり支援制度の構築を提唱しました。
 具体的には、まちづくり委員会や協議会以外に、市民公益活動団体等にも助成の門戸を広げ、その基金の活用を図るのです。29年度を以て廃止されるくれ協働事業提案制度を担当部署によるコラボ条件を撤廃して復活させ、その代わりに今年度からスタートした子どもまちづくり事業交付金の愚策を廃止し、既存のゆめ創造事業をも包含するのです。この公募に採用されれば、地域の伝統文化事業を多く行っている合併町において加算措置となり、救済策に繋がるものと考えます。
 
 またもう一つの不公平は、合併町と支所がある地区には、まちづくり委員会・協議会の事務作業、即ち計画策定から資料作成、会計事務等全てを市職員が行っているという事実です。
 支所のない旧市内中央8地区においては、全て住民ボランティアです。これが真の地域協働であって、事務を市職員が行うことは人材が育たず、見せかけの地域協働と言えましょう。私はこの様な事務から職員を撤退させ、代わりに優秀な市OB等をまちづくり委員会等が事務員として嘱託雇用する際の助成制度創設も提案致しました。
 市長選を目前に控えてか、市の答弁は深入りを避け、曖昧模糊な内容を繰り返すさえない内容となりました。これでは呉市の行く末が危うい訳で、私は真の地域協働の確立を目指し、今後も当局に対し意見をぶつけて参る覚悟です。 

Facebook 2017.10.23

政党への政務活動費支出は違法!!

 本日は、112回目の街頭演説。昨日投開票された衆議院議員総選挙の結果分析をテーマに採り上げました。
 この度は、民進党が分裂し、希望の党への合流と立憲民主党が創設されたことで、自民党へ漁夫の利が舞い込んだ格好です。各選挙区では、自民党の対立候補として、希望の党と立憲民主党候補が乱立している所が散見され、この二人の得票を合計すれば、自民党候補を上回っているケースも多々見受けられました。
 その要因は、小池百合子希望の党代表が打ち出した「排除の論理」であることは明白で、憲法改正や集団的自衛権行使容認、消費税増税凍結等の踏み絵を踏まされることに反発した民進党リベラル派が決起した結果と言えましょう。ただ、政策が異なるのにただ数合わせすればいいという安易な考えも疑問を感じざるを得なく、ある意味で、排除の論理が間違っていたとも思えない伏しもあります。
また、勢いのある希望の党が失速した原因の一つに、小池百合子代表が出馬しなかったからだ、との指摘もありますが、もし出馬していたとしても、それはそれで、都政を放り出したとして批判に晒されるのは必定です。以前大阪維新の会が国政に躍進した際も、橋下徹代表は国会議員ではなく、大阪府知事に止まりましたし、これは小池氏が東京都知事である図式と全く代わっていません。
 ということは、失速要因は他にあるようです。その筆頭に挙げたいのが、衆院解散後の去る10月5日に、希望の党の姉妹地域政党である都民ファーストの会所属都議会議員2名が離党会見を行ったことです。その2名は小池都知事誕生の立役者となった音喜多駿氏と、上田令子女史です。突発的なこの会見は、小池知事や希望の党にとって、少なくないダメージだったと推察されます。
 彼らは元々都議会において、僅か3名で「かがやけTokyo」の少数会派で活動しており、一昨年7月の小池知事誕生に大きな推進力として活躍されました。都議選後の昨年9月、小池知事を代表に地域政党「都民ファーストの会」が起ち上げられ、それに併せて今年1月、会派名を「都民ファーストの会東京都議団」に変更した経緯があります。
 その離党理由を説明する会見で、最も驚かされたのは、政務活動費を毎月15万円、都民ファーストの会に上納する義務が課せられていたことです。都の政務活動費は、全国議会で最高額であり、議員1人当たり月額50万円です。即ち、年間600万円にもなります。今年7月の都議会議員選挙で、都民ファースト所属の議員は55名に一気に膨れ上がりましたので、これを基に計算すると、年間9,900万円が都民ファーストに流れる計算です。
 ここでいう、お金の受け皿となる都民ファースト会とは会派ではなく、地域政党の方でしょう。何故なら、政務活動費自体が東京都では議員個人ではなく、会派に交付されますので、もし会派にストックされた場合は、その使途を明確にする必要があり、留保はできないシステムとなっているからです。政務活動費の余剰分は行政側に返金する義務があるからに他なりません。
 因みに東京都議会は、来年度から1万円以上の領収証を含めて会計報告がホームページでアップされますので、それを見ればこのことは確認できるでしょう。
 そこで彼らのいう、月15万円の上納というのは、地域政党たる「都民ファーストの会」という意味だと受け取りました。そして、その使途が「情報公開されていない」ことが、離党理由の一つに挙げられた訳です。
 ただ、私から言わせると、もし政務活動費が地域政党に流用されたとすれば、これは地方自治法第100条と東京都政務活動費交付条例に違反すると考えます。何故なら、地域政党は私的な政治団体ですので、それに都民の血税が原資となっている政務活動費が活用されることはあってはならないからです。ましてや、その使途が不明朗であれば、その公金が都民ファーストから国政政党たる「希望の党」へ流れ、この度の選挙資金として活用されたのではないかという、疑念が拭えないのです。
 不思議なことに、記者会見を受け、この問題を深く掘り下げたマスコミは皆無でした。政務活動費の不正流用が続発する今日、マスコミが採り上げないのは極めて奇妙と言わざるを得ません。選挙前にこの問題を採り上げることで、希望の党の更なるイメージダウンを避け、自民党に有利になるのを防ぎたかったのがマスコミの真意と言われても仕方ないでしょう。
 一方我が呉市の政務活動費は、議員1人当たり月額5万円ですから、都議会議員の僅か1/10です。それでもこれで足りているのは、都と比べて使い道がかなり制限されているからです。
 具体的には東京都議会や広島県議会、広島市議会等では、事務所費、それに伴う光熱水費、それに伴う人件費の一部について、政務活動費からの支出が認められていますが、呉市議会では一切不可です。理由として、議員個人の活動は私的な活動と解釈しているからです。これは裁判の判例でも示されています。ですから、熊本憲三広島市議会議員が雇用していない女性の人件費をカラ請求したとして、詐欺で書類送検されるようなことも起こりえません。
 加えて、議員個人を宣伝する広報紙の印刷や配布費用なども、上記理由で認めておりません。会派発行のみが認められているのです。ですから辞職した橋本健神戸市議会議員が刑事告発された様に、広報紙をカラ印刷して不正請求するような事件も起こり難い訳です。 この様に、議会毎に異なる政務活動費の使途が、問題を誘発する温床になっており、法律を所掌する総務省が全国一律の使途基準を示すことが重要で、私は過去何度もこのことを訴えて来たのです。
 繰り返しますが、地域政党が所属議員に対し、公金たる政務活動費を上納金として徴収することがあってはならないのです。この問題は、マスコミが大きく採り上げ、オンブズマンあたりが刑事告発するくらいの事態に発展させるべきではないでしょうか?

Facebook 2017.11.13

改革を求めた有権者!呉市長選挙を振り返って

 本日11月13日は呉市長選挙開けのため久々の街頭活動。市長に当選された新原芳明氏が呉駅頭で通行人に挨拶しておられ、これにテレビカメラが取材に入っていました。私は同陣営の活動終了を待って、通算113回目の演説に入りました。テーマは呉市長選挙の総括です。
 
 この度の市長選は戦後初めて4名が立候補するという事態になり、有権者にとっては選択肢が増えるだけ、非常によきことです。結果は新原候補が3万8千票余りを獲得し、大差で初当選を果たされました。因みに現職の小村和年氏と元衆議院議員の三谷光男氏が共に2万9千票余りで各々次点と次々点に、宮宇地一彦氏は3千票に届きませんでした。尚、気になる投票率は52.41%で、前回を10%余り上回り、激戦の跡を物語っています。 結局新人が現職に8,300票も差を付けたというのは、有権者は新しい風を求めたということでしょう。実際小村氏は初当選の選挙戦で、当時の現職だった小笠原臣也市長を破った際、現職の多選を批判したのでした。このことがやり玉に挙げられ、今回の選挙戦でブーメランとして返って来ることになります。
 呉市議会一般質問で某議員は、「多選とは何選を意味しているのか?」と市長に問い質し、「4選以上だと思う」との答弁を引き出したのです。ただこれに関しては、「状況が変わったことや、まだやり残したことが政策課題がある」と付け加えざるを得なかったのです。このことが、現職に対し票が伸びなかった一番の要因と考えています。
 では、小村市長が残した実績とは何だったでしょうか?
 その第一は何と言っても財政集中改革でしょう。小笠原市政の時代に、阿賀マリノポリス埋立造成と、呉ポートピアランドへの出資、呉交通局による国民宿舎と交通事業、オークアリーナ、ビューポートくれ、クリーンセンターくれ、呉中央桟橋ターーミナルビル等のハコ物建設ラッシュで、多額の債務が残りました。残高はうなぎ上りとなっていたのです。財政は火の車でした。それをハコ物建設を抑制し、職員減に努め、アウトソーシングや指定管理を増やして債務縮減を着実に実行したのは、大きな実績と評価してよいでしょう。一般会計債務残高を、平成17年度をピークに減少させ続けたのです。
 その流れの中で断行したのが交通局民営化でした。これは私が初出馬の時点から掲げていた政策であって、公務員たる交通局職員の希望者を広島電鉄に雇用させたことは、大改革だっと思います。
 そして第2点目は、職員不正採用による小笠原市長逮捕に象徴される如く、職員倫理を条例を定めて徹底化させたことでしょう。当時議長が検察から家宅捜索を受ける事案も発生し、議会としても倫理条例を策定したのです。この時私は条例策定委員の1人として携わったのです。
但し、無駄な支出も目立ち、私は随所でそのことを指摘し続けて来たのも事実です。
 例えばその最たる施策として、JR呉線複線化です。これは小村氏が最初立候補した時からのマニフェストに掲げられており、彼が国土交通省鉄道局に身を置かれた経験を活かした施策だった訳です。
 これは小笠原前政権時に、260億円もかかる事業を断念し、水尻、狩留賀、川原石3駅に特化した部分複線化による22億円で類似効果を出す手法で決着させていたのです。だから私はこの施策に反対しました。小村市長は自身のマニフェストに従い、これに係る調査費を2年間に亘って2千万円組みましたが、私の指摘通り、全く無駄になったのです。
 他にも学校校庭の芝生化があります。これは前々回市長選でマニフェストに掲げましたが、前回市長選では知らぬ間にマニフェストから削りました。つまり、暗に失敗したことを認めた訳です。
 郷原に企業が進出を目指しており、大規模な土地がいるというので、そのボーリング予算6千万円を組みましたが、企業が進出を断念することで、これも無駄になりました。
 そして、今回の選挙選マニフェストに関して言えば、安芸灘大橋通行料無料化です。これは他の2候補もマニフェストに掲げていますが、現職は最も事情に精通しているので、軽はずみに公約する訳には本来いかないはずです。過去の議会答弁でも、「本橋は県道路公社が建設したものだから、その債務返済の原資たる通行料収入を上げるため、県と利用促進策を講じていく」としていたのです。
 それが、選挙選になるといきなり耳障りのよい「無料化」ですから、議会答弁と大いに矛盾しています。他の2候補も同様のマニフェストを掲げているので、安芸灘地区の票を逃がさないための、苦肉のマニフェストだった可能性が高い訳です。
 実際、選挙期間中に市長が某団体の会合に顔を出され、幕間演説をされました。たまたま私はその会合に出席していたので、市長は「安芸灘大橋の無料化については、県にお願いし、数年間で無料化に漕ぎ着けます」とかなりトーンダウンしていたのです。この言葉の裏には、「県がウンと意って税金を投じなければできません」と暗に言っているのと同義です。しかも数年で無料化するということは、「次期4期目だけでなく、5期目も市長をおやりになられるのですか?」と聴かざるを得なくなる訳です。市長任期は4年間しかありませんから・・・・。これは目の前に私がいたため、すぐに無料化しますとは言えなかったのでしょう。
 つまり、これは小村市長に限らず、相手を見て言い方を変えるのが選挙マニフェストの正体ということです。言わば、有権者にも賢明さが求められているのです。
 ところで、この度の選挙戦では現職に対する選挙妨害を目的とする怪文書が流布されまいた。自治会長には全て郵送されています。これは自治会長名簿が第三者に提供されていることを意味し、名簿の目的外使用に当たり、決して好ましい姿ではありません。警察も捜査をしているようですが、発信元を特定するのは簡単なことではないと思います。特に選挙戦に近づいてからは、どぎつい内容まで言及されており、後味が悪く残りました。
 また、その情報によってもたらされた悪い噂を払拭するため、或る公共的団体がさも現職を応援しているような動きがありました。公共的団体は呉市の補助金交付団体ですから、その団体が特定候補を支援しているような雰囲気を創出することは大いに問題です。
一方、この度の開票結果が呉市ホームページに掲載されたのは、結果が出た昨日23時45分から、10分後ということでした。開票現場のオークアリーナに秘書広報課職員が赴き、その場でパソコンに入力して、広報発信したのです。
 それはよかったのですが、ある市民は呉市選挙管理委員会ホームページを閲覧したため、見つけることができませんでした。かく言う私はグーグルで検索したため、これも見つけることができなかったのです。日付変更線を超えた1時過ぎに、他の書き込みにより、ようやく開票結果が分かった訳です。ところが今朝になって検索すると、呉市ホームページの新着情報たる開票速報を見つけることができました。
 今から想えば、夜中時点ではグーグルでは優先順位が低かったので、見つけられず、今朝になったらアクセス量が増えたので、自動的に優先順位が上がって検索で見つけることができたということでしょう。
 但し、昨晩時点で開票結果は掲載しても、投票率や投票総数は掲載しておりませんでした。これは秘書広報課と選管との内部でのやりとりがうまくいっていなかったことが、先ほど判明致しました。理由は一言で言えばマスコミ対応と関係があったということです。
 そこで私が指摘したため、先ほどようやく呉市ホームページの新着情報に、投票結果を掲載したのです。投票率は今朝の地元新聞号外で知ることができ、紙媒体よりインターネットの方が遅いとは言語道断です。
 すると今度はそれを閲覧した市民が、「誰が当選したのか分からない」と言って来ました。つまり当選者の獲得票数が掲載されている「開票結果」と、投票総数や投票率が掲載されている「投票結果」を一括して見ないと、有権者ニーズを満足できない訳です。そこで私は、4年前同様、これらを一つにまとめて掲載するよう、秘書広報課に指示したところです。
 結果論ですが、多くの有権者のニーズに即時応えられなかったことは、呉市の広報体制としては、大いに反省すべきでしょう。
 いずれに致しましても、新市長を迎えるに当たり、私はこれまでと同様是々非々で対応して行くべく、決意を新たにしたところです。

Facebook 2017.11.20

差別撤廃を標榜する人権啓発の公的支援策に差別が!

 昨日は、呉市新市長初登庁の日。それに合わせての114回目の街頭演説となりました。テーマは人権啓発推進事業についてです。
 
 この推進母体は、地区自治会連合会単位に人権啓発・教育推進協議会を組織し、概ね連合会長が当て職で会長となっておられます。役員には民生委員、自治会長、PTA会長、校長、教頭、呉市行政職の一部が就任しており、事務局は呉市の一課が務めています。
 その予算規模は年額2万円で、呉市社会福祉協議会からの助成金が充てられています。
ところが合併町には、これとは別枠で各15万円が呉市直轄で支出され続けて来たことが、先の決算委員会での私の質疑で初めて明らかになりました。その使途は、映画上映会開催費用です。鑑賞者は無料となっています。
 具体的には、合併直後の平成17年度に音戸、倉橋、安浦町でスタートし、18年度に蒲刈、豊浜町を加え、19年度に川尻、豊町を加えました。以来毎年度7町分の105万円を予算計上していたのです。下蒲刈町のみは、上映会を開催しないと意志表明されたことから、予算は計上されませんでした。
 問題は、「何故合併町のみが優遇され続けて来たのか?」ということです。「合併町の人権啓発・教育が遅れていたから、それを充実させるため」との答弁ですが、これでは全く理由になっていません。旧市内の地区人推協で啓発が進んでいるとは、どのような物差しで測ったのか、それも不明瞭です。
 しかも、合併後にこのような不公平な予算を、即ち17年度当初は新規予算だった訳ですが、議会に全く説明しておらず、これまでも闇に包まれたままだったのです。と申しますのも、予算書には人権啓発推進事業全体費が記述されているのみで、この事業そのものは、合併前から継続していたため、全体では新規予算にならない訳です。人権啓発で差別をなくそうと謳っているのにも関わらず、旧市内と合併町間で差別があるとは、ジョークにもなりません。
 私は、来年度から即刻本予算を廃止するよう訴えました。当局は決算委員会の場ではそれに答えず、後日更に追求しますと、合併町地域まちづくり振興事業補助金の改革に合わせて行うということが判明致しました。この補助金こそ、昨年度末の包括外部監査で不公平を指摘され、私も改革を主張し続けたものです。具体的には、合併町のまちづくり協議会に対してのみ、旧市内と別枠で毎年度300万円ずつが交付され続けて来たものです。
 15万円を廃止されれば、担当部署の人権センターに批判が集中するため、企画課の300万円というもっと大きな不公平の改革の影に隠れようとする算段は明白です。振興補助金改革は一朝一夕にはできませんが、上映会支援費は、市長がその気になれば即廃止できる内容だからです。
 一方、啓発事業131万円の内、残りの26万円は、毎年開催される人権講演会や12月恒例のヒューマンフェスタの事業費の一部に充てられます。
 これは、「世界人権宣言」呉実行委員会との共催事業です。同委員会に対して、呉市から負担金が、予算26万円中10万円支出されています。他に呉市自治連を含む加盟26団体から各3千円の負担金、1個人から千円の負担金収入があり、計7万9千円、講演会の入場料が1人500円で約65万円の収入となっており、呉市自治会連合会副会長が会長を務めておられます。
 方や28地区にある人権啓発・教育推進協議会を一つにまとめたのが、呉市人権啓発・教育推進連絡協議会で、これは呉市自治連会長が会長を務めておられます。つまり、似たような公共的団体が二つ存在することが判りました。しかも同一事業を主催しているのですから、これこそ一本化すべきでしょう。
 そこで、何故二つ存在するのか調べてみました。呉市人権啓発・教育推進連絡協議会の前身は呉市同和教育推進連絡協議会で、「世界人権宣言」呉実行委員会と共に昭和59年に設立されています。その後平成14年6月、前者を現在の呉市人推連に発展的解消したのです。
 これは、昭和62年度に施行された同和対策事業の根拠法だった時限立法たる地域対策財政特別措置法(地対財特法)が平成13年度末で廃止されたことに伴うことは明白です。法廃止後は、同和対策に特化することなく、広く人権啓発全般を行う責務が行政に課せられたことによります。
 ということは、地対財特法廃止時点から、二つの人権組織を統合すべきだったと言えましょう。
 因みに、呉市人推連の収入財源は、呉市社会福祉協議会からの助成金18万円、各地区人推協からの負担金2千円で5万6千円となっています。地区人推協負担金の原資は呉市社会福祉協議会助成金ですから、全て社協からの助成金ということになります。ならば、地区人推協は地区社協に包含せしめることも一法でしょう。同じメンバーが当て職を分担し合っている構図は、個々に負担になるので、スリム化を検討すべきです。
 
 整理致しますと、今後の課題としては2点です。第一は、合併町と旧市内との不公平を是正すること。第二は類似する組織を統合することです。私は今後も実現に向けて精進して参る覚悟です。

Facebook 2017.11.30

中央公園防災化計画の議会報告は基本設計発注後だった!

 去る11月27日は、115回目の街頭演説。テーマは、中央公園を防災公園転用するための基本計画についてです。
先般11月24日の呉市議会産業建設委員会で、呉市は初めて中央公園防災整備事業基本計画を公表しました。
 と申しますのも、以前基本構想が示された際、飲料水兼用耐震性貯水槽をもう1基設置するとか、ヘリポートを新設する具体案が示されていました。私は、前者は既に1基設置済みなので不要とし、後者については、広場スペースが狭くなるし、市民広場がヘリポート指定されているので、専用スペースの設置は不要との考えを当局に示していたのです。
 その後、昨年度予算に、基本計画策定のための調査委託費が計上された際、基本設計に入る前に、調査結果の報告をするよう当局に要請していたのでした。
 ところが、この度の委員会における私の質疑により、基本設計は既に発注済みであることが明らかになったのです。即ち今年3月末に調査結果が出て、その後部署内でこの度の基本計画を策定した後、9月に基本設計を発注してしまっていたのです。つまり当局は、このことを隠していました。
 委員会で議員からはかなり注文や意見が出ましたが、これでは後の祭りで、基本設計の仕様書に反映することはできません。9月に発注する前の6月定例会か、9月定例会前に委員会報告すれば、それら意見を基本設計に十分反映できたことになります。これは議会軽視の何ものでもありません。
 しかも、基本計画公表が基本設計発注後になった理由を私が質しましたが、明確は答弁はありませんでした。
 実は、中央公園を防災公園に模様替えするには、現在の噴水池を撤廃して、フラットの多目的の自由広場を造成する必要があります。これまでの池が通常の路面より低くなっているのは、内神川から溢水した雨水を貯留させる効果を兼ねていたのです。それが、県の内神川改修計画で、河川幅の狭い内神川を堺川に新たに連結する計画が既に示されていることもあり、フラットにすることで、避難広場や緊急車両駐車場に活用が可能となるのです。これは防災機能を考えれば当然のことと言えます。
 しかし、慣れ親しんで来た噴水池がなくなることは憩いの場の機能が希薄になることを意味し、市民から反対の声が上がるのを覚悟しておかねばなりません。だから、来年1月に住民説明会を実施する方針が示されたのです。
 ということは、基本計画公表が遅れたのは、市長選挙に悪影響を及ぼす懸念があったからと言われても仕方ないでしょう。
一方、ヘリポートは専用スペースは設けない代わりに、緊急時の離着陸は可能としました。そして地震等により水道配水管が破裂し、水が供給できなくなることを想定して、既設トイレ付近にマンホールトイレを既設トイレ付近に新設することしました。これは下水道管へマンホールを通じて直接排便を落とし込む構造で、普段は使えません。
 また、フラットにする自由広場は海抜4mと、新庁舎の基礎部分の高さに合わせます。これは南海トラフ地震等が起きた際の津波の最高の高さは1.6mとされており、これに満潮時の海抜2mを加えて、最高3.6mになることを踏まえた高さです。
 更には、公園内の緊急車両が緊急輸送道路に指定されている北側の中央二河町線と、東側の宝町本通線と円滑に連結できるよう、園内に動線複数確保します。特に宝町本通線へ出るには一旦、南側のシティプラザすぎや側にある一方通行路に出る必要があります。そのこともあって、2箇所ある車両出入り口の幅を、既存の3mと6mを、各々6m、10mに広げ、大型車両にも対応を可能とします。
 問題は、既設の飲料水兼用耐震貯水槽とは別に、耐震性防火水槽を新設することです。
前者は飲料水と防火用水と双方への利用が可能です。そこで避難した市民へ飲料水の提供が必要になった場合に備え、別途防火利用対応の水槽を設置するというのです。
 しかしながら、市民が多数広場に避難しているのに、防火水を駆使して消火活動に当たることはないと考えます。災害対策本部が、火事でそのような危険箇所に避難誘導するはずがないからです。つまり、飲料水と防火用水は、それぞれの場合で利用され、重複して使われることはないはずなのです。それなら、防火水槽を新設するのは殆ど無駄になるのではないでしょうか?
 実際自由広場も、ある時は広域避難場所として、ある時は救援部隊駐車場と、使い分けすることにしています。加えて、現在耐震・老朽改修工事を行っている体育館は、準拠点避難所として、または備蓄上としての2面性利用を位置付けています。これと同様に、現在既に設置されている飲料水兼用耐震性貯水槽で、飲料水と防火用水は、時と場合に応じて使い分けできるはずです。
ところが、その後の調査で、中央公園の北側への消火活動への対応も含んでいることが判明しました。防火水槽は500m四方に1基ずつ設置する計画で、北側には既にありますが、阪神大震災級の大規模地震が起きたと想定しますと、市街地の同時多発火災に対応するには、多いにこしたとはないそうです。防災機能を銘打った公園だけに、必要との考えもありましょう。
 そして、地震災害によって水道配水管が遮断された場合、飲料水兼用貯水槽は、内部弁で仕切られ水が遮断されますので、飲料水供給を最優先し、防火用には使わないとのマニュアルもあるとのことでした。
 また、飲料水兼用貯水槽をもう1基設置しようとすると、100トンタンクが二つに倍増され、近隣住民の使用水の関係で、タンク内の水が滞留することで、飲料水不適格となります。このような理由から、もう1基飲料水兼用貯水槽設置を断念したことも判明致しました。
 このような議論を十分行った上で、基本設計の仕様書に反映させるため、基本計画の議会への報告は、基本設計発注前に行うべきだったのです。私は、度重なる市の議会対応の不備を、今後も糺して参る所存です。

Facebook 2017.12.7

稼働率低いコテージかまがりの増築に疑問符!

 去る12月4日は、116回目の街頭演説。テーマは、コテージかまがりの増築についてです。
これは、昨年度末に可決された呉市補正予算の中の1億600万円の内、1億円を充てて、県民の浜敷地内にあるコテージかまがりの改修と増築をするものです。
 既設のコテージかまがりは5棟あり、内訳は5人部屋3棟、10人部屋2棟の木造平屋建てです。小高い場所に立地し、瀬戸内海を眺望でき絶景です。増築というのは、別の場所に新たに4人部屋2棟、2人部屋1棟を建築するものです。
 
 ここで第一の問題は、既設棟の宿泊稼働率が年間平均僅か23%しかないということです。ならば稼働率を高めるのが最優先課題であり、増築をすれば、それだけ空き部屋を増やすことになりかねません。当局の説明によれば、繁忙期の7月で71%、8月で80%強の稼働率といい、この時期は予約を断る場合もあるといいます。
 私から言わせれば、最も稼働率が高い時でも8割ということは、5棟の内1棟は空いていることになりますし、もし満室であれば、隣接する下蒲刈島にあるコテージ梶ヶ浜を紹介すればよい訳です。また、年間を通じて23%の稼働率ということは、2月の閑散期等では、殆ど利用がないとの裏返しでもあります。
 稼働率が低いにも関わらず、平気で増築するのは、経営感覚ゼロと言っても過言ではありません。
 第二の問題は、かまがり温泉やすらぎの館に隣接する駐車場内に新築することで、海浜の近くになるため塩害を避ける意味で、木造ではなく発泡ポリスチレン造にすることです。これはドーム型で、若者に人気で売り出し中の阿蘇ファームヴィレッジにあやかろうというものです。
 この発泡ポリスチレンというのは、発泡スチロールを強固にしたものですが、自然の素材ではないため、蒲刈町の自然にマッチする木造コンセプトに合致しません。県民の浜の主要棟「かがやきの館」は勿論木造ですし、合併時の役場だった現市民センターは木造で、建築部門で入賞しており、当時はISOを取得していました。これらはいずれも海のそばですので、塩害を避けるために発泡ポリスチレンにしたというのは、理由になりません。 加えて科学素材ですから、人体に少なからず悪影響を及ぼす危険もあります。建築コストも木造より高いということでした。
 第三は、県民の浜の指定管理者である㈱県民の浜蒲刈から要望が上がった訳でもないことです。結局国が地方創生拠点整備交付金を選挙対策でばらまいたことで、呉市の枠を目一杯使う際に、このような案が呉市担当部署の役人から出されたに過ぎません。但し、この交付金は事業費の半額分しかもらえないのです。
 しかも、呉市は公共施設等総合管理計画で、新たなハコ物建設はできるだけ控える基本方針を打ち立てており、これとも矛盾致します。
 宿泊稼働率が低いといっても黒字だと、当局は胸を張りましたが、それは管理する㈱県民の浜蒲刈の職員が宿泊棟であるかがやきの館に常駐しており、人役を兼務できるスケートメリットがあること、平成10年12月に建築してから、殆ど維持補修費がかからなかったことが要因です。勿論建物の減価償却は行っておらず、イニシャルコストは全額当時の蒲刈町が負担しており、これらは支出に入れていないこともあります。
 実はこの交付金を使って、既設棟のウッドデッキをバーベキュー対応にしたり、サイクリング対応の駐輪施設を室内に設置するなどの改修工事を2,830万円で行うこととしています。これは稼働率向上策として必要と考えますが、何も7,170万円を使って別途増築する必要性は乏しい訳です。費用対効果からも、時期尚早だと考えます。
 結論として、国のばらまき予算に安易に手を出すべきではありません。この増築予算に対し、私はただ一人反対を表明致しました。今後も市政をチェックして参る所存です。

Facebook 2017.12.16

不可思議な、一般法人による市民全世帯からの半強制募金

 去る12月11日は117回目の街頭演説。某政治家の政治活動用ポスターに、同日8時から呉駅前街頭演説の案内表記がされていたのを受け、この日の予定8時を30分繰り上げ、7時半スタートとしました。しかしその政治家が現れることはありませんでした。
 さて、テーマは環境・健康募金についてです。
 呉市においては、市民全世帯から募金を徴収していて、一世帯当たりの徴収目標は年額100円となっています。寄付ですから強制ではないとしつつも、相場の金額を予め設定している訳です。徴収するのは、自治会です。自治会費と別に個々に徴収するのは役員が大変ですので、多くの自治会では徴収した自治会費の中から、世帯分をまとめて事務局に納めています。
 では、どこへ納めているのか?それは一般社団法人・広島県環境保健協会です。
 この団体は、昭和31年に広島県が公衆衛生活動を発展させるための施策として、公衆衛生推進委員制度を構築したことが始まりです。当時は県知事が委員を委嘱しており、17年間継続した後、廃止されました。
 但しその趣旨を継承し、県内市町村で、公衆衛生推進協議会を起ち上げ、委員の推薦を行ってきました。呉市公衆衛生推進協議会は昭和34年に発足して現在に至っており、呉市自治連会長が当て職で会長に就任され、各地区自治連会長が当て職で理事に就任されています。
 一方、県内の公衆衛生推進委員の連絡・調整を行うため、昭和32年に任意団体たる広島県地区衛生組織連合会が発足し、国の公益法人改革に伴い、現在の一般社団法人・広島県環境保健協会になった訳です。健康、環境、水、食に関し、事業者を支援する各種事業を行っておられます。経営理念のトップに、「環保協創設の理念にふさわしい公益事業を推進する。」と謳っています。公益事業が主体であれば、一般社団法人ではなく、公益社団法人の認可を取るべきでしょうが、収益事業が公益事業の割合を上回っているため、公益社団法人になれなかったのです。
 つまり、創設当初は公益事業が主体であったのを、現在は収益事業が主体となっていることは否めません。ということは、収益事業を主に行う団体に対して、住民1人1人から半強制的に、しかも自治会という徴収マシンを利用して寄付を集める行為そのものが疑問です。
 確かにその決算書を見ますと、集めた寄付は目標額以内であれば、下部組織に4割が還付されます。目標を超えた部分は全額が地元還元される仕組みになっていることが判りました。呉市においては、呉市公衆衛生推進協議会を通じて、寄付を集めた母体である各地区自治会連合会に還付されます。それが各自治連の活動費に使われているのです。寄付徴収の労に対する対価がこの還付金なのです。環境・健康を旗印に集めたお金の約半分はそれ以外のことに使われていることになります。
 しかも収益事業を行っているため、県は県環保協に対し補助金を交付していませんし、事務所も公共施設を無償提供していません。その様な団体に県内全世帯から自治会を通じて寄付を募るのは問題ありと考えます。事務所も自前で、広島市内にある広島県公衆衛生会館内に構えており、人間ドックの斡旋事業を初めとして大きな収益を上げているのです。
 だいたい、この様な組織があるのは、全国の都道府県ではどうも広島県だけらしいのです。同団体が行っているような公益事業は、行政の役割として各自治体で行っていることです。だから敢えて団体を組織する必要性も低いと考えます。
 ところで、県環保協の募金目標額は一世帯当たり年額100円ではなく、50円なのです。呉市もかつては50円でした。
 その後近隣8町と合併した時点で各市町がばらばらだったため、統一する必要が出て参りました。合併協議の基本は、原則呉市の制度に合わせるということでしたので、50円にすべきところを100円に変更したのです。それには理由がありまして、呉市の自治会加入率が約76%なので、自治会を通じて寄付を集めるとすると、全世帯分の目標額を達成できない事情がありました。そこで目標をクリアし易いように100円に値上げしたのです。
 因みにこの目標額は、県内市町ばらばらとなっています。例えば最高額の大竹市で300円、廿日市市や熊野町で200円です。東広島市のみが最低で50円となっていました。江田島市などは、合併前の能美町が250円、他の3町が200円と、同じ市内で不公平となっています。更には加盟していない町もありますし、広島市も未加盟です。
 さて、呉市公衆衛生推進協議会においては、呉市所管部署は環境部でも保健所でもありません。直接関係のなさそうな地域協働課となっており、そこが事務局を務めています。これは自治会連合会に集金マシンをさせ、そのうまみとして活動費として還付している構造上、同課が窓口となっているのです。
 結局、親組織は全てプロパー職員で収益事業を行い、その傘下に入っている市町単位の下部組織の事務は公務員が行っている訳で、いびつな関係だと言えます。実際募金を使った啓発活動として、県環保協は機関紙「環境と健康」を発刊していますが、これは各自治会に1枚しか配布されません。それだけ印刷代を倹約していますし、これを読んでいる市民は皆無に近いでしょう。自治会に1枚配布するだけなら、印刷せず自身のホームページにアップすれば、それで済む訳です。
 私は、下部組織たる呉市公衆衛生推進協議会を解散し、自治会の負担を和らげ、市民啓発を中心とする必要な公益活動は市の施策において実施すれば十分だと考えています。 

Facebook 017.12.20

青山クラブ活用策には目玉展示が必要不可欠!!

去る12月18日は、118回目の街頭演説。テーマは、12月15日に呉市議会総務委員会で公表された、青山クラブ等の活用方針案についてです。
 
呉市は、今月国から、海上自衛隊集会所「青山クラブ」とその別館である「桜松館」を敷地を含めて一括購入する方針を昨年12月に発表しておりました。ただ、その活用方針において、桜松館を観光施設に改修し、青山クラブは解体して駐車場に転用する内容だったため、議会や市民から疑問の声が出たことで、保留となっておりました。そのため、国からの公共優先購入は、来年度当初に延期される見通しです。
 青山クラブと桜松館は、戦時中、下士官兵集会所とその家族の厚生施設として存在価値を有し、昭和4年に現在の鉄筋コンクリート造に建て替えられています。大ヒットしたアニメ映画「この世界の片隅に」にも、メインに描かれており、これを訪ねて来る観光客もおられます。
 新市長も、「できれば全部保存したいが、投資効果も含めて再検討する」との答弁が、先の12月定例会でありました。
さて、これらの動向を受けて、この度市は活用案4案を提示致しました。
 その4案全てに共通するのは、桜松館の整備です。これは耐震改修を施工した上で、音楽演奏機能を備えたレストラン・カフェと土産物売り場を設置する観光拠点施設となります。この改修・整備だけで数億円かかるようですが、数字は未公表です。これを仮に6億円としておきましょう。そして建物を含めた土地全体を購入するのに、今年度予算として3億3,600万円が組まれていますので、これだけで9億円強が必要となります。
市が示した4案は、この9億円強とは別途係る費用を概算提示しております。
 第1案は、前市長が当初提案した内容で、青山クラブを解体し、200台の駐車場を整備するというもので、解体・整備費に5億円がかかります。委員会ではその内数は示されませんでしたが、解体費に3億円、駐車場整備に2億円程度かかるようです。
 第2案は、青山クラブ外壁の一部をモニュメント式に残すもので、その耐震改修を含め、駐車場を150台分整備することで、6億円が必要となります。
 第3案は、青山クラブ建物の一部1/3程度を残し、観光施設に衣替えするもので、その耐震診断・改修を含め、駐車場を100台分整備することで、15億円が必要となります。加えて建物の維持管理費が毎年4千万円かかります。
第4案は、青山クラブ全てを保存し、観光施設に衣替えします。これは、この度NPO2団体から提案された内容に合致するものです。 但し、設計費や耐震に係る診断と改修費を合わせると30億円もかかってしまいます。加えて、その建物を維持管理するのに、毎年9千万円が必要となります。
 
 次に財源問題ですが、有利な起債である合併特例債の活用の可否が鍵を握っています。これは、対象総事業費の95%が借金の対象で、その内7割が利子を含め、10年間で交付税措置、即ち国の負担となるものです。これは広域合併の翌年度から15年間が事業期間とされており、呉市の場合平成31年度までに、事業を完了できないと合併特例債の対象となりません。
 ということで、第1案と第2案は31年度までに工事を完了できるため、その全額が合併特例債の対象となります。第3案は合併特例債の対象外、第4案は駐車場整備部分の1億円のみがその対象となります。つまり、建物の保存と耐震改修は32年度以降に工事がまたがって来るため、合併特例債の対象となりません。
 但し、現在政府が合併特例債の対象期間を5年間延長することを検討しており、これが実現しますと、第3、4案とも全てが合併特例債の対象となる訳です。
 因みに、呉市の合併特例債の発行限度額は540億円で、残りの債権発行枠は20億円ありますので、全てが嵌まりそうです。
 ところで、もし民間提案の様に第4案を採用した場合、青山クラブの保存、活用策が問題となります。提案ではゲストハウス、映画館、まちづくり拠点施設とあります。
 ゲストハウスは、観光客が連泊可能な安価な宿泊施設のことで、トイレや浴室を共有して、宿泊客同士が交流できるシェアハウス的要素があります。しかし、「この世界の片隅に」の余韻効果が、いつまでも続く訳がありません。ニーズは少ないと思います。かと言ってビジネスホテルや旅館のような宿泊施設では民業を圧迫してしまいかねません。
 そもそも、誰がその宿泊施設を経営するというのでしょう。民間事業者を誘致する場合には、採算が合わねば事業化をすることはありません。以前呉市は、音戸ロッジ跡地の活用策として、100室以上の宿泊施設誘致をプロポーザルで募集しましたが、提案事業者は皆無だった経験があります。また、公設民営にしようものなら、指定管理事業者が赤字に陥らないようにするため、収支不足分を呉市が税金で補填し続けねばなりません。
 映画館にしても全く同様です。加えて通常の映画館とは異なり、過去呉市を舞台にした懐かしの映画を上映するという構想も、インターネットやビデオが当たり前の現在、ニーズがあるとはとても思えません。
それからまちづくり拠点施設ということですが、現在くれ協働センターが新庁舎内に、ひろ協働センターが広市民センター内にあり、重複してしまいます。また新たな運営に係る委託人件費が発生することが予想され、維持管理費9千万円を超過してしまいます。
 宿泊施設や映画館は収益事業ですので、ポートピアランドの失敗で明かな様に、行政が手を出すものでは決してありません。まちづくり拠点や観光拠点は収益を生み出さないため、新たな委託に係る費用が発生するのです。
 呉市の提案にも、第3案と第4案において、保存活用する際は宿泊施設等を検討するとしており、全くの愚策と考えます。私は委員会でも、この点を強調しました。
 この様に精査してみますと、私は第2案と3案の中間、即ち第2.5案を提唱致します。即ち第2案の外壁保存は、建物の特徴的な左端部分、丸みを帯びた箇所のみとなっており、外壁全体の1/5程度です。それをそこを含めて、正面全体の外壁を残すというのが私の提案です。これだと外壁全体の1/3程度となります。
 建物を保存しないので、改修費や維持管理費は軽微なものとなり、しかも「この世界の片隅に」に描かれている建物全体のイメージを保つことができるのです。
 ところで同映画には、その建物の前の番兵棟の中に番兵が立っている場面が登場します。この番兵棟の現物は、現在入船山記念館内にあり、これを移設すべきです。そして当時、下士官兵集会所に行くには、直前の「めがね橋」を渡る必要がありました。これは歴史的価値ある建築物らしく、現在はアスファルト道路の地下に隠れて見えなくなっています。これを模型展示して、披露するのです。これらの2案も当局に要望したところです。
 そして最大の提案は、今年3月の予算総体質問で私がぶつけた、戦艦大和大型試験機の中庭への設置です。これは長さ28m、高さ5mもあり、さしずめ大和ミュージアムの目玉である戦艦大和1/10模型に匹敵するもので、歴史的にも価値ある財産です。これを平成23年度に広島大学から無償貸与を受けたのですが、展示計画のなきまま、6年間もアレイからす小島駐車場の奥に、シートを被せたまま放置し続けて来たのは、正に行政の無策、宝の持ち腐れと言っても過言ではありません。
 目玉商品がなければ、知名度のない桜松館では、観光客は多く来ないでしょう。呉市の4案は、全て桜松館がメインの観光施設となっており、これでは魅力が不足致します。ここは発想の転換を行い、「この世界の片隅に」で一躍脚光を浴び、知名度のある青山クラブの外観を残した上で、その中庭に戦艦大和大型試験機を観光の目玉として据えるのです。そして、附属的休憩施設として物販や飲食を伴う桜松館を位置付けるのです。
 実は、この度の第1・2案には、今後第2段階として、大和ミュージアム関連施設の整備を敷地内にて検討するとしています。これには、私が提唱した戦艦大和大型試験機展示が選択肢として入ることになるでしょう。またそういう意図が込められているとも言えます。
 では何故二段階整備なのかと、当局を質したところ、大和ミュージアム関連資料20万点の中から選択しつつ、第2大和ミュージアムとしての展示計画を立案するのに、設計と合わせ時間がかかるということでした。
 とんでもありません。第2大和ミュージアムなど必要ありません。大和ミュージアムとてつのくじら館がオープンして以降、入船山記念館の来場者数が激減した過去の苦い体験があるのです。即ち二兎を追っては駄目なのです。建設費や維持管理費でまた大きな税金を投入することにもなるでしょう。おまけに、駐車場を整備するのに2億円近くかかりますから、整備費そのものが投資損となる理屈です。
 しかも、桜松館オープン時には、そのような目玉がないので、スタートラッシュも到底見込めません。新しい観光施設は、かつての大和ミュージアムがそうだったように、スタートが肝心なのです。
 よって私は、第2大和ミュージアムの整備は不要で、単純に戦艦大和大型試験機を展示するだけのハコ物を整備するべきと主張しました。それに若干の資料を添えればよい訳です。つまり、桜松館の改修と試験機展示館を当時に設計・建設し、平成32年度のオープンに間に合わせるべきです。
 大体、桜松館をメインに、200台もの駐車スペースが必要な訳がありません。大和ミュージアムでも設計段階で、年間40万人の集客を見込み、その受け皿として40台分の駐車場しか当初整備しなかったのですから・・・。果たしてどれだけの集客を見込んでいるのか、これから当局を追求していこうと思っています。
 
 では、青山クラブの現在の中庭に大型試験機展示館を建設するとなると、来場者用駐車場はどこに整備すればよいのかという疑問が生じましょう。
 それは、予算総体質問で既に提案したように、道路を隔てた反対側にある入船山西駐車場を充てればよい訳です。ここは現在、大和ミュージアムに来場した観光客を降ろした観光バスが一時的に待機する場所となっています。従って、大型試験機展示館ができた後は、大型バス用スペースは必要数のみ確保しつつ、残りの部分を自家用車用駐車スペースとして確保するのです。それで不足する分は、隣接する26台分のスペースがある市有地を、普通財産から行政財産に目的替えした上で活用すればよいとの案も最近提示致しました。
 そして、大和ミュージアムを訪れた観光バスの待機場は、アレイからすこじま駐車場を利用すればよいことも、予算総体質問で既に提案したところです。
 この様な計画になるよう、私は今後も訴えて参る所存です。呉市の命運がかかっていることは疑う余地がありません。今回の成功が、新市長が掲げる「いきいき、わくわくするまちづくり」、即ち「くれワンダーランド構想」に繋がるものと確信する次第です。 

Facebook 2017.12.28

介護予防と認知症対策の問題点を指摘!

 去る12月25日クリスマスの朝は今年最後となる街頭演説で、通算119回目となりました。テーマは、介護予防と認知症対策についてです。
平成27年度改正施行の介護保険法によって、要支援1・2の方は通所・訪問介護に限り国の給付事業から外れ、市町村独自の地域支援事業に移行しました。即ち、その中の新しい介護予防・地域生活支援総合事業に位置付けられたのです。
 これにより、サロン事業の移行に問題が生じました。具体的には呉市において、要支援になる前の方、いわゆる要支援候補者を対象としていた1次予防事業としての地域密着型の呉市社会福祉協議会との共同事業たる「ふれあい・いきいきサロン」や、レクレーション型委託事業である「すこやかサロン」、2次予防事業としての「介護予防教室」の対象者に差異がなくなり、全て総合事業の中の一般介護予防事業に位置付けたのです。
 因みに介護予防教室には、筋力アップ教室やマシントレーニング教室等があります。特に後者は、マシンのある音戸のさざなみ苑やウィング倉橋等でなければ開催できません。水中歩行は、今年度からダイクレスウィミングに委託してスタートしたところです。
 さて一般介護予防事業とは、対象は65歳以上であれば誰でもよく、平成18年度改正施行の介護予防の導入の趣旨とは若干趣旨が異なります。例えば介護予防教室は2次予防対象者が受講し、カリキュラムを修了すればそれまでだった訳で、今年度から呉市では分け隔てなく参加することを可能にしたのです。それでは介護保険料を使って何の無料教室を実施するのか、その費用対効果に疑問が残ります。
 私はこれを総合事業の中でも介護予防・生活支援サービスの通所事業にするべきではなかったのか、疑問を感じているところです。そうすれば、対象を要支援者か介護予防必要者に絞り込むことができたのです。つまり、ふれあい・いきいきサロンとの差別化を図るべしというのが私の考えの一つなのです。
 また、平成27年10月からは、議会に報告なきまま、新たなサロン事業である「きてくれサロン」がスタートしていました。これは、指定介護サービス事業所に委託しているもので、受講料は事業所が設定、現在21箇所あり、機能訓練指導員が指導に当たっています。これは会場は事業所が自前施設を提供し、人材も兼務できるので委託料の縮小化を狙っただけで、すこやかサロンに似ています。
 つまり、一般介護予防事業は、既存のふれあい・いきいきサロン、すこやかサロン、各種介護予防教室に加え、新たなきてくれサロンと、群雄割拠としてひしめいており、その違いが高齢者に非常に分かり辛くなったのは否めません。
 しかも、すこやかサロンは6箇所ありますが、一部実績のある事業者への随意契約、介護予防教室は入札契約となっています。地方自治法施行令では随意契約の場合、理由を明確に説明すべきとしています。
 この問題も含め、介護予防教室も一般介護予防事業に組み込むのであれば、4つのサロン事業の統合も検討すべきでしょう。ふれあい・いきいきサロンは成り立ちが異なりますし、市内213箇所もありますので、これはそのまま残し、すこやかサロン、介護予防教室、きてくれサロンは統合対象候補となり得るのではないかと考えます。
 次に地域支援事業の中の包括的支援事業の内、新たに改正法で義務付けされた認知症初期集中支援チーム事業について考察してみます。
改正前の平成25年度、厚労省が全国14箇所をモデル事業として指定したことに端を発します。その趣旨は、認知症初期段階の高齢者とその家族を対象に選択し、主治医や関連する医療や福祉機関、包括支援センターの担当職員等でチームを組み、集中的に対応に当たるもので、それにより認知症の重症化を防ごうというものでした。 
 呉市は平成27年1月から、広島県認知症疾患医療センターに指定されているふたば病院に委託しました。同年度は県の財源をそっくり使え、今年度は呉市介護保険特別予算を計上、ほうゆう病院に2チーム目をこの10月から委託しましたので、年間750万円となっています。来年度は通年2チームになりますので、チーム当たり今年度並みの50人を対象とすると、1千万円規模に膨れ上がるでしょう。
 問題は認知症初期段階ではなく、地域包括支援センターが関わった初期の高齢者を対象としているため、認知症がある程度進んだ方も含まれている点です。これでは多大な人件費を投入しても、効果がどの程度見込めるのか多いに疑問を感じており、今後追求して参る所存です。
 大体、たった1人の認知症重症化を防ぐため、多大な人件費を割く、対症療法を義務化する国の法改正が気に入りません。認知症は年々増えつつあり、戦後食生活が大幅に変わったことを初め、よくよく根本原因を探求する必要があるでしょう。
 最後に地域支援事業の中の一つ、任意事業です。
 その中の一つである認知症カフェは、私は平成27年6月定例会一般質問で採り上げたことが実り、導入が実現しました。現在10箇所に増えているそうです。これは、認知症本人やそのご家族がお茶を飲みながら気軽に参加し、そこに介護資格等専門職に来て頂いて懇談する事業です。参加費は主催者によって異なりますが、300円程度徴収しているようです。1人参加する毎に、呉市から500円が補助されます。家族の理解向上もあり、生活上での不安解消に繋がる相談もできるので、効果はあるでしょう。
 ところで来年度から呉市は、第7期介護保険事業計画を介護保険法に基づき策定致しますが、この認知症カフェやサロンの設置数の目標数を検討しておりませんでした。はやり計画策定にはデイサービスや施設介護同様、事業数やベッド数の数値目標を掲げるべきではないかと考えています。
 また、介護予防教室を修了した高齢者を対象とした地域リハビリ活動支援事業があります。これを呉市では今年度から制度化させ、介護予防自主グループ活動支援事業と呼ぶことにしました。これも議会には全く説明はありませんでした。
 つまり、介護予防教室を修了したら、自分1人で体力作りを自宅でできる人は皆無に近く、簡単な体操であっても長続きはしません。そこで、それら同好の士がグループを結成し、会費を募り、講師謝金と会場費の原資とするのです。これにグループに対し補助金を2千円交付します。これには人数がある程度集まらないと会費を高く設定せざるを得ず、会員が集まらないジレンマがあります。現在17グループ、講師謝金の平均は6千円、開場使用料平均は2千円、会費平均は450円、会員数平均は24名となっています。これまでの介護予防教室では無料だったのか、450円になる訳です。
実は17箇所の内、使用料規定のないさざなみ苑を会場に使用している音戸地区のグループだけは、無料使用できるのです。呉市が徴収しようとその気になれば、行政財産の目的使用許可ですので、それは可能ですが、さすがに総合ケアセンターと銘打ち合併前に建設した公共施設だけに、それは酷というものでしょう。しかも施設の設置目的にも合致しているからです。
 そこで私は、このような介護予防に特化した自主グループを増やすためにも、呉市の一定の公共施設使用料を免除すべきと訴えて来ました。例えばすこやか子育て協会に登録kした子育て支援グループや、市民公益活動支援団体に登録した団体が公益活動を行う場合は、使用料が免除されているのです。それと同様の取り扱いをすればよいのです。不公平も合わせて解消できる寸法です。
 尤も、介護予防教室そのものが、65歳以上なら誰でも参加できるように今年度呉市が位置付けたことで、今後はそちらに参加する人が増え、その修了者との位置付けがあるのか、今後調査が必要です。もしそれがなければ、この自主グループ活動も先に結成したことが空虚になり兼ねません。
 以上、大きく4点の課題や問題点を指摘しました。私は来年度を目前に控え、これらの解決や改善に向け、引き続き精魂を傾けて参る所存です。

Faacebook 2018.1.5

現場の実情を無視した障害者就労継続支援A型の国基準!

昨1月4日は、新年を飾る平成30年における演説初めで、通算120回目を数えました。テーマは、全国各地でニュースになっている障害者就労継続支援A型事業所の在り方についてです。
 昨年7月末を持って、呉市に隣接する坂町にある障害者就労継続支援A型事業所が経営困難に陥り、B型への転換を余儀なくされました。同事業所の従たる事業所に位置付けられていた呉市内の食堂も同様です。
 また同日には、倉敷市内のA型事業所5箇所が同時閉鎖に追い込まれ、223名もの失業者を出しました。そして同年11月17日、福山市と府中市にあったA型事業所も破綻し、112名の失業者を出したのです。
 ここで、障害者就労継続支援A型事業所の意義について、先ず説明致します。
 これは平成18年度制定施行の障害者自立支援法に位置付けられたもので、既存の障害者雇用促進法による法定雇用率に基づく一般就労と、各都道府県が自主支援して来た障害者小規模作業所の谷間を埋める、障害者における就労対策のことです。これにより、例え一般就労できなくても、労働基準法や最低賃金法に守られ、障害者の就労を確保するものです。このA型は、障害者に対する生活相談や支援サービスも行ういわゆる福祉の側面を合わせ持ち、それに係る経費として、国から自立支援給付費が交付される仕組みとなっています。この給付費は障害者1名が1日就労することに対し、利用人員規模や生活圏域で若干異なりはしますが、呉市の場合5,400~5,500円程度となります。
 因みに、従来からあった小規模作業所もこの新法によって、初めて障害者就労継続支援B型として法的根拠が与えられ、同じく自立支援給付費の対象となった訳です。但し、こちらは中重度障害者が主な対象ですから、就労よりも福祉サービスに重点が置かれ、労基法や最低賃金法の対象外となっており、工賃は全国平均で月額僅か1万5千円、呉市内の28事業所平均では更に低く、1万円程度となっています。
 ということは、A型がB型に移行した時点で、それを継続利用する障害者は失業者とみなされます。
 では何故、A型事業所の閉鎖や倒産、或いはB型への移行が相次いでいるかと申しますと、昨年2月9日に、国が指定障害福祉サービス運営基準を省令改正したことに依拠しま
す。この改正のポイント第192条で、①A型事業者は、生産活動に係る収益(事業収入から経費を控除した額)を賃金総額以上にしなければならない②賃金(A型)及び工賃(B型)には、自立支援給付費を充ててはならない-の2点です。
この法的根拠は、障害者自立支援法の後継法である障害者総合支援法の第29条第1項です。即ち、「市町村は、指定障害福祉サービス事業者からサービスを受けた障害者等に対し、厚労省令で定めるところにより、介護給付費又は訓練等給付費を支給する」旨が記述されています。
 この厚労省令で定めれば、如何様にもなるというのが法のたてりなのです。しかしニュース報道されているように交付対象が指定障害福祉サービス事業所ではなく、法律条文の書き方として支給決定障害者になっているので、この省令改正は疑問点も多いと睨んでいます。厚労省としては、「元々自立支援給付を障害者の賃金に充ててはならなかったが、その趣旨を明確にするために、この度省令改正を行った」との言い分です。
 しかもこの省令改正により、全国自治体が障害福祉サービス基準条例の改正を余儀なくされました。呉市でも昨年3月定例会に条例改正を行い、昨年4月1日から施行としたのです。このことにより、条例違反となった全国のA型事業所が次々と閉鎖に追い込まれたのです。
 
 ところが厚労省は、省令違反状態のA型事業所の救済措置して、昨年3月30日に、猶予期間を与える通達を慌てて追加で出したのです。この通達そのものは、省令を逸脱しているとも言え、厚労省自体が支離滅裂に陥りました。つまり違反状態になっているA型に対し、経営改善計画を提出させ、1年間で改善が見られない事業所は自治体の指定を取り消し、1年間で改善が見られれば、これを後2年間まで更新できるようにしたのです。
 私は、昨年12月定例会一般質問で、「呉市が今年度改正施行した基準条例には、猶予期間を設定する但し書き条項がない。国が昨年3月にそれを認める通達を出したのだから、呉市は少なくとも6月定例会で基準条例の再改正を行うべきではなかったのか?これからでも遅らばせながら、改正すべきではないのか?」と、当局を追求しました。つまり、市内にA型が6箇所ありますが、その内経営改善計画を提出している3事業所は、基準条例違反になると鋭く切り込んだ訳です。それに対する新市長に代わっての福祉保健部長の答弁は、「国が省令を追加改正していないので、条例改正は考えていない」と、苦しい内容だったのです。条例違反のグレーゾーンに対し、目をつむるというのです。
 実はこの問題は、平成18年度以降、急速に指定箇所が増加したA型ですが、経営者が安易に私利私欲に走り、公的補助金を悪用する動きもあったため、厚労省がその動きを封じる狙いがあったようです。
 例えば、高齢者や障害者等の就職困難者を雇用した事業者に対し交付される、特定求職者雇用開発助成金があります。これを毎年度新規雇用をして交付を受けるために、同じ経営者がA型利用者を説得してB型への移行をさせることが多々あるようなのです。そうすることでA型の人員枠をそのままに人件費を増やさずに、助成金の交付を受け続けることが可能となります。省令改正や呉市改正基準条例でも謳っているように、利用者の意向を無視する場合は違反となりますが、それが行政に伝わって来難い実態があります。
 そこで今年度から国は、改正指定障害サービス運営基準に準拠し、一般就労を除く障害者に対してのみ、特定求職者雇用開発助成金を賃金には充ててはならないことにしました。
但し、法的根拠はありませんから、大いに問題があります。行政の立法府への侵害とも言え、三権分立はあったものではありません。
 しかも、5人以上新規雇用した場合、離職率50%未満を対象にして来たのを、今年度からは25%未満と、ハードルを上げたのです。これは悪しきA型対策と言えましょう。ところが、年間5人未満の新規雇用しかないA型には効き目がありません。即ち4名A型で新規雇用し、翌年度は全員B型に移行させ、空いた穴を埋めるため、新たに4名を新規雇用しても、4名分の助成金が交付されるのです。
 悪しきA型は、今後監査を厳しく行うことで排除しなければなりません。ただ、そのしわ寄せが、健全経営をしておられる他のA型に及んではならないのです。
 大体、一般就労で挫折して中途退職した障害者や、発達障害等で対人関係がうまくいかない方の安定した雇用先としてA型が誕生した経緯があるのです。健常者雇用の企業でさえその収益確保で四苦八苦しているのに、障害者のみが生産に携わり、補助金なしで健全経営をせよということ自体に無理があると言えましょう。
 そして、その能力を発揮できないまま、就労機会を奪うような国の施策には、到底納得できません。「国は障害者就労現場の実態が解っていない。机上の空論でしかない」というのが私の主張です。
 そこで私は、昨年国に対し要望を行っています。①自立支援給付金は、一定割合の範囲内で最低賃金の確保に使用しても構わないように基準を改正する②特定求職者雇用開発助成金については、自立支援給付と重複している事業所は対象外とする-の2点です。
 この内容を含め、私は呉市に対し、国に働きかける意志はないかと、先の一般質問で問い質しました。呉市としては、「これまでどおり障害者の就労確保に向け、市長会を通じて要望は続けて行く」との答弁でしたが、これでは具体性が全くありません。単なる美辞麗句に止まっていては、一歩たりとも前に進まないのです。地方分権一括法により、国と地方自治体は対等と位置付けられましたが、補助金や交付金の財布を握られている国には頭が上がらないのが、現状です。この様な忖度政治を打破するため、私は本年も市や国に対し、強くもの申して参る覚悟です。

Facebook 2018.1.13

自閉スペクトラム症早期発見・早期介入の導入を!

去る1月9日は、幟旗が倒れる程の強風が吹く中、凍てつく寒さでの121回目の街頭演説となりました。テーマは自閉スペクトラム症の早期発見・早期介入についてです。
自閉スペクトラム症、即ちASDは、これまでの自閉症のみならず、アスペルガー症候群や広汎性発達障害も含めることとされました。但し、注意欠陥多動性障害ことADHD
や、学習障害ことLDは、これに含まれません。
 発達障害においてこのASDに限っては、1歳代に発見・診断が可能であり、国内外での研究で早期療育効果が裏付けされ、導入のニーズが高まって来たところです。
 しかも、アメリカで開発されたアーリースタートデンバーモデル、即ちESDMと呼ばれる超早期介入プログラムは、臨床根拠即ちエビデンスが確認され、2歳前から3歳までに療育を行った場合、子どもの知能や社会性の発達を促し、自閉症状の軽減にも効果が認められているのです。
 
 先ず、早期発見の方法ですが、法定乳幼児健康診査である、1歳6ヶ月児や、遅くとも3歳児の時がチャンスと言えましょう。呉市では発達障害を発見する鍵になる項目をも記載した問診票を母子手帳所持者に、集団乳幼児健診と合わせて送付しています。しかし、佐賀県が独自に開発した、ASDに特化した二次問診票まではありません。既に差が(さが)ついており、広島県が作成した問診票に満足せず、佐賀(さが)方式を導入することを検討すべきでしょう。
 ところで本市では、児童発達相談や発達検査を、広島県に委託された児童発達支援センターたる呉本庄つくし園、即ち社会福祉法人・呉社会福祉会に委託しています。その上で、広市民センター内にある児童療育・相談センターにて、児童精神科医による診断を行っています。そこで、乳幼児健診現場での早期発見から発達検査、診断のルートに載せた上で、超早期介入プログラムであるESDMへ導入することを検討すべきです。
 最先端を走る佐賀市や館林市では、既にこのシステムを導入しており、通常の児童発達支援とは異なるものです。現在児童療育・相談センターの隣室において、呉福祉会による指定障害福祉サービスである児童発達支援「つくしんぼ」があります。その場をESDMに活用できるよう委託することが可能と考えます。昨年、呉市の委託事業として呉福祉会が主催して発達障害講演会を開催しました。その際、早期介入プログラムの提唱者である服巻(はらまき)智子先生を講師に迎えましたので、その信頼基盤は既に確立しているため好都合な訳です。
 次に、早期診断や早期介入においては、先ず保護者の受容や理解が必要不可欠です。またそれこそが、家庭での療育環境を整えることができ、子育てに好影響を与えるのです。これら保護者へのフォローは乳幼児健診時、発達相談や早期診断、早期介入、児童発達支援、就学後と様々な機会を捉えて実施することができます。
 中でもトリプルPは、オーストラリアで開発されたペアレントプログラムで、ストッピングストーンズは発達障害児の保護者に対し、効果的な子育て法を紹介するものです。今年度スタートしたばかりの、発達障害児の親が同じ立場の親にピュアカウンセリングする県のペアレントメンター制度に加えて、並行実施すべきと考えています。
 因みに、ピュアカウンセリングは、以前私が一般質問で導入を促したことがあり、いよいよ実現した格好です。 
一方呉市では、小中学校入学時や在校時における通常学級から特別支援学級への転換の可否など就学の節目において、これまで教育委員会のみで就学指導委員会を組織し、対応して来ました。
 しかし、これでは限界があります。私の要請で今年度ようやく開始した、主治医や保護者の意見書提出に止まるのではなく、そこに、これまで関わって来た療育機関や保育士や幼稚園教諭等、その場に応じて必要な人材を加入させる支援策が有効だと考えています。
 そのためには、障害福祉課や教育委員会が個々に問題を抱え込むのではなく、乳幼児健診を所管する健康増進課、子育て支援課や子育て施設課、教育委員会学校安全課と、障害福祉課が中心となって、関係5課が連携してこれに当たって行く体制が必要です。即ち連携会議の設置が鍵を握っているのです。
 勿論その前提には、関係部署職員が、発達障害や早期発見・早期介入の重要性、ESDMやトリプルP等の研修を受けてスキルアップし、認識を共有することが肝要なのです。
 去る12月定例会での私による一般質問を受け、呉市はようやく重い腰を上げました。但し、これからようやく研究に入る段階です。正に緒に就いたばかりではありますが、私としても、今後も発達障害福祉について力を注いで参る所存です。

Facebook 2018.1.15

メタボ健診の促進に、安易な自己負担無料化は自殺行為!

 本日は122回目の街頭演説。テーマは特定健康診査、いわゆるメタボ健診について考察してみたいと思います。
 呉市は、高齢化率が人口15万人以上の都市で日本一の34%。総合病院が4箇所もあり、医療機関が多いこともあって、国民健康保険被保険者の高齢者占有率が52%もあります。そのことが、医療漬けになって医療費が全国平均を上回り、普段から主治医と相談しているため、逆に特定健康診査受診率が24.3%と、全国平均の35%に比べて低い訳です。
 とろこで、その特定健康診査、いわゆるメタボ健診は、平成20年度施行の高齢者医療確保法(旧老人保健法)による後期高齢者医療制度導入に合わせて医療保険者に義務づけられました。その対象は、40歳から74歳まで全ての公的医療被保険者です。
 当時、肥満の方が成人病にかかり易いとされ、これをメタボリックシンドロームと呼びました。
 メタボ健診がスタートした平成20年度当時は、24年度までの期間において、国が定める受診率を満たさない自治体への国保事業には、調整交付金を10%減額するという、政策があったのです。現在はその施策はほぼないとのことですすが、そうは言っても国の誘導目標は厳然とあり、それをクリアするための施策展開に係る経費に対し、国と県が国基準の1/3ずつ調整交付金を交付するようになっています。つまり、ムチとアメと言えましょう。
さて呉市は、制度開始から昨年度まで、健康診査受診料を、呉市医師会と協約して市民税課税世帯限り千円に設定しました。非課税世帯は無料です。ところが、今年度から課税世帯でも無料化したのです。
 しかし、受益者負担原則の規律を破るこの重要な政策転換を、議会に一切説明しておりませんでした。つまり何の議論もなく、今年度予算が可決されたことになります。予算書を見ても、無料化について記述されていませんので、全く分かりません。
 平成28年度決算を見ますと、特定健診受診者は8,973人であることから、これを無料化する前提で、29年度予算では、約13,400人分として計算しました。この内、無料化される課税世帯が約8,700人なので、自己負担千円がなくなりますと、約870万円の負担増となります。これは被保険者が納付した保険料が直接の財源となります。 実は、特定健診に係る実際の費用は、個別健診で8,330円、集団健診で6,534円です。つまり昨年度までは千円との差額を保険料と国県交付金で賄い、今年度からはその全額が公費負担となる理屈です。
 そして、昨年度健診受診者8,973人中、その後の特定保健指導受診者は、僅か24.3%の1,111人でした。その内、状態の軽い方に対する動機付け指導が271人、状態の重い方に対する積極的指導は僅か14人しかいませんでした。これは動機付け指導が無料なのに対し、積極的指導は自己負担が3千円かかるためです。
 因みに動機付け指導に係る実際の費用は、公共施設で行う非施設型で14,040円、医療機関で行う施設型では9,800円です。それに対し積極的指導に係るそれは、非施設型で21,300円、施設型で19,000円もかかるのです。その差額はやはり公費負担となります。ということは、呉市ではそれを負担する国保料以上に、国や県から調整交付金に加算されたとしても、国や県の一般財源を苦しめることになる訳です。
 実際、制度スタート当初は国民医療費が年間約30兆円でした。制度導入で重篤化や慢性化を予防する効果で、年間2兆円の削減効果があると、厚労省は豪語していました。ところが、制度導入から丸10年経った現在、医療費は42兆円まで膨れ上がってしまったのです。
 一方、メタボ健診のチェック項目は、先ず腹囲です。これは男性85cm、女性90cm以上が危険信号となります。その網に掛かった方が、血糖値、コレステロール値、血圧のどれか二つの国基準をオーバーすると、忽ち特定保健指導対象者になるのです。
 例えば血圧。平成12年度当初180を超えると危険とされて来ました。それが日本高血圧学会の意見により、徐々に引き下げられ、特定健診スタート時の20年度には130まで引き下げられたのです。つまり、これにより多くの国民が特定保健指導対象者になったのです。その後国際基準が140に引き上げられ今日に至っていますが、保健指導を受ければ、当然降圧剤の処方の話が出て参ります。降圧剤は日本で最も売れている薬剤と言われ、70歳以上の高齢者の半数が服用していると言われています。
 降圧剤とは、化学物質の毒作用で血圧が下がる反応を利用したものです。薬物療法は、主作用で狙いの症状が治まったとしても、副作用で別の症状が必ず現れるものです。いわゆる対症療法と言われる所以です。この副作用を抑えるため、別の薬を処方されると、副作用の連鎖という泥沼地獄に嵌まってしまい、飲み続けることで免疫力の弱い身体になり、医療保険料や介護保険料の更なる増加や、財源確保のための消費税増税に繋がることは明かです。
 代表的な降圧剤であるハイトラシンの副作用として、意識喪失、肝機能障害、腎機能障害、めまい、頭痛、貧血症、低血圧症、過敏症、インポテンツ等が見受けられ、これらは薬剤の添付書に記述されているのですが、医者も患者も誰も読んでいません。そればかりか、注意書きとして、慎重投与の対象者として高齢者とし、「過度の降圧は好ましくない」とまであるとは驚きです。高齢者の半数が降圧剤を処方されながら、高齢者の降圧に問題ありとしているのです。そして副作用で最も恐ろしいのは血行障害で、発癌要因になると警告する専門家もいるのです。
 また、世界で最も売れているのがコレステロール低下剤です。以前守口市で、総コレステロール値と死亡率比較のデータを見ると、コレステロール値が高くなるほど死亡率が減少し、280以上が最も死亡率が低かったとの結果が出たのです。厚労省が定めた特定健診基準では、コレステロールが高いほど死亡率が高いとされていますので、真逆だった訳です。高脂血症に無理矢理されていると言っても過言ではありません。コレステロールも血糖と同じく、重要な生命エネルギーであって、それを薬で不自然に下げることで、大きな薬害をもたらす訳です。
 実際、コレステロール低下剤の一つであるメバロチンの添付文書を見てみます。重大副作用として、横紋筋融解症、筋肉痛、脱力感、急性腎不全、肝障害、黄疸、血小板減少等々、沢山記述されているのです。
 また、特定健診基準の策定に関わった研究者や医師が、製薬会社から多額の献金を受けていたことも明らかになりました。
 
 ということは、特定健診の受診率を上げる自己負担の無料化は、特定保健指導の中で、薬剤療法へと繋がっていく施策とも言えます。これを議会は否決できないだろうと、当然の如く予算計上し、その中身を一切説明しなかった前市長の責任は大きいと言えます。
 県内他都市でも、広島市と府中市では各々500円と1,500円の自己負担のようで、後の13市町は全て無料化に踏み切っています。受益者負担の無料化は一見すると有権者受けがよいですが、ただほど高くつくものはありません。将来の寝たきり老人や認知症を増やす要因ともなりかねません。
 薬付け医療行政の奥には、医療業界や薬業業界と政界との癒着構造があり、既得権益を死守しようとする「医学村」の動きが背景にあることを喝破しなければなりません。国における医療費削減政策としても、このような対症療法ではなく、食生活の改善や農薬農政からの脱却といった、抜本対策にシフトして行かねばなりません。
 新市長は「隠し事はしない」「不公平はいけない」をモットーにしておられますが、前市長もガラス張りの市政を謳っていただけに、今後の政治手法が試されるでしょう。 

Facebook 2018.1.25

青山クラブ保存ありき方針は、末代にまで禍根を残す!!

 去る1月23日、凍てつく寒波で風も強い中、123回目の街頭演説に立ちました。この度のテーマは青山クラブ保存方針についてです。 
 呉市は、懸案だった自衛隊集会所「青山クラブ」を国から購入した後の活用策として、全部保存を前提に進める方針を、去る1月19日の呉市議会総務委員会で公表しました。 前市長が一昨年12月に発表した当初の構想では、青山クラブを解体して駐車場にするというものでしたから、新市長が180度方針転換したことになります。アニメ映画「この世界の片隅に」の大ヒットに伴い、戦時中には下士官兵集会所だった福利厚生施設が一躍脚光を浴び、市民からも保存活用要望が出されていたことも影響したと思います。
 ここで、前市長と新市長の青山クラブ活用策の共通項を整理しておきます。それは、国から土地等を購入した上で、敷地内に隣接する当時の舞踏施設だった「桜松館」を耐震改修し、音楽・飲食・物販を伴う観光・休憩施設にすることです。因みにここは、この前まで海上自衛隊音楽隊の練習場として活用されていました。
 国が売却方針を決めたのは、青山クラブにしても桜松館にしても、入船山記念館のような文化財としての価値がないと踏んだためです。これらは知名度も殆どないため、観光客誘致には適していないと言えましょう。
 ましてや前市長案の、桜松館をメイン施設に位置付け、本館たる青山クラブを解体し、それを訪れる観光客の駐車場にするというのは、愚策もいいところです。解体した跡地に200台分の駐車スペースができますが、観光客はほぼ来ません。
 対して、新市長提案である青山クラブを全部残したとしても観光客の多くは訪れないでしょう。何故なら、国重要文化財である入船山記念館でさえも、大和ミュージアムとてつのくじら館がオープンした以降、来館者が激減したからです。
 しかも、青山クラブを保存ありきで、その活用策は定まっていません。何に活用するか分からないものを耐震診断に新たに2千万円、そしてその建物改修等に何と30億円もかかるのです。しかもその維持管理費に30年間で28億円、年平均9千万円も半永久的にかかるというのですから、費用対効果を見極めなければ、呉市を財政難に陥らせる愚策となり得ましょう。
 更に、宿泊施設やフリースペースを検討すると言っていますが、これとて宿泊施設は公設民営で、赤字分は税金で補填し、フリースペースは収益を生みませんから、その業務委託費も半永久的に血税投入せねばなりません。これらは維持管理費の年平均9千万円とは別途必要になるのは明かです。
 加えて、新年度に耐震診断を行った結果、とても保持できない建物と診断すれば、結局解体策に戻る可能性も秘めています。その場合は耐震診断費用2千万円はどぶに捨てることとなります。
 
 一方、合併建設期間を5年間再延長することが政府で検討されていますが、これはまだ決定ではありません。即ち、有利な財源である合併特例債も使えないリスクも秘めている訳です。もし決定されれば呉市の場合、平成31年度末から36年度末まで延長となり、使えたとしても、残り枠が20億円しかありませんので、一般財源を補填しなければならないことも十分あり得ます。
 即ち、完全に財政規律が緩んでいるのです。本市では、今後5年間で124億円の収支不足が見込まれると、発表されたばかりなのです。この機に及んで、ハコ物行政は厳に慎まねばなりません。呉市公共施設等総合管理計画にも、そのことが明記されているからです。
 結局、前市長案の解体・駐車場も愚策、新市長案の保存活用も愚策でしかありません。私は、発想の転換が必要だと訴えています。青山クラブ・桜松館の建物付き敷地購入に約3億円、桜松館の耐震大規模改修に7億円がかかりますが、これには賛成です。
 但しその大前提として、青山クラブの外壁だけは残し外観を保持しつつ、中庭部分に目玉商品たる戦艦大和大型試験機を展示するというのが私の提案なのです。
 これは平成23年度に5千万円の移転費を補正予算化し、広島大学から譲り受けたもので、長さ28m、高さ5mもあり、戦艦大和1/10模型よりも大きいのです。現在はアレイからすこじま駐車場の奥に、分解してシーツをかけられ眠ったまま放置されています。 これを経産省の近代化産業遺産に格付けして一般公開することで、大和ミュージアムやてつのくじら館への来館者が、「折角呉に来たのだから寄って行かねば損」と言って、青山クラブに立ち寄るように誘導するのです。その付録が青山クラブの面影を残した外壁であり、休憩施設たる桜松館なのです。すぐ近くの入船山記念館や呉市美術館にも来館者が増えることでしょう。
 観光資源のメインは何と言ってもこの大型試験機なのです。この機会を逃すと、半永久的に適切な展示場所を見つけられないまま放置することになるでしょう。正に宝の持ち腐れとはこのことです。
 これは前市長がやり遂げられなかったことです。おまけにこの存在を市民に広報しても来ませんでした。新市長に期待しましたが、そのことに気付いておられないようで、目先の損得に左右されたのではと疑われても仕方ないでしょう。
 そして、これら幸町界隈を多くの観光客が訪れるようになれば、市内宿泊客も増え、中央地区商店街にも客足が延びて行くことになるでしょう。
 結論として、財政難の呉市において、巨大な税金を投じ集客のあまり見込めない、費用対効果の低い事業に決して納得はできません。青山クラブは外壁さえ残せば、観光施設としての効果は出せますし、これもメインである大型試験機あってのことなのです。
 私は今後も、新年度予算案に向けて、このことを訴えて参る所存です。

Facebook 2018.1.29

呉市立小中学校における完全米飯給食の実施を急げ!

本日は、124回目の街頭演説。相変わらず寒波厳しい朝でした。テーマは、学校における完全米飯給食についてです。
 
 さて私が小学校の時は、中学校給食はなく、小学校給食と言えばオールパンでした。これは、GHQによる占領政策の下、戦後の国策として、アメリカから小麦を大量に買わされたことに起因しています。もう一つは、昭和17年に制定された食糧管理法に基づき、米の安定供給を図る目的で、国が生産者から米を買い上げ、国民に配給する制度の下、米価を安定させるため減反政策を採り続けて来た背景もあります。
 それが、米飯が身体によいことが判ってか、昭和51年2月10日に文部省が学校給食法施行規則を改正し、初めて学校給食に米飯を位置付けたのです。洋食には脂肪酸が多いこともあるでしょう。それを受け、同年3月5日に文部省が体育局長通達を出しました。これ以降、学校給食現場で徐々に米飯が増えて来たのです。因みに平成22年度の文科省調査によると、全国小中学教給食における完全米飯実施率は6.5%でした。
 そもそも我が国は古来から稲作を中心とした文化が栄え、和食としての四季折々の旬の野菜や地魚を食して健康を維持して来た歴史があります。正に地産地消そのものであり、これが日本人の身体に適合していたとも言えましょう。
 私が平成25年9月定例会での一般質問で、学校給食に玄米や雑穀米をブレンド化して採用することを提案した際、「それはできないが、米飯給食拡大については努力する」との答弁を勝ち取っていました。ところが、28年12月定例会一般質問で完全米飯給食実施を提案した際、一向に進捗していなかったことが判明したのです。
 それは、質問当時から現在に至るまで、学校給食共同実施校たる旧呉市内の小学校26校において、米飯給食は週5日の内、2.5日体制だったのです。即ち1日26校全体で1日約1万食必要なところ、供給が5千食しかできないため、旧市内をA、B2地区に分けて、米飯とパンまたは麺を半分ずつ交互に提供せざるを得なかったのです。
 米飯提供を拡大するには、呉市内で委託炊飯している企業は1社しかないため、そこに設備投資をお願いせざるを得ない事情があった訳です。
 但し、合併町は合併前の経緯から、2.5日よりも多く米飯を提供していたのです。具体的には、安浦町の小中学校における自校調理、川尻町小中学校における親子調理、蒲刈学校給食共同調理場においては、週3日の提供でした。音戸学校給食共同調理場のみが4.5日だったのです。この4.5日というのは、月2日程度パン食にするというもので、準完全米飯給食と言えます。つまり、同じ呉市内で給食提供が不平等になっていたことは否めません。
 それが、来年度からようやく共同実施校である旧市内のみにおいて準完全米飯を導入することが決まり、先般新聞報道されました。つまり、4.5日提供ということになります。私が提案して来たことがようやく実った格好ではありますが、まだまだ不完全です。それは合併町はこのままだからです。これを機に市内全ての小学校で米飯給食を平等実施する必要があるからです。
 ところで、この度実施が可能となったのは、市内の委託炊飯会社が工場を新築し、新たに設備投資することが決まったからです。その会社としても、1日1万食の米飯給食の担保が取れるなら、いち早く投資を決めたことでしょう。それが私がこの問題を一般質問で最初に採り上げてから、4年以上が経過しました。
 この遅れた要因は、呉市が広島県学校給食会から米を購入していることにあります。結局、同会から県内市町毎に米穀関係企業を指定し、実際の販売は指定企業場に振り分けているのです。そこで、呉市が同会に炊飯機能増強を相談し、それを渋った同会がこの度ようやくそれを認めたという訳なのです。
 では何故、米を県学校給食会から購入せねばならないのか、入札ではないのかとの疑問があり、それを市教育委員会に問い質しました。すると、昭和51年の学校給食法施行規則改正に伴った、同年の文部省体育局長通達が根拠であるとの回答でした。
 それは「特殊法人・日本学校給食会が食糧庁から特別価格で買い入れた玄米をとう精または加工した上で、都道府県学校給食会を通じて学校や共同調理場へ供給すること」とあるというのです。国が生産者から買い入れる食糧管理法は平成7年に廃止され、同年度からは民間供給を調整する食糧法に衣替えしているのですから、現在は意味がない訳です。
そこで私が文科省学校給食係に問い合わせますと、この通達は平成14年に廃止になっていることが判明致しました。つまり、県学校給食会から購入する義務付けは解かれていたのです。ということは、呉市学校給食協会が業者と直接取引して構わないことになります。
天下り先が既得権益を振りかざしていることが透けて見えます。
では、来年度からの準完全米飯給食でよいのかという問題が残ります。これは、保護者や児童生徒の中で、パンも人気があるため、その配慮であるとの答弁でした。
 ところが、パン食こそ大問題だったのです。パンの原料である小麦は50年前から経済性に鑑み、人工的な品種改良と遺伝子操作を繰り返し、本来の自然に育成した小麦ではなくなっているという隠された事実があったのです。
 これもGHQの占領政策下で、アメリカから小麦を大量輸入させられ、その輸入元が何と日本学校給食会だったのです。それが都道府県学校給食会に供給され、そこから各校や共同調理場に供給されていた構図が浮かび上がって来ました。
 その品種改良と遺伝子操作によって、小麦が人体に悪い影響を及ぼしているというのです。
 例えば、小麦の主成分はアミロペクチンAという炭水化物ですが、これはスーパー糖質とも言われ、血糖値を上げることでインスリン分泌を誘発し、脂肪を蓄積し肥満体質になります。また、グルテンというタンパク質は、脳に中毒症状を与え、空腹感を持続させます。そしてやめられなくなります。
 ある精神病に悩まされている方が小麦摂取を断つことで鬱症状がなくなったり、健常者においてダイエットが成功したという事例は枚挙にいとまがありません。メタボの主原因は小麦の大量摂取だった可能性を否定できず、小麦本来の自然種ではなくなっていることが問題の核心ということになります。
 ならば、保護者や児童生徒のニーズに配慮するあまり、月に2日程度パン食を提供することは、この際併せてやめるべきなのです。
 一方、平成27年9月からスタートした、旧市内における中学校デリバリー給食は、週4.5日が米飯となっています。これは、受託業者が自身の工場で一括して調理できるのは炊飯器を活用した米飯調理だということがその理由です。デリバリー業者は、県学校給食会ではなく独自ルートで米を買い付けていますので、ここでも小中学校では、米飯給食実施率と米の買い付け元において、差異が明らかに存在していたことが分かります。
新潟県三条市では、健康診断で体調が思わしくない成人を調査したところ、米食が少ない人ほどそれが多いことを突き止められました。これがきっかけで、保健所の健康推進部署と教育委員会が一体となって、平成20年度から完全米飯給食の実施に踏み切ったのです。しかも、5割減農薬米や有機栽培米、七分付き米を時々特注で購入しています。これは価格が高く、保護者から徴収する給食費をオーバーするため、その差額分は市の予算で補填していました。それほど、子どもの健康管理に力を注いでいるのです。
 結論として、来年度からの旧市内における小学校の準完全米飯は、完全米飯給食にすべきですし、併せて合併町、中学校デリバリー給食においても、この機を捉えて完全米飯給食実施に舵を切るべきなのです。
 そうして、より一層の旬野菜を取り入れ、地産地消を促進し、地魚も採り入れ、納豆、味噌、漬け物等の発酵食品を中心とした和食メニューを多用するのです。これこそが将来を担う児童生徒への健康増進に繋がるものと確信している次第です。

Facebook 2018.2.7

「呉市版生涯活躍のまち」が予想通り構想倒れに!

 一昨日は125回目の街頭演説。テーマは「呉市版生涯活躍のまち」構想です。
 これは「CCRC」と呼ばれ、アメリカ発祥の高齢者共同コミュニティのことです。安倍政権が、地方創生の一環として、有識者等による検討会議を設置したのは平成27年度。同年6月に日本創成会議が、首都圏の高齢者を地方都市に移住させる提言「東京圏高齢化危機回避戦略」を受けてのものでした。即ち、平成30年代後半に団塊の世代が後期高齢者になると、介護施設が首都圏で不足することを予想発表したことがきっかけです。
 前呉市長は、高齢化率日本一の呉市を長寿健康都市として位置付けていたことから、このCCRCに軽々に飛びつき、いち早く平成28年度予算に、500万円の調査費を計上したのです。この予算案に反対を表明したのは、呉市議会では私1人でした。反対理由いくつかあります。
 先ず高齢者を地方都市に移住させることは、介護施設への入居が前提であるし、住所地特例を活用し、その介護費負担は、首都圏自治体がみるにしても、移住された自治体の税収が増えることはなく、せいぜい介護や医療現場で雇用が増えることくらいでしょう。ましてや医師や看護師、介護福祉士等の人材不足を補えるとは限らない訳です。
 住所地特例が半永久的に続く保証はなく、いずれ移住先の介護費用を負担するようになる可能性があります。ましてや医療費は地元の後期高齢者医療保険の財政圧迫要因になるのではないかとの懸念も拭えません。
 次にコミュニティの場所が問題です。調査報告書では、「まちなか型」と「郊外型」とで2種類あることを提案しており、前者の活動拠点は、既存のサービス付き高齢者向け住宅が特に該当します。しかし、都会から移住して来られるのは在宅介護よりも寧ろ施設介護が中心となりましょうから、そもそも介護施設不足だから地方都市へ移住するのと、在宅介護の高齢者が殆どのサービス付き高齢者向け住宅とでは、その利用ニーズが異なります。28年度予算審議においても私は、「首都圏からの移住者のみではなく、元々呉市在住だった高齢者も含まざるを得ない」との答弁を引き出しました。
 また郊外型では、どこが拠点施設になるのか、噂ではグリーンピアせとうちが例示されたとの話がありますが、定かではありません。
 これらどちらをとっても、コミュニティー拠点への移住を誘導するためには、何らかの支援策が必要です。それには必ず財源が必要となるのは明白です。高齢者をサポートするコンシェルジュ派遣にも人件費が相当かかります。これをサービス付き高齢者向け住宅経営者が捻出できるはずもなく、結局は国税であろうと市税であろうと、血税が投入されるのは目に見えています。
 第三は、「生涯活躍のまち」と謳うからには、医療や介護漬けになってしまっては無意味になるということです。構想策定の前段で呉市がイメージを示したのは、それら高齢者が生涯学習のためまちづくりセンター等に出掛けたり、自治会活動に講じたり、ボランティア活動を行ったりすることで、元気を持続できるというのです。首都圏から移住して来る高齢者は介護施設入居対象者であったはずが、異郷の地でボランティアや自治会活動に携わるはずがありません。現実とかけ離れています。
 これらの理由から私は、「思いつきで不要な税金を投じるべきではない。構想倒れになることは最初から見えている」と強く批判したのです。
 このような経緯があって、昨年9月に平成28年度決算審査が行われました。そこで私は、呉市版生涯活躍のまち構想策定費がどのように使われたのか糺しました。結果的に予算500万円の内148万円の支出に止まった理由として、国庫補助を得るには地域再生法に基づく地域再生計画を策定しなければならないようになったということです。つまり、基本計画を策定するまでには行かず、頓挫したことが判明致しました。「そんなことは、最初から分かっていたことではないか」と私は追求しました。
 では、実績のあるNPOに随意発注したその成果を「何故議会に報告しないのか」と糺すと、「とても公表できるような熟度のある内容ではない」との答弁が返って来ました。結局構想倒れとなり、市民の血税を踏み直したことになります。当局としては議会に報告することなく、何もなかったように自動消滅させる算段だっと言われても仕方ないでしょう。しかも前市長肝いりの施策だったのが、先般の市長選ではマニフェストから外されていました。つまり、実現性に乏しいことを認めた格好です。
 そこで私は、構想をまとめた文書の公開を請求し、先日入手するに至ったのです。それを見て驚きました。肝心の構想部分が全て黒く塗り潰されていたのです。つまり非公開と同義です。公開された部分は高齢化社会の背景を記述した部分だけです。新市長は「隠し立てをしないこと」を基本方針の一つに挙げておられますが、就任当初から口先だけと言われても反論できないのではないでしょうか?公開することで、議会や市民にも考察する余地を与え、議論が深まる訳です。
 いずれにしても、本構想が基本計画策定を含め、その先に進むとは到底考えられません。官僚が前市長による有権者受けのいい思いつきに振り回された感は否めません。私は今後も本構想の動向を注視して参ります。 

Facebook 2018.2.14

豊島小学校跡地活用策は現実を無視した愚策だった!

 昨日は126回目の街頭演説。今回は、豊島小学校跡地活用計画について、その経緯と顛末を総括してみたいと思います。
先ず事の発端は、国が地方創生先行型交付金を予算化し、各市町に配分しようとしたことに遡ります。国は地方創生と銘打ち、この種のばらまきを繰り返して来ました。これを受け呉市は、平成26年度末に補正予算を編成し、これをそっくり27年度に繰り越しました。
国が用意したメニューの一つに「廃校を活用した定住促進事業」がありました。そこで、25年度末をもって廃校となった豊島小学校を活用することで、既存の新規就魚者支援事業を一層推進することを思い立った訳です。
 即ち、過疎化した豊浜町を活性化する起爆剤として、他都市から新たに漁業を生業とする意欲をお持ちの方を研修の上で同町に受け入れる際のアパートにし、併せて地元住民との交流広場を造ろうとしたのです。確かに同校校舎は、平成4年度に築造され、2階に教室、1階に職員室や講堂があって、しかも吹き抜け構造になっているため、適してはいたと思います。
 国の交付金は全額補助されるという魅力もあって、使わねば損という考え方も手伝い、この調査費として300万円を予算計上したのです。
 この予算に反対したのは、またもや私1人でした。
 その第一の理由は、アパートは、民間の空き家が沢山あるため、公が整備する必要はないということです。予算委員会での答弁では、同町には不動産業者もなく、物件も皆無との理由を挙げられました。
 私の反論はこうです。過疎地の島に移住する人がいれば、空き家を物件化するでしょう。物件化するには改修費用が必要となりますので、投資回収リスクが高ければ、物件化する住民がいないのは当然です。ところが、島に移住し、特定の空き家に居住するとの担保があれば、投資するのです。実際、28年度から地域おこし協力隊員を1名受け入れましたが、物件は見つかっています。これは27年度中に募集し、特定の空き家に移住が内定したからにほかなりません。
 しかも、不動産業者がなくても、呉市には空き家バンク制度があるのです。同じ補正予算案にも、やはり地方創生交付金を財源として、島嶼部の空き家調査費が1,500万円計上されした。それを待てば、少し改修すれば入居可能な空き家が見つかるはずです。これでは1,500万円の調査費も意義が薄れようというものです。
 第二は、交流施設を新たに整備する必要は一切ないということです。同町には離れ小島の斎島を除いて7つのコミュニティ施設があり、しかも、まちづくりセンターが2箇所もあるのです。高齢化した過疎の町でハコ物が多過ぎ、稼働率も極めて低く、もてあまして来たのです。いくらでも地元住民との交流スペースはあります。
 しかも、第3次公共施設再配置計画では、これらコミュニティ施設をどうするのか29年度までに結論を出すとしているのです。更に翌27年度末に策定された公共施設等総合管理計画では、できるだけハコ物は整備しないとの大方針を打ち出しました。
 第三の理由として、呉市は平成19年度に策定された「学校統廃合後の跡地活用策について」では、「原則更地売却」を基本方針に謳っており、これとも大きく矛盾するのです。この狙いは、役割を終えた学校施設や敷地を売却することで、財源を確保し、財政健全化をなそうとするものです。
第四は、基本計画策定のための調査費を国費で賄ったとしても、その後設計費や大規模改修費に加え、維持管理が半永久的に財政を圧迫するであろうということです。ましてや、アパートを経営するということは、家賃で投資分を回収するのが常道ですが、低額家賃にしなければ入居が困難であることから、結局は血税で補填することになるのは目に見えています。
 このことに対して当局は、「地元の住民団体等に経営を任せることを検討している」と、答弁しました。つまりその団体が家賃を収受して、その収入分を維持管理に回すという、指定管理を前提とした公設民営を想定していたようです。
 そうであれば、益々地元は受け入れないだろうと予言しました。何故なら、以前吾妻小学校が廃校になった際、その一部校舎を残して地元が利用したい旨の要望がありました。ところが、利用料収入をもって地元が維持管理しなければならないことが住民に解ったとたん、一気に頓挫した苦い経験が呉市にはあるのです。ましてや、吾妻小学校があった旧呉市中央部と違って、豊浜町を初めとする合併町は、行政に殆ど頼って来た歴史がありますから、そのような手法が受け入れられるとは到底考えられなかったのです。
 結局この予算は通り、27年度は、復建調査設計㈱に322万円でコンサル委託した上で、基本計画を策定へと動きました。それと並行して、折角の機会だから地元を盛り上げようと、豊浜町まちづくり協議会の下に豊浜小学校跡地活用プロジェクトチームを、行政から地元に働きかけて組織化したのでした。ここで出された意見を反映して基本計画をまとめようとしたのです。いわゆる官製地域協働と言われ、自発的、主体的に地元から起動したものとは異なります。しかも、その事務は全て市民センター職員と農林水産課職員が行っているのです。
 更にプロジェクトチームは三次市、世羅町、神石高原町の先進事例を視察して来られましたが、その旅費は、同じく地方創生交付金を原資とした補正予算を繰り越したシルバー漁師研修費300万円から捻出していたのです。つまり、豊島小学校跡地活用事業は、ハードである調査費とソフトである新規漁業者研修費とを合わせた600万円とみた方がよく、国へも、これらを一括した事業として交付金申請していたことが判明致しました。
 因み基本計画を見てみますと、当初の構想から膨らんでおり、『小学校を有効活用して「稼ぐまちづくり」』をスローガンに掲げ、新たな機能として、サイクリストへの対応や、ショートステイ(ゲストハウス)、体験学習、特産品販売が付加されました。
問題はこの次の、運営に係る資金計画です。収入として、定住者の家賃が1室2万円の4室で年間96万円。ショートステイ1泊が3千円で、年間18万円。体験学習宿1泊が3千円で年間30万円。体験学習に係る収益で年間15万円。カフェやオフィステナント2室の使用料で年間48万円。特産品販売手数料で年間5千円。加えて寄付金を5千円としています。つまり合計208万円です。
 対して支出は、電気・水道・ガス代で100万円、消耗品・通信費で30万円、人件費等で78万円としており、合計やはり208万円です。
 ということは、空き室やテナントが埋まらないと赤字になるという訳です。しかもこれを地元住民団体に請け負ってもらおうという訳ですから、地元が一斉に引かれるのは、目に見えています。赤字になったら、行政が血税を使って補填するのは火を見るより明かです。
 実際27年度では、基本計画を策定したものの、肝心の引き受け手が定まらず、これらの予算は無駄になってしまいました。私の予言が見事的中したのです。
前市長の思いつきの施策は、暗礁に乗り上げたのです。農林水産課は市長命令だから疑問を感じつつ事業を推進、資産経営課を初めとする他部署はおかしいと思いつつも、市長を忖度せざるを得ない裏事情だったことは容易に図り知れます。だからこそ、議会がその愚策を追求すべきだったのです。議会は市民の代表であり、執行部に血税を無駄に使わせてはならないからです。執行部の暴走を抑止する役割を担っているのが議会です。
 おまけに、プロジェクトに参画させられて振り回された地元住民も被害者と言えなくもありません。当初は島の活性化を目指し沸き立ったことでしょうが、現実は厳しかったのです。
 
 ところが、これで終わりかと思いきや、前市長は諦めませんでした。28年度予算に、再度豊島小学校活用に係る基本調査費200万円を計上したのです。勿論これに真っ向から反対したのは私1人でした。
 27年度繰り越し予算として調査費300万円を既に支出しているのに、何故再度調査費が必要なのか?もし順調に進んでいるなら、次は基本設計費のはずです。対する答弁は、運営主体をお願いしようとしている地元住民団体を説得することと併せ、それが無理だった場合、どのような運営方法が考えられるか、再度調査する必要があるとのことでした。
もし調査するにしても、私からすれば、予算を組む必要はさらさら無いと考える訳です。
 結局、この予算は、地元が運営主体となることを拒否したため、執行されなかったことが、この度ようやく判明しました。と申しますのも、昨年9月に開催された決算特別委員会で、私がこの点を追及したのですが、その時は未執行だったことの答弁を避けたのでした。執行部に不利なことは聴かれたことだけ答えるが、逆に有利なことや実績を誇示できる場合は、聴かれなかったことも答えるというのが、執行部の姿勢なのです。
 更に29年度予算には、ついにこの関連予算計上が見送られました。「この施策は失敗でした」とは誰も言いません。これが行政の態度です。失敗したことは隠し通して自然消滅を狙うのが行政と言われても仕方ないでしょう。
 結論として、この政策は完全に失敗し、なくなりました。私は一貫してこの愚策に反対を表明して参りましたが、私の言った通りになったというのが顛末なのです。管理職は市長の指示にイエスマンであるよりも、堂々と意見を言えるようにすべきです。前市長を含め、大いに反省してもらいたいものです。 

Facebook 2018.2.24

クールチョイスを計画化、
カーボンオフセットは緒に就く!

 昨日は127回目の街頭演説。寒波が過ぎ去り、かなり温かくなって来ました。テーマは、先日呉市議会民生委員会で報告された、第4期くれエコアクションプランについてです。
先ず、エコアクションプランとは聞き慣れないですが、呉市役所に限定した地球温暖化対策実行計画のことです。第4期とは、平成30年度から34年度までの5ヶ年となります。
 地球温暖化対策推進法第21条では、地球温暖化対策に関し、地方公共団体実行計画を策定することになっていますが、その内の事務事業編という位置付けとなります。
 因みに、呉市全域を対象とした地球温暖化対策実行計画は区域施策編と呼び、これはこの度改定された第2次呉市環境基本計画10ヶ年の中付けとなっています。私は地球温暖化実行計画として、事務事業編と区域施策編をセットにすべきと主張しており、当局は受け入れませんでした。
 
さて、第3期エコアクションプランの取り組み成果として、温室効果ガス排出において、基準年度である平成23年度に比べ28年度は、4,945t、率にして5.2%の減少となりました。
 但し、29年度は中学校全普通教室への空調設備設置で、実際全教室で冷房を駆使するのは30年度から、30年度は小学校全普通教室への空調設備化で、31年度から冷房を駆使することとなります。となりますと、31年度は600tの二酸化炭素排出が余計にのしかかり、第4期への悪影響は免れません。しかも、これまでの各教室2台の扇風機で、全教室年間40万円だった電気代と比べ、8千万円もかかるのです。
 実は、このことの予算に反対したのは私一人でした。選挙を意識した前市長によるトップダウンで決定された経緯があります。教育施策の独立性を謳った教育委員会は市長のイエスマンに終始し、庁内組織であるエコポリス推進会議にも付託されず、全く機能していなかったのです。
そこで第4期計画では、職員への情報提供や啓発、研修が新規事項として盛り込まれました。これは一歩前進と言えましょう。
 これらのことを踏まえ、計画最終の平成34年度の削減目標として、14,633tに設定しました。これは25年度を基準年度とし、97,552tを82,919tに削減するというものです。率にして15%の削減となります。加えて長期目標としては、平成42年度に30%削減を目指すとしています。因みに呉市全体の実行計画では、同年度には26%削減を目標にしています。
 
 ところで、昨年6月定例会で私が提案したことの内、次の3点がプランに盛り込まれました。
 その第一は、クールチョイスの導入です。これは国が取り組む啓発活動に沿って、呉市が独自に取り組むもので、具体的施策は今後煮詰めて参ります。国民による賢い選択を促すとも言われています。現段階では、環境省への申請が認められれば、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の10/10の活用が見込めます。
第二は、公共施設に係る電力供給契約方法の見直しです。現在市庁舎は入札を実施しておりますが、私は価格競争だけではなく、二酸化炭素排出係数を考慮する総合評価の導入を提唱しています。
 但し昨年一般質問の答弁では、これは今後の課題としつつ、二酸化炭素排出係数の低い電力業者に入札資格を与える裾切り方式となるようです。いずれにしても電力会社によっては、火力発電を電力供給源にしており、自然再生エネルギーを電力源にしている事業者の参入を促す仕組みです。
 また、市庁舎以外の施設の殆どが中国電力との随意契約となっており、これも入札へシフトすることが求められます。例えば消防局や上下水道局では、これまで緊急時リスクに備えて安定した電力供給が求められるとの理由で、専ら中国電力との契約でした。入札の結果新電力との契約となり、万一供給ストップとなった場合に備え、予め中国電力と協定を締結しておくことも検討課題となります。
 新計画では新たに自然エネルギーの有効利用を図ることが盛り込まれましたので、この事項との整合性を図る必要があると考えます。
 第三として、カーボンオフセット等、先進的取り組みや技術の調査・研究が盛り込まれました。カーボンオフセットとは、温室効果ガス排出目標を達成できなかった場合に、その目標との差額排出量に見合った温室効果ガス削減活動に投資することで、国や県の認証を受けることで穴埋めするシステムです。
例えば東京都府中市では、姉妹都市の長野県佐久穂町の森林整備事業をサポートすることで、長野県より認証を受けています。呉市では余計に経費がかかることから、これまで検討をして来ませんでしたが、いよいよ緒に就いた格好です。
 私はその際は、市有林の間伐事業の際、これまでの切り捨て間伐ではなく、それらを販売し、且つ植林する委託事業を呉市が行ってはどうかと提唱しています。販売するためには切り出した材木を運搬するコストがかかるため赤字になるというのですが、有効活用することで自然循環を促し、認証を得易いと考えますし、植林を怠ればいずれははげ山になるので、二酸化炭素吸収量が却って減ることになり、本末転倒となる訳です。しかも、洪水時の被害が増大しますし、イノシシの人里への出没にも悪影響を及ぼしましょう。
 
 一方、私が提唱した公共施設個室の設定温度制御は見送られました。環境省が示す、「冷房は28度、暖房は19度」の目安は徹底化を図るものの、体感温度が業務内容や人によってことなるため、業務の効率化を進めるためには、個室の設定温度制御は行わないと、昨年答弁があったものです。
 例えば市庁舎を例にとりますと、各会議室や議会控え室では、自由に温度設定ができるよういなっています。これを庁舎全体で制御すれば、環境省の室温設定基準の順守が徹底され、温室効果ガス排出量を抑制し、省エネ効果もある訳です。これは、その気になれば予算をかけずに簡単にできることであって、呉市の本気度が問われています。
 私は、庁舎に止まらず全体制御が可能な施設については、基準室温に達し、ある程度時間が経過した段階で、自動的にストップするシステムの導入も順次検討すべきと提唱してます。
 いずれに致しましても、第4期くれエコアクションプランでは、まだ多くの課題は残るものの、私の一般質問での提案が活かされる結果となったのは、前進が図られたものと考えています。

Facebook 2018.2.28

財政健全化計画なき姿勢は財政規律の緩みを拡大させる!

 昨日は128回目の街頭演説。テーマは財政健全化についてです。
 呉市は、前市長が平成19年度の財政集中改革宣言を発布し、20年度から24年度まで5年間における、財政収支不足見通し384億円を解消するために、財政集中改革プログラムを実践しました。その間職員と給与削減という痛みを伴う改革を断行し、市有財産売却を初めとする歳入の確保策が功を奏し、見事目標を達成したのです。
 ところが、人口減少に伴う税収減や、高齢化に伴う扶助費の増加、そして交付税の合併算定替え終了に伴う減収があり、10年後の平成34年度には100億円の収支不足が新たに見込まれるとの見通しが発表されたのです。つまり、改革を継続しなければ、再び財政難に陥ることを示唆したのです。
 そこで私は、平成25年3月定例会で、財政集中改革プログラム後において、手綱を緩めないために、新たな財政健全化計画を策定すべきと主張したのです。しかし当時の市長は、計画策定を見送り、職員体制再構築計画、アウトソーシング推進計画、公共施設再配置計画と、3つの個別計画で対応できると豪語したのです。
 この間、確かに財政規律が緩みました。既に財政集中改革プログラムの目標達成で、財政危機を脱したのだからとの安易な心理も働き、選挙対策も伴って大盤振る舞いを繰り返したのです。
 例えば、小中学校全普通教室への空調設備化です。これにより、夏場の扇風機による電気代が、これまでの年間40万円から8千万円に跳ね上がることになります。それから昨年10月からスタートした乳幼児医療費助成拡大です。これまで未就学児までの通院助成、小学生までの入院助成を市独自に行っていたのを、小学生までの通院助成に、中学生までの入院助成に拡大したのです。これにより年間新たに1億7,600万円が必要となります。そして、今年度から保育士採用の再開です。これはアウトソーシング計画に水を差すものであって、保育所民営化を加速していれば、旧交通局やごみの収集職員、調理職員同様退職者不補充施策を継続できたはずなのです。
 さて、当局は先の総務委員会で、平成30年度から34年度までの健全な財政運営の確保策を発表しました。但しこれには大きく二つの問題点があります。
 その第一は、財政集中改革プログラムの様に財政健全化を中心とする体系ではなく、同期間における第3次行政改革実施計画の中付けになっていることです。これでは、財政健全化への意識が高まりません。財政集中改革プログラムの際は、主人公が財政健全化であって、それに行政改革を附属させていたのです。
 具体的に第3次行政改革実施計画では四つの基本方針を掲げ、その3番目に健全な財政運営の確保が記述されたに過ぎません。因みに、基本方針①として、市民ニーズに対応しする行政サービスの提供、基本方針②として、効率的は行政システムの構築、基本方針④としては、職員の意識改革と能力開発としています。
 第二の問題点は、財政健全化の確保策には、収支不足を解消するための具体的な数値目標が設定されていないことです。歳入確保策や歳出縮減策における項目を羅列しているに過ぎません。財政集中改革プログラムが目標を達成できたのは、収支不足解消の目標値を先ず明確化した上で、それに対する具体的な対策に係る数値目標を掲げたからにほかなりません。
つまり、この度の財政健全化は計画ではなく、第3次行政改革の中の基本方針にしか過ぎないのです。これでは財政規律の手綱を引き締めることは到底できません。
 実際、この度発表された今後5年間の財政収支見通しでは、109億円の収支不足が見込まれるとしているのです。これは単年度平均21億8千万円となります。財政集中改革プログラムを達成した時点での平成25年度から34年度までの財政集中見込みは単年度平均10億円ですから、当時よりも2倍以上見通しが悪化していることになります。
 つまり、当時、何もしないで通常の財政運営をすれば毎年10億円が不足すると予想していたことから、それよりも倍以上悪化したことで、この5年間、何もしないどころが、大盤振る舞いをしたと言われても仕方ない訳です。
 しかも、25年度から29年度までの財政健全化空白5年間に対する、総括や反省も全くありませんでした。これでは新たな財政健全化計画を策定できようもありません。
 
 一方、新年度予算案が現定例会に上程されていますが、新市長になって、早くも財政調整基金17億円を取り崩さざるを得なかったのです。市長はマスコミへのインタビューで、「新しい航海に出て、岸壁を離れたばかりの状況が新年度予算。今後は遠洋に乗り出して行く」とその決意を吐露されています。確かに青山クラブ関係予算は、新年度では耐震診断の2千万円のみですから、著についた軽微は予算となっています。それが今後全部保存するとなると、30億円、維持管理費で年平均9千万円もかかりますから、遠洋航海に出ますと、更に財政赤字が膨らむことが予想されます。
 実は、今後5年間の財政収支不足109億円には、青山クラブ全部保存や桜松館改修費7億円は含まれていないのです。ということは、更に財政収支か悪化することは予想に難くありません。
 加えて、平成23年度から52年度までの30年間を見通した共施設等総合管理計画では、ハコ物の総床面積を30%削減するという大目標を掲げているのです。青山クラブ全部保存への方針転換は、これとも矛盾していることは疑いの余地はありません。
 私は来る3月2日の予算総体質問において、市民を代表し、このことをぶつけて参る所存です。

Faebook 2018.3.9

公共建築物計画修繕のための基金創設を提唱!

 去る3月6日は129回目の街頭演説。テーマは、公共建築物の計画修繕についてです。
一昨年8月、呉市が所有するグリーンピアせとうちの冷温水発生装置が突然故障し、冷房がストップ。利用客に多大な迷惑をかけてしまいました。同施設の指定管理者は独自の判断で、呉市に了解を得ることなく、当時の宿泊料と飲食費を無料にしました。
 呉市当局は、この事実を議会に報告せず隠していたのです。しかも、宿泊棟の冷温水発生装置は予備を含めて2基あり、通常は予備を暫定稼働させれば、冷房が止まることはないはずです。つまり稼働させていないもう1基も故障中だった訳で、これは施設の計画繕を行っていなかったことが原因です。
 ところで呉市は、100万円を超える修繕は指定管理者から相談を受けた上で対応し、100万円未満は指定管理者に修繕を任せる契約を締結していました。つまり事後修繕であったことから、今後公共建築物には全て修繕計画を策定することの必要性が改めて明確になったと言えましょう。
 一方呉市は、国の要請に基づき、平成28年3月に公共施設等総合管理計画を策定。これは公共建築物と道路、橋梁、公園等のインフラ施設を今後どのように維持管理するかをまとめたものです。その中で公共建築物に限って言えば、平成27年度から52年度までの26年間に2,209億円の維持管理費がかかると試算しました。年平均、実に112億円が必要となります。
 これを、施設の廃止や統廃合、複合化により、総床面積を3割縮減するというのです。もしそうなりますと、維持管理経費をどの程度縮減できるのか、私は先の3月定例会予算総体質問で質疑致しましたが、まだどの施設をどうするのか、全てがまとまっていないことから、試算は不可能との答弁に終始したのです。
 この前提となる公共施設再配置計画では、施設を3種類に分けた上で、3次に亘ってその方向性を定めることにしておりました。その最終年度が今年度末ということで、これを予算総体質問で確認したところ、全体見通しとして53%、260施設しか結論が出せていないというのです。これでは、公共施設等総合管理計画で平成32年度までに策定する公共建築物の個別維持保全計画(略して「個別計画」と呼ぶ)は、前途多難です。個別計画策定に当たっては、全施設を一括で行い、しかも目標年次の前倒しもあり得るとしていたので、非常に不安になった訳です。
 
 この個別計画を策定することで、初めて平成52年度までの施設の総床面積が判明し、この間に必要となる維持管理経費も見通しが立つのです。
 そうなって初めて、財源確保策の必要性が高まって参ります。私はこのための特定目的基金の創設を、先の予算総体質問で提唱致しました。これは維持管理経費予算の年度平準化にも寄与し、安定した財政運営ができるからに他なりません。
 しかも、決算時に生じる余剰金の一部を積み立てる財政調整基金方式ではなく、予算段階から必要経費を予め確保することで、このところ緩みがちな財政規律の手綱を締めることが可能となるのです。
 会社経営では、ハコ物を維持管理する場合、将来の建て替えに備えて法定耐用年数に合わせて減価償却費を積み立てます。また、改修費においても引き当てたりします。つまり、収益的収支で余剰が出た部分を内部留保し、資本的収支に回す考えです。即ちランニングコストを駆使するのが収益的収支、イニシャルコストを駆使するのが資本的収支と言われ、複式簿記となっているのです。
 ところが自治行政は単式簿記で、資本的収支がないため、目の前の必要経費のやりくりで目一杯となり、必然的に将来負担はその時々に財源確保に努めます。このため起債(借金)体質に陥り易く、将来に禍根を残す財政運営に陥ってしまうのです。
 そこで、内部留保に代わるのが特定目的基金という訳なのです。例えば大和ミュージアムは、20万点の資料を展示することで、オンリーワンの呉市らしさを提供するため、将来必ず建て替えが必要となります。その時巨額の予算がかかるため、今の内から毎年度少しずつ積み立てておくのです。これは施設更新に係る基金です。そのほか、公共建築物の維持保全計画を策定し、そのために必要な経費を積み立てて確保しておくのが、施設維持保全に係る基金となります。理想的にはこれらを別途積むことが、より健全な財政運営をすることができると、私は提案致しました。
 当局は、公共施設等総合管理計画でもこの様な基金設置を目標に掲げているとしつつ、今後も前向きに検討すると答弁したものの、その創設目標年次を明らかにすることはできませんでした。最悪の場合、創設しない選択肢も含まれます。
 私は今後も、公共施設維持保全や更新整備に係る基金創設の必要性を訴えて参る所存です。 

Facebook 2018.3.13

グリーンピアせとうち公募売却の白紙化は失政を招く!

 昨日は130回目の街頭演説。テーマはグリーンピアせとうち公募売却の白紙化についてです。
呉市は、自ら所有するグリーンピアせとうちを公募売却する方針を打ち出していましたが、昨年11月に就任した新市長が初の議会に臨んだ12月定例会で、白紙化を表明致しました。
 先ず、過去の経緯について説明致します。グリーンピアは厚生年金を原資とした財政投融資により全国13箇所に建設された大型保養施設です。経営が厳しくなったことで、時の小泉政権が売却方針を打ち出しました。その流れで呉市は平成17年度に、国の外郭団体である年金資金運用基金から、広島県の補助もあって、グリーンピア安浦を4億250万円で購入に踏み切りました。
 運営は公設民営方式である指定管理制度を導入することとし、公募により、当時国民宿舎の再建等で実績のあった㈱アルファー・ビラが選定されました。そして、同社の子会社である㈱ゆうとぴあセトウチを指定管理者として、平成17年10月にグランドオープンに漕ぎ着けたのです。
その際、宿泊料や飲食・土産販売等による収入は指定管理者に収受される利用料金制と採用し、固定資産税相当の指定管理者負担金3,200万円に加え、私の提案もあって、収益の10%を毎年度呉市に納金することで契約に至りました。
 スタート時は、経営が順風満帆でしたが、第1期指定管理期間である5年半の終盤には経営が苦しくなって来ました。そのような中、第2期指定管理期間である平成23年度から27年度までの5年間は、応募者がゆうとぴあセトウチのみだったため、再度同条件で同社と契約を交わします。ところが、その初年度の平成23年度には、初の赤字4,500万円を出してしまったのです。
 実は、私が一昨年12月に一般質問した際、アルファー・ビラとゆーとぴあセトウチとの関係が、第2期指定管理期間に入って完全に切れていたことが判明したのです。つまり、黒字続きの第1期期間には、親会社が子会社の内部留保を吸い上げ、経営が厳しくなると、すぐさま子会社を独立させていたのです。しかも呉市にはこのことを内密にしており、私が質疑するまでこの事実に当局は気付いていなかったのです。
 そして第2期期間の終盤には、指定管理者負担金の滞納が続き、呉市はグリーンピアの在り方を検討するため、平成28年度と29年度の2ヶ年に亘って非公募でゆうとぴあセトウチと指定管理契約を締結しました。この間、経営を助ける意味で、経営圧迫要因にになっている指定管理者負担金を免除することにしたのです。ところが、27年度段階で既に水道料金も滞納が続いており、これらの事実を当局は議会に対し隠していたのです。それを知らされない議会は、指定管理議案を議決するに至りました。
 滞納事実を当局が正直に説明していれば、私は議案に反対していたはずでした。結局当局が隠していたことが災いして、指定管理者との訴訟問題を引き起こした格好です。
 実際、中国電力㈱への電気料金を滞納していたゆうとぴあは、送電を打ち切られる羽目になり、呉市はたまらず、昨年3月から中電との契約を呉市に切り替えました。その際、このことを議会に報告せず、電気代の予算化も怠っていたのは、議会軽視であり、大問題でした。
 この様な経緯を経て、呉市はゆーとぴあとの指定管理契約を6月8日付けで破棄、3ヶ月弱の休業の間施設点検を行い、最低限の修繕を施工した後、暫定1年間の指定管理契約を、現在の㈱休暇村サービスと締結したのでした。即ち昨年9月1日から今年8月31日までの契約となっています。
併せて同時期の6月1日、呉市は私が提案していた、グリーンピアの公募売却方針を決定しました。ホテル購入を絶対条件としつつ、残りの施設は応募者提案に期待したのです。ということで呉市は、休暇村サービスの指定管理期間1年の間に公募を行い、速やかに売却先を決定し、所有権を移転した上で、新たな所有者によるオープンを、切れ目なく今年9月からスタートさせる方向性を描いていたのです。
 ところが、新政権が昨年11月に誕生し、市長は公募売却方針を白紙化したのです。即ち、再度一から見直しを進め、既存の指定管理方式、或いは賃貸方式も選択肢に加えるとしたのです。
 ただこれでは、これまでの職員の研究、そして成功事例たる旧グリーンピア三木視察等の努力が水泡に帰してしまいます。因みにグリーンピア三木は、兵庫県が民間会社に賃貸していましたが、これを公募売却しました。購入した㈱延田エンタープライズは、宿泊棟の大規模改修に踏み切り、プールに目玉商品を整備し、平成28年7月1日に、「ネスタリゾート神戸」として再スタートしたのです。企業が所有したことで、斬新的アイデアで設備投資をしたことが当たり、スタートダッシュを成功させたのです。
 つまり、グリーンピアせとうちの将来は、公募売却が最善なのです。それを指定管理や賃貸も含め再検討するのは、時計のネジを逆戻しするのと等しく、正しい選択肢である公募売却方針を呉市自ら放棄してしまうことで、愚策の最たるものと考えます。
 グリーンピア三木と違って、グリーンピアせとうちには、プールと海水浴場が隣り合わせになっていて強みもありますので、これを企業ノウハウを駆使し再生することが可能です。しかも、呉市は今夏に備え、新年度に2千万円余りをかけて、サンシャインプール入り口ゲートの床タイルを補修し、女子更衣室天井窓の腐敗部分を修繕するといいます。いち早く決断するべき時なのです。
 しかし、再検討は全く進んでいませんでした。これは、私による先の予算総体質問で、明らかになりました。というか、本当は再検討する必要も、意味もない訳です。
 となりますと、暫定1年間の指定管理では、現時点では全く間に合いません。当然、指定管理期間の延長が視野に入って参ります。結局市長の洞察力が欠如していたことで、職員が翻弄されてしまう結果に陥りました。市長に物申す管理職もおらず、皆市長を忖度しイエスマンに成り下がっています。
 これが上司の命令に忠実な公務員の宿命とも言え、だからこそ、市民を代表する議員が、正論を展開する必要があるのです。現時点で、このことに対し市長に疑問点をぶつけているのは私だけではありますが、今後も訴えを続けて参る所存です。 

Facebook 2018.3.25

呉駅前再整備計画の対象範囲拡大は、財政圧迫要因に!

去る3月20日は、131回目の街頭演説。テーマは呉市新年度予算の目玉である、くれワンダーランド構想検討委員会設置と呉駅前地区再整備についてです。
 さて一昨日3月23日、平成30年度呉市予算が可決されました。新市長として初の本格予算編成で、マニフェストで提唱したくれワンダーランド構想をどう予算に反映させるかが注目の的となりました。
 いきいき、わくわくするような呉市にするための4つのキーワードである中小企業活性化、交流都市への発展、女性と若者支援、いきいき島ライフは、全て第4次長期基本計画に既に書かれています。つまり、長期基本計画を市長流にアレンジを持たせて表現したに過ぎません。
 しかも市長は、これまで具体的政策には敢えて言及せず、これから市民や議会の意見を拝聴する中で考えていくと、就任後に答弁を繰り返して来られました。その上で、くれワンダーランド構想に係る検討委員会の設置費300万円を新年度予算に計上しました。これは委員報酬が主なものです。つまり、市長自らこうしたいというよりも、具体策を諮問機関に丸投げしようとするとも言えましょう。姿がなかなか見え難いとも言えます。因みに、呉市の方向性を見据える総合計画審議会の報酬でさえ58万円ですから、今回の300万円の報酬は、複数の分科会設置を視野に入れたものと推察されます。
 4つのキーワードで検討をするといっても、余りにも広範囲で、議論が搾り切れません。このような諮問機関はナンセンスです。しかも具体策検討に設置を予定している呉駅前地区再整備分科会にしても、前市長の構想だった呉駅前広場と旧そごう周辺整備から、脚色を加え、対象範囲を拡大するとの言及がありました。私の質疑により、これが呉駅舎までに対象に加えることが次第に判って来ました。
 その中で、現在駅北側にしか設置されていない改札口を、南側にも設置する構想がちらついて参りました。現在の駅舎は北側の駅前広場に面して建てられており、その後開発された駅南側には通じておりません。ということは、橋上駅を新設し、橋上中間に改札口を一本化することも視野に入って参ります。
 ところが、現在の駅舎は昭和57年建築ですから新耐震基準を満たしており、築後36年しかまだ経っていません。もうしそうすれば、過去2本の南側へ抜ける自由通路を建設したことの意味が薄れ、二重投資になってしまいます。確かに以前駅南区画整理事業が行われ、レクレビル等で賑わっており、橋上駅を新築して、どちらにも出られるような改札口を設置するのは、正しい方向性ではあるでしょう。
 ただ、駅舎の耐用年数や、特に南側開発以降、西側に2本目の南北自由通路を建設したことから、時期尚早と考えます。ましてや、JRは駅舎建設に殆ど支出しないでしょうし、呉市の財政を考えるとなおさらです。
 もう1点、この度の本会議での部長答弁で、JR呉線連続立体交差事業も選択肢に入って来るとの答弁がありました。これに本腰を入れると、投資額が膨れ上がるのは火を見るより明らかです。しかも広島~海田間の広島東部連続立体交差事業でさえ、県や広島市の財政難から、一部区間の立体化を取り消す計画となっており、未だ反対する地元との協議が難航している状況です。
 実はこの構想は、昨年度末に策定された都市計画マスタープランにも記載されています。民間有識者で構成する諮問機関である検討委員会委員の一人が、「巨大なコストがかかる実現性の見込めない立体交差事業を計画に記載するべきではない」と発言しました。ところが座長は、敢えて委員間討議を戦わすことを避け、委員会事務局である提案者の呉市都市計画課に提案理由を述べさせただけだったのです。これでは諮問機関の存在意義が全くありません。
 実際諮問機関というのは、市長のイエスマンしか委員に登用されませんし、市長の意向を受けた官僚がたたき台を作るのが常道です。財政的視点から、事業費抑制意見は、市長を忖度して出され難い体質があり、結局は官僚の考えた内容が採択されるのです。
 そして、これに関するコンサル委託料として、総合基本調査費4,500万円の内、2千万円をワンダーランド構想に割いています。
 ところが、今年度予算化した呉駅前地区再整備基本計画策定費1千万円については、既に390万円を支出しており、この途中段階の調査内容をどう活かすのか、明らかにしていません。リセットして予算立てするのではなく、行政の継続性の観点から、未執行の610万円を新年度に繰り越すべきでしょう。
 それでもし不足したとしても、予備の総合基本調査費を緊急枠で別途2千万円も組んでいるのですから、財源は確保できる訳です。下手をすれば、前市長時代に予算執行した調査費は、空を切ってしまう可能性すら秘めているのです。
市長は新年度予算について、船が岸壁を離れた直後に例えられ、いずれ大海原へ航海に出ると予告されました。岸壁直後でも、新年度予算では財政調整基金や減債基金を17億円も取り崩したのですから、これら事業が具体化して大海原に乗り出したら、収支不足が更に拡大するのは必定です。
現時点での財政見通しでは、平成30年度から34年度までの5年間で109億円の収支不足が予想されているのです。即ち年平均22億円が不足します。ところが、この見通しには、呉駅前地区再整備や青山クラブ保存改修は入っていないことが、私の質疑で判明したのです。ということは、大海原へ航海する暁には、更に収支不足が拡大することになります。
 呉市は少子高齢化と人口減が激しく、今後税収も減って来ますので、それなりの財政運営が必要となります。つまり身の丈のあった予算編成にすべきであって、選挙を意識するあまり市民の期待に安易に応え、決して背伸びをするべきではないのです。

Facebook 2018.3.27

10年前の工業団地適地調査データの活用を!

本日は132回目の街頭演説。テーマは、内陸部産業団地適地調査についてです。
 呉市は新世紀の丘構想の一環として、郷原に長谷工業団地を整備後、県企業局が苗代地区住宅団地造成事業から撤退したのを受け、苗代工業団地を造成しました。第1期工事は平成17年度に着手し18年度末に完成、第2期工事は平成20年に着手し、22年度末に完成しました。
 分譲努力を継続した結果、唯一売れ残っていた第1期の1区画約1haが、㈱ヒロコージェットテクノロジーに対し、約2億8,600万円(坪94,600円)での売買契約を今月締結しました。同社はジェットエンジンの部品等を製作する会社で、既に同団地内で操業しており、敷地を拡大する形となりました。本年7月に新工場を建てた上で営業開始となり、正社員10名の雇用を見込んでいます。
 同社分譲により、第1・2期を通じて完売した結果となり、分譲収入は約28億4千万円、事業費の約27億2千万円を差し引くと、1億2千万円の黒字でした。ただ企業立地条例により、売買価格の3割は、創業した時点で補助金として還付することになっており、固定資産税収入は、5年間に亘り翌年同額を補助することで、実質的な免除となっています。加えて設備投資に対し、20億円以下であれば、1割、1億円までの補助が受けられますし、従業員の正規雇用には1年間に限り、一人当たり年額50万円、パート雇用には一人当たり年額20万円の手厚い助成制度があるのです。これらは、自治体間の企業誘致競争に打ち勝つ手段として、致し方ない投資と言ってもよいでしょう。
さて、全9区画10.6haが全て稼働すると、出荷額は年間55億6千万円に上ります。雇用状況は新規雇用者146人を含む286人となります。つまり、直接目には見えませんが、経済の活性化に貢献するとみている訳です。
 前市長も選挙戦マニフェストで新たな工業団地に着手したいと訴えておられましたが、新市長もくれワンダーランド構想実現の一環として、新年度予算に、内陸部産業団地適地調査費500万円を盛り込みました。
 ところが、平成20年度に適地ボーリング調査費が2,500万円組まれ、執行しましたが、結局企業誘致に失敗した苦い経験があったのです。
 当時苗代第2期工事に着手したばかりだというのに、何故別途工業団地開発に乗り出す必要があったのかを説明します。第2期の開発面積は12.4haでしたが、その内事業用地は6.3haしかありませんでした。時を同じくして某社から10ha規模の土地の引き合いがあったことで、前市長はこれに応えるため、軽々とそれに乗った経緯があります。私は当時、経済は生き物だから、その企業が新たな造成を待って進出するかどうか不明として、疑問を呈しました。つまり、契約を交わした訳ではなく単なる口頭での話ですので、担保がなかった訳です。しかも適地調査して造成が完了するまで、少なくとも3年はかかります。その間、その企業が他の自治体の工業団地に進出しないとは言い切れません。
 そうこうする内、同年9月にリーマンショックが世界経済を襲い、その企業は逃げてしまいました。結局、そのボーリング調査費2,500万円はどぶに捨てた格好となったのです。当局は、調査データは後々に活用する場面も出て来るから無駄にはならないと強弁した記憶があります。
 ならば、苗代工業団地が完売し、新たな造成に係る適地を、東呉道の郷原インターチェンジ付近で探す際、前回のデータを活かせば、新たな調査費を予算計上する必要はないのではないか、というのが私の主張なのです。去る予算特別委員会で、この点を当局に糺しましたが、腑に落ちる答弁はできなかったばかりか、このデータの存在が忘れ去られていた節が見受けられました。当時の予算が、この度と比べて5倍もあったことも、疑念材料の一つとなっています。広大な面積だから、ボーリング箇所が多かったのでしょうが、それにしても高過ぎます。つまり、担当部署の管理職は、10年前のことを知りませんし、ましてや市長も過去の経緯は全く知らない訳です。
 そこで私は、この点を解明すると共に、データが活用できるのであれば、新年度予算を未執行にすることを今後働きかけて参りたいと考えています。市民の尊い血税を二重投資してはいけません。

Facebook 2018.4.2

柑橘の害虫駆除、農薬空中散布は健康被害をもたらす!

 去る4月2日は、133回目の街頭演説。テーマは農薬空中散布についてです。
呉市は新市長体制になり、特色ある新規予算を組みましたが、その一つが農業振興に資するための柑橘防除実証実験事業140万円です。これは、だんだん畑の柑橘類に付く害虫を駆除するため、ホースを使い人力での殺虫剤散布を、ドローンによる空中散布実験をモデル的に実施するものです。これにより労働力の節減になり、コスト減等の効果を見極めた上で、柑橘栽培農家に拡げようとするものです。
 ここで、何故樹木に害虫が付くかという根本的問題があります。これは柑橘に限らず、無機物で命のない化学肥料を、これも労働力を軽減するために導入したことで、土中の微生物が死滅し、十分な栄養補給が樹木に行き渡らず弱体化したため、害虫にやられることを知らねばなりません。その害虫を防除するために、更に有毒物質を含む農薬を撒いて来た経緯があります。
 化学肥料は土中に必要な成分を含んでいるため、経済面から得策と考えた政府の愚策が、このような悪循環を生み、却って農家を苦しめている訳です。その安価な残留農薬作物を摂取しているのが我々消費者であり、これが病気の要因にもなり、医療漬けとなって薬剤を体内に投入して自己治癒力を減じ、医療費が増大しているのが現実の社会です。
 農水省は減農薬を推奨してはいますが、その人体に悪影響を及ぼすしきい値は、科学的に実証されておらず、放射能と同様「ただちに人体に影響を及ぼすものではない」として、農薬を黙認して来ました。
 但し近年は、有機JAS制度を構築して、これに認証を与え、市場に出回る有機作物にお墨付きを与えるようになりました。因みにこれは、最低2年間に亘って化学肥料を使用しなかった土壌において、遺伝子組み換えの種子は使わない、農薬は一切撒かないことが条件となっています。しかしながら、認証農家は全国の僅か0.2%に止まっており、価格が高いため、消費者も手が出し難く、需要が伸びないので価格も下がらないという悪循環に陥っているのです。
 
 その人体に有害な農薬を更に空中散布することは、問題をもっと大きくするものです。何故なら大気中に農薬が拡散されますと、風に乗って近隣住民にまで直接悪影響をもたらすからです。
 実は林業振興施策の一つに、松枯れ対策に係る松食い虫防除として、以前小型ヘリコプターによる農薬の空中散布事業がありました。これは各県が助成制度を構築し、その財源を原資として各市町が実施していたのです。広島県においては、平成15年度から18年度まで4年間予算化しました。この間呉市も予算を組み、実施していたのです。ところが、これが人体に悪影響を及ぼすことで、一部地域では住民の反対運動により、空中散布できませんでした。
 世論の高まりに押され、広島県は助成制度を廃止し、これに併せて呉市も18年度末をもってこの事業を廃止したのです。19年度からは、伐倒駆除や樹木への農薬直接注入に切り替え現在に至っています。
 長野県では現在もこの助成制度が存続しており、上田市では住民による反対運動が高まり、ネオニコチノイド系農薬の人体中毒を訴え県の助成制度から脱却し、平成22年度末を以て同市における農薬空中散布を廃止に追い込みました。
この様に、この度の柑橘への農薬空中散布は、過去の教訓が全く活かされておりません。空中散布は山林の土壌の微生物や昆虫を死滅させ、植物の実に悪影響を及ぼし、その結果、餌がなくなったイノシシが人里に出現するようになったのです。自然を破壊した人間の自業自得であることを悟らねばなりません。
 自然共生と無縁な施策を公金を使って支援することなど、到底許されるはずがありません。加えて健康被害をもたらし、医療費増に繋がるのです。高齢化のみならず、健康を害することで、農業人口減にも却って拍車をかけるものです。新市長にとって、末代にまで禍根を残すであろう愚策となるのは明白です。
 しかも農業者の立場で言えば、モデル事業の時のドローンに係る経費は呉市が負担するも、独自で実践しようとすれば、複数の農家が連携してドローン散布の委託契約を業者と結ぶ必要があります。そのことで、本当にコストを軽減できるか甚だ疑問だということです。
 農業の機械化、AI化が叫ばれてはいますが、それが自然破壊をもたらすようなことは決してあってはならないのです。
呉市は郷原に農業振興センターを有しており、有機栽培実験もある程度行っています。この際、無化学肥料無農薬実験を更に進め、害虫の付かない作物や果樹栽培の成功例を確立し、農家を支援する施策に方向転換すべきでしょう。私は以前から一般質問でも、このことを提唱して参りましたが、前市長は見向きもいしなかった経緯があります。新市長に期待すべく、今後も自然農法の推進を促して参る覚悟です。

Facebook 2018.4.12

緩やかな節介事業は現場事情を無視し、税金の三重投資!

去る4月9日は134回目の街頭演説。テーマは、呉市の新年度新規事業の一つで「緩やかなお節介事業」です。
これは、くれ協働事業提案制度における平成26年度から28年度まで最長3年間の助成を活用して、第二地区まちづくり委員会が実行委員会を起ち上げ実践された、「地域見守り隊」がモデルとなって制度化しようとするものです。この活動は新聞にも採り上げられ、自主的に行動された稀なケースとして、大いに評価されるものです。
これを制度化する目的は、地域スタッフが高齢世帯を戸別訪問して話し相手になることで、地域コミュにケーションの深化を通じて、介護予防にも寄与できることが上げられます。同時に、新たな地域スタッフの掘り起こしも期待できるとしています。
 具体的には、新年度に3団体のモデル地区を想定し、1団体当たり30万円を限度に、合計90万円を予算化致しました。理想としては、旧市内中央地区に1団体、旧市内市民センター地区に1団体、合併町に1団体の設立を想定しています。
 来年度は新たに3団体を募り、32年度はまた新たに3団体、これを33年度まで合計4年間実践した上で、32年度に結果を検証し、呉市全体に制度化するか検討するといいます。
では、その30万円の使い道は何でしょうか?、戸別訪問スタッフに対しユニホームを貸与したり、実行委員会起ち上げのための、視察や研修費、拠点づくりのための備品購入などが考えれるとしています。ということは、2年間で最大60万円のイニシャルコストに対する交付を受けた後は、後は人件費はゼロで継続して行うという意味になろうかと思います。
 これに対して、私が今年度から会長を務めることになった第四地区自治会連合会における理事会において、早速疑問の声が上がりました。民生委員の高齢者宅への訪問活動とどう違うのかという素朴な質問です。
 民生委員が戸別訪問する対象世帯は、一人暮らし高齢者や老々夫婦のみの世帯というように、予め名簿があてがわれます。これに対して、地域見守り隊事業は、特に対象が特定されてはいませんが、若者と同居している世帯は極力避けると思われることから、ほぼ対象世帯が重複するのではないかと推察されます。
実は他にも、呉市で昨年度からスタートした介護保険事業における介護予防・日常生活支援総合事業にも、同様の事業があるのです。
 その一つは、介護予防・生活支援サービス事業の中の住民主体によるサービスです。これは、要支援者の一部と要支援者予備軍の一部を対象として、訪問型と通所型サービスとの分かれていますが、これと類似しています。
 これも介護保険法改正を受けた新たなサービスですが、地域の縁故団体たる老人クラブに声かけをしていまして、平成28年度から事前にモデル地区を選定し、生活支援コーディネーターを社会福祉協議会に委託して配置しました。即ち天応・吉浦、警固屋・宮原、音戸・倉橋地区です。29年度制度スタート年度になって以降、現時点では警固屋、仁方、第三地区の各老人クラブ連合会が担い手団体として登録されています。但し老人クラブといっても、その世話役は自治会役員と被っており、これらの方は他にも当て職を持っておられます。
 この制度は、戸別訪問先で高齢者の話し相手になるだけではなく、掃除、洗濯、買い物、ゴミ出しといった、介護職専門外の家事支援サービスをすることで、1件当たり500円程度の受益者負担を支払ってもらうというものです。
 加えて通所型サービスは、通所拠点を開設したりして、お茶をのみながらコミュニケーションを図ろうという常設サロン的イメージではありますが、対象者が限定されるため、具体化は全く見えておりません。
 これらは厚労省が机上の上で捻り出した制度設計であり、現場の実情に全く適合していないのは明白です。
 もう一つの類似事業は、一般介護予防事業の中のサロン事業です。これはふれあいいきいきサロンのことで、呉市と呉市社会福祉協会の委託事業です。この中にも常設型と、随時開催型とあり、年間開催回数や、65歳以上高齢者の参加人数によって、助成金が異なって参ります。
 常設型は、過去に広島県社会福祉協議会が助成していた、地域支え合体制づくり事業を活用して、川原石地区の「和(なごみ)の家」、宮原地区の「きらく亭」がありましたが、3年間の助成が切れたこともあって、29年度からスタートしたサロン事業に移行が可能となりました。私が進言したことによります。
 また、これらの先駆けとなったのは、三条地区の「ふれあい広場」であり、ここは介護保険事業に枠組みに拘束されずに、ゆめづくり交付金を活用して、現在も担当者をローテーションしつつ、運営を継続されています。
 尚これらサロンは、65歳以上であれば、対象者が限定されていませんので、これこそ地域見守り隊事業と重なるものです。と申しますのも見守り隊活動には、やはり訪問型通所型の2種類あるということだからです。その内の通所型が、この一般介護予防事業におけるふれあいいきいきサロンと完全に重なります。
 また同サロンの場合、集いに誘うための戸別訪問も推奨しており、1件訪問する毎に100円が呉市社会福祉協議会から助成されるのです。となりますと、これも地域見守り隊と完全に合致致します。
 この様に、地域見守り隊事業は介護保険の介護予防・日常生活支援総合事業や、民生委員活動と重複しています。因みに前者は介護保険課、後者は福祉保健課が予算化しています。これに対して、地域見守り隊による緩やかなお節介事業は、地域協働課であって、正に縦割行政の弊害が色濃く滲み出ていると言えましょう。
 しかも、それら現場のスタッフは、殆どが同じ人が担っておられ、新たな人材発掘どころか、ボランティア的仕事が増えて、却って負担になるというのが、現場における生の声なのです。これこそ余計なお節介と言われても仕方ないでしょう。
 この様な税金の無駄遣い、三重投資、ばらまきに対し、例によって私一人が、この予算に反対を表明致しました。今後も、地域負担の軽減や緩和を図ると同時に、行政の無駄をチェックして参る所存です。

 Facebook 2018.4.22

議会軽視の上下水道局移転を大いに反省せよ!

 去る4月16日は、135回目の街頭演説。テーマは、呉市上下水道局の移転問題についてです。
 いよいよ新年度に入り、上下水道局西中央庁舎の解体工事が始まりました。この庁舎は、来月封切られる予定の呉市を舞台にしたやくざ映画「孤狼の血」において、昭和時代の呉警察署として設定ロケされた建物です。
 解体後は、今年度から消防局及び西消防署の建設が着工される予定です。上下水道局として、既に経営総務部と建設部は、一足先に平成28年10月につばき会館に移転し、移転前の西中央庁舎奥の古い庁舎に施設管理部が残っていました。
 先ず事の発端は、呉市役所新庁舎建設に遡ります。市庁舎に市の機能を集約することから、つばき会館内にあった教育委員会と産業部、そしてすこやかセンターくれ内にあった、保健所を除く福祉保健部が新庁舎に移転することとなりました。その上で、上下水道局西中央庁舎は耐震基準を満たしていないことから、福祉会館に移転する方針でした。ところが、途中からつばき会館への移転に方針転換したのです。その際、技術管理部門である施設管理部を分離し、宮原浄水場管理棟を建て替えた後、そこに同部浄水課と管路管理課を移転するとしました。
 この結果、当時24名体制だった浄水場管理棟を60名体制と規模を拡大することになり、建築費だけで12億円もかかることから、私のみが反対を表明しました。浄水課と管路管理課の36名はつばき会館に収めることが可能だったからです。
 しかも、管理棟を大規模化することが、平成26年10月からの上下水道料金の値上げに含まれているとの説明は、当時なされなかったのです。中でも水道料金は平均10.7%引き上げられています。
 その新しい管理棟も昨年度末までに完成し、今年2月26日に、西中央庁舎に残されていた浄水課と管路管理課がそこに移転したのです。しかし当初予定していた36名ではなく、議会に状況説明することなく、28名となっていました。その差8名は管路管理課の下水道維持グループで、つばき会館への移転となったのです。
 ということは、当初の移転話がコロコロ変遷し、議会も翻弄されたことになります。当局は60名体制が52名体制になったとしても、新管理棟において大勢には影響ないと豪語していますが、やはりそれだけのキャパで設計したのですから、一部公費が無駄になったと言われても仕方ないでしょう。
 実際移転時には、管路管理課長は宮原浄水場新管理棟にデスクを構えましたが、課内組織である水道維持グループは同管理棟内に、下水道維持グループはつばき会館内に移転しました。ということは、下水道維持グループは直属の上司たる課長との意思疎通が図り難くなり、言わば管路管理課が八つ裂き状態に陥ったのです。これに対し当局は、この4月から機構改革を小幅に行い、管路管理課の下水道維持グループを建設課内に置くことで回避したとしています。
 実は、宮原浄水場は水道施設ですから、そこに下水道維持グループが入居することそのものに問題があったのです。しかも建設部と施設管理部がつばき会館と宮原浄水場とに離れることで、それらを統括する上下水道局管理者はつばき会館におりますので、組織的統率が図り難くなったり、施策連携が難しくなりましょう。浄水場はあくまで現場部署ですから、浄水場を直接管理する当初の24名体制を継続する方が、管理棟の巨大化を防ぐこともあり、よかったというのが私の意見です。
 更に、平成31年度からは浄水場を広島県の出捐する第3セクターである、水みらい広島㈱に指定管理する方針を当局が固めました。既に同社へは、宮原浄水場管理棟の夜間業務を委託しています。浄水場の一括指定管理となりますと、その活動拠点は当然宮原浄水場管理棟になります。そこに水道事業と無関係の下水道維持グループがいると、却って仕事がやり難くなるとみています。このことに対して、当局はこの度の機構改革とは関係ないと答弁していますが、私はそうはみておりません。
 一方上下水道局は、平成25年度に市役所庁舎内にあった下水道部を吸収統合して、業務の効率化を図って来ました。
 そこでこの度の西中央庁舎移転に伴い、そこに消防局が来ますので、この土地を呉市一般会計に売却することとなりました。呉市上下水道局が呉市に土地を売却するのは理解し難いですが、同局は公営企業であって、基本的には税金ではなく、上下水道使用料等で経営するため、地方公営企業法の独立採算原則に従うものです。
 その売却価格は6億1,200万円で、元々その一体に下水道敷が登記簿上存在したことや水道単独の土地が存在していたことから、水道会計には4億4,440万円、工業用水道会計は1億5,710万円、下水道会計には1,050万円の売却収入があります。
 また水道会計の解体除却費用は、固定資産除却費として2億529万円が予算計上されていて、その内解体撤去費は1億3,640万円です。方や工業用水道会計での固定資産除却費は1億1,642万円で、その内解体撤去費は6,820万円ですので、水道対工業用水の負担案分比率は2:1となっています。
 ところが、これには下水道会計による負担がないことから、建物の所有は2:1で水道会計と工業用水道会計と解ります。つまり、元々市役所旧庁舎内にあった下水道部が移転統合する際、水道・工業用水会計の建物にテナント入居したことになります。
 そこで私が、、その時から施設使用料を下水道会計が納付していたかをこの度の予算委員会で糺しました。答は「ノー」だったのです。下水道会計も公営企業ですから、独立採算でなければなりませんが、水道及び工業用水のおんぶにだっこだったことが、初めて判明致しました。
 現在、上下水道局本体はつばき会館に入居していますが、その施設使用料は、下水道会計を含めて、呉市一般会計に支払われていますので、これとも矛盾することとなります。
 そこで私は、下水道会計において、平成25年度以来支払って来なかった施設使用料を、この度の解体費に負担を上乗せして支出する予算を計上し、精算すべきと主張しました。これが最後のチャンスとなるからです。ところが、当局は予算の修正をしたくないことから、明確に拒否したのです。
 大体一般論として、公共団体が他の公共団体に土地を売却する際、公正な価格で売却する側も公正な価格で購入する側も、どちらも鑑定評価を取るものです。ところがこの度は同じ呉市なので、一般会計のみで鑑定評価を行いました。これは全て市民の血税が財源となっています。鑑定評価にかかった費用は水道、工業用水、下水道の3会計全体と、一般会計とで1:1に案分負担するのが本来の姿だと考えます。
 この様に私は、市民の目に触れない部分にも光を当て、事情を理解している議員として、今後も目を光らせて参る所存です。

Fscebook 2018.4.28

ワンダーランド構想会議構成員に市民を無作為抽出とは?

 去る4月23日は136回目の街頭演説。テーマは諮問機関の在り方についてです。
 呉市長は、自らが選挙戦で掲げたマニフェスト「くれワンダーランド構想」を具現化するため、新年度予算を使って4月末までに「くれワンダーランド構想推進会議」の構成員を決定すると、去る4月20日に表明しました。
 くれワンダーランド構想とは、5分野の事業を想定しています。即ち、①時代を先取る産業を創造②世界に誇れる交流都市への発展③女性と若者のチャレンジを支援④ワクワク島ライフ⑤市長退職金市民評価制度-です。
 この内産業創造分野では、既に去る4月18日に、呉市中小企業振興基本条例制定検討懇話会の初会合を持ちました。交流都市分野では、青山クラブの保存を前提に、耐震診断2千万円を新年度予算化したところです。
 また、ワンダーランド構想のコンセプトとして、「都会と変わらない、女性や若者がワクワク、イキイキできるまちになる」ため、3つのビジョンを掲げています。即ち①自然と調和した未来志向の「イキイキした呉」を構築②女性と若者のチャレンジ支援と時代を先取る産業の創造③世界に自慢できる交流都市への発展-を目指すとしています。この様にコンセプトと事業分野の種分けがごちゃごちゃになっていて、よく分かりませんが、この3つのコンセプトの基に、市長の諮問機関を設置して、意見を取りまとめようとするもので、具体性に欠けるマニフェストの肉付けを、血税を投じて有識者に丸投げする感は否めません。
 しかも、この度問題なのは、この委員に市民枠を設ける際、住民基本台帳から無作為抽出することです。これは過去類例を見ない手法であって、若者や女性から意見を聴取することを目的に、18歳から39歳まで、女性2名、男性1名と計3名を選出するというのです。
 これには驚きました。呉市の方向性を審議し、呉市長に答申するという重みのある会議に、どの様な市民が選出されるのか全く分からないのです。これでは選出された市民がどの様な知識や学力、考えを持っていて、はたまたこれまでの選挙で投票に行ったことがなく、政治に無関心だったとしても、そして呉市の財政も顧みず、自己中心的意見を述べたたとしても構わないというのと同義です。
 加えて、抽出された方に意向確認書を送付し、参加同意の返信があった方に対し、これも無作為順に最終意向確認した上で、重要な立場である委員を決定しようというのです。
委員になれば、会議出席する毎に1万円の報酬が支払われますので、市民にとって不利益はありません。逆に、その場で本当にしっかりとした意見を述べるかは未知数です。
 これまで呉市に限らず地方自治体は、数々の諮問機関に公共的市民団体の代表者等を当て職で選出して来た経緯があります。私も議員の立場から審議会の委員に就任したり、或いは会議を傍聴することがありますが、その様な方々が意見を述べられることは極めて少ないのです。殆ど事務局である市の担当部署が素案を作成し、有識者の意見により微修正されることはあったとしても、大勢はそれが答申案となって固まるのが常なのです。
 ということは、諮問機関というのは、行政の隠れ蓑と言われても仕方ないでしょう。既に亡くなられた某先輩市議会議員がよく指摘されていたのを想い出します。ましてや、地域で何の世話もしていなかったり、自治会にも加入されていない方、学歴の短い方が選出されたとして、市の方向性を占う重要な意見を述べられるとは、私には到底思えません。
 確かに、諮問機関に専門家や公共的団体の当て職だけでは、市民ニーズを反映できないとの考えは以前からありました。呉市の場合、純粋な一般市民枠で選出した諮問機関の委員は、市民協働推進委員会や環境審議会の2つ程度しかなかったと記憶しております。
 この場合は必ず公募して、意欲的な市民が論文提出を伴う応募をし、その内容を審査した上で、慎重に選任しているのです。寧ろこの手法が当然であって、全国どこでも一般市民枠での委員選出は公募制を採用しているのです。
 くれワンダーランド構想推進会議は、議論するテーマが広過ぎて、意見を絞るのは大変だと思います。呉市に限らず地方自治体は、施策の根幹となる長期基本構想や基本計画を策定しており、総合計画審議会が既にあるのです。重複して税金の無駄遣いも気になりますが、それ以上に、一般市民枠の選出方法は大いに問題ありと考えます。珍しい手法を採用することで、マスコミ受けする効果を狙ったパホーマンスであると言われても仕方ないでしょう。
 更にこの会議は、非公開となりそうなのです。つまり傍聴ができません。であるなら、情報公開条例に基づき、公文書公開請求をすることになりますが、議事録での発言者の氏名が載るのかと担当部署に詰め寄ったところ、この度の市民枠委員選出に係る意向確認の際、発言者名を公開するか否かについては全く触れていないことが判明致しました。となりますと、発言者名は黒塗りになる可能性が極めて高いのです。既に初会合を行った中小企業振興基本条例制定検討懇話会も非公開でした。
 ところが、市長は選挙マニフェストにおけるワンダーランド構想に係る宣言4で、「公平で、隠しごとのない、クリーンな市役所行政を推進」と謳っており、これと矛盾することになりかねません。
 因みに前市長も、ガラス張り政治を標榜されたものの、私が中学校給食検討委員会の議事録を公開請求して取り寄せた際、発言されたPTA代表委員の氏名が一旦黒塗りにされた経緯があります。それはおかしいと疑義を訴えたところ、行政不服審査法に基づく審査請求をするまでに黒塗りが消え、大逆転したのです。
 また、前市長時代に都市計画マスタープラン検討委員会が設置されましたが、これは流石に公開され、私も傍聴したことが何度かあります。但し一人の委員が、実現性に乏しいJR呉線立体交差事業は削除すべきと意見したところ、座長が委員間討議を行わず、事務局である市の担当部署に答えさせてそれで幕引きを図ったことを目撃しました。素案を作成した市に答弁させるだけで、委員間討議を行うことなく、それに同意するのが諮問機関の実態と言えましょう。
 ただ、この度のくれワンダーランド構想推進会議は、そもそも市長の頭の中にこうしたいという具体案がないようなので、事務局たる担当部署も素案を作成する必要性に乏しいため、闊達な議論になるよう期待はしておきましょう。
 一方、ワンダーランド構想会議の分科会として、有識者4名で構成する「呉駅周辺地域総合開発に関する懇談会」がこの度新設され、来る5月2日に初会合が持たれます。これも非公開です。
 ただこれは、市長の頭の中に、呉駅前広場に止まらず呉駅舎やそごうも含めての構想があるようなので、具体的諮問がなされる可能性もあります。くれワンダーランド構想の中で、市長選時から唯一具体的だったのが、呉駅周辺総合開発なのです。
 年4回程度開催し、委員は専門家ばかりなので、国の諮問機関ばりに突っ込んだ意見が出ることを期待しておきましょう。
 但し、大学院工学系研究科の教授と准教授とが4名中2名を占めており、市長人脈とは言え、偏っているのが心配ではあります。更に会議出席毎の報酬1万円以外に、1名は東京からの往復旅費や宿泊費が別途かかりますので、これも通常の諮問機関と比べて、かなり税金の支出が膨らむことが想定されます。
 通常は、JR西日本㈱、広島電鉄㈱、㈱そごう・西武、呉駅構内タクシー協会、呉警察署、県とか関係者で構成するものですが、今回はそれの前段となる骨子を検討するのでしょうか?だとしたら、現実性に乏しい空虚な議論にならねばと心配しております。
 いずれにしても、これら審議の行方を今後もしっかりと見守って行く所存です。

Facebook 2018.5.1

校務支援システムでインストール料二重払い予算が発覚!

 本日は137回目の街頭演説。この日からクールビズ期間に突入し、ノーネクタイでの出で立ちとなりました。テーマは、学校教員における校務支援システムについてです。
 これは教員の働き方改革の一環として、業務量を減らすために、呉市教育委員会が平成29年度に、中学校教諭に限って初導入致しました。即ち、児童生徒の成績表、指導要録、出席簿、進路の推薦書の4つの分野において、入力でき且つ集計や分析が自動的にできるシステムであり、これまで手作業で作成していた文書がシステム上で入力作成できるため、事務作業の効率化が図れるという優れものです。
 実は、公立学校教員はその勤務の特殊性から、教育職員給与特措法第3条により、時間外手当が支払われない代わりに、俸給体系が通常より高く設定されています。となりますと、遅くまで学校に居残りされたり、児童生徒のテスト採点や、授業準備、保護者への相談対応など、家庭への持ち帰り業務も日常茶飯事です。
 この多忙さ故に、児童生徒と向き合う時間が制約され、学校教育に支障が出て来ているのも事実です。そこで呉市教委は、これまで県に対して報告事務の軽減をお願いして来た経緯があります。その様な中で、全国で事例が増えている校務支援システムの導入が持ち上がりました。
 29年度、中学校への導入予算は201万円ということで、呉市議会は予算議決を致しました。ところがこれは全体契約の初年度のみの予算だったことが、後から明らかになり、実際は29年9月から34年8月までの5年リースだったのです。5年契約の総事業費は約1,957万円となるのです。
 しかも、各教諭が使用しているパソコンは、30年8月までの5年リースですので、29年度のシステムインストール料224万円は、30年9月以降のパソコン貸与契約が新たに生じますので、再インストール料が同額必要となるのです。つまり、5年間の契約期間に1度でいいインストール料を、2度払いしなければならないのです。
 これら、契約の全体像について、新規予算にも関わらず市教委は、議会に一切説明しないまま、予算審議に突入したのです。つまり内容が議員にとって全く分からないまま、議決されたことになり、議会軽視も甚だしいと言えましょう。
 おまけにリース契約は5年間ですが、予算は年度毎の議決を必要と致します。ということは、契約後の次年度以降、予算が万一否決された場合は、契約解除条項が契約書に記載されているので、業者は泣く泣くこれに従わざるを得ず、損害賠償請求もできず、呉市にとって違約金も発生しません。これは公共団体がメーカーに対し強い立場での契約を押しつけることに繋がり、独占禁止法違反の気配さえ感じます。ただこれが表立って問題化しないのは、議会がイエスマンで全て議決して来たからだけの理由によるのです。
 地方自治法では、これら5年間の契約期間に係る全体予算を、自治体の単年度会計における初年度予算で担保するには、「債務負担行為」を設定すれば可能としており、こうすれば総事業費が明確になるだけでなく、予算審議も深まったはずです。ところが呉市は、債務負担行為をしなくてもできる地方自治法による特例を使いました。即ち長期継続契約条例に、ソフトフウェアやプログラムが付随する場合を含めた物品の購入や賃貸借契約において、例え複数年度に跨がる契約であっても、債務負担行為を設定せずに、予算を毎年度継続的に計上できるとしており、問題ないと強弁しました。つまり、校務支援システムはプログラムであり、それは物品たる教員のパソコンにインストールし、サーバーは学校毎に設置しており継続的に必要なことで、敢えて債務負担行為設定はしなくてもよいという意味です。 但し校務支援システムは、必ずしも教育現場で必要としないプログラムなので、それを敢えて導入するなら、5年間のリース契約を予算担保する必要があるというのが私の主張なのです。実際長期継続契約条例は「できる規定」なので、必ずしもそうしなくてもよいことが、この背景にあります。
 そこで呉市教委は、1年遅れて小学校においても、30年度予算に校務支援システム導入予算を計上する際、私の主張を受け入れて債務負担行為を設定したのでした。即ち30年度予算には390万円を計上し、31年度から35年度までのリース料を3,020万円、30年9月から35年8月までの5年リース期間全体で、3,410万円としたのです。ということは、小中合わせて5年間契約で4,367万円となります。これが、呉市立全小中学校へ導入する校務支援システムに係る総事業費なのです。
 では、リース契約が切れたらどうなるのでしょうか?コピー機の様にそれを延長すれば、年間リース料が1/10程度で収まるのでしょうか?私が先の予算委員会でこの点を糺しますと、保守料金が必要なことと、学習指導要領が4年に一度改定されことに対応するために、改めてリース契約を締結したいとの答弁が返って来ました。ということは、この約4,300万円は、普及が進んで価格が下がらない限り、5年に一度半永久的に新たに必要な支出額になります。
 私はリース期間を延長すれば、システムインストール費用は不要なので、できるだけこれを継続することで、経費を抑制できるのではないかとみています。今後の課題として、精査を行って参ります。
 
 一方、昨年度から導入した中学校における校務支援システムにおいて、2年目に当たるリース料に係る新年度予算は344万円であることが判りました。因みに契約相手は、㈱新星工業です。加えて、教諭の既存パソコンのリース期間は1年ずれていて、今年度満期になるため、改めてシステムを再インストールする必要があるというのです。その費用は別途224万円です。
 ということは、既存パソコンのリース期間に合わせ、校務支援システム契約を1年遅らせておれば、再インストールは不要だったのです。
 しかも小学校において、既存パソコンのリース契約が、中学校と比べやはり1年遅れていることが判明致しました。となりますと、小学校は今年9月にインストールして288万円を要した後、来年度は再インストール料が同額かかってしまうことになります。つまり、税金の二重投資になるのは明白です。
 ということは、中学校の校務支援システム導入は、既存パソコンのリース契約が切れる30年度から行い、小学校のそれは31年度からにすれば、再インストール料は発生しなかったことになります。敢えて1年早く導入したがために、合計512万円の血税が無駄になるということなのです。
 では何故このような無駄が、堂々と財務部の予算査定を通過したのでしょうか?行財政改革を謳う呉市において、考えられないことです。これは29年度に中学校において1年早く校務支援システムを導入することが、その年の秋にある市長選挙にプラスになるとの計算が働き、市長命令だったと言われても仕方ないでしょう。
 以前小笠原市長が、公立小中学校通学定期代を無料化したのが、市長選挙のあった平成17年度予算だったことも選挙対策でした。この様な首長による選挙対策的ばらまきの背景を見抜かねばなりません。教育委員会は市長部局と独立した機関であると、地方教育行政法で謳いつつ、その実、市長が自身のイエスマンを教育長に推薦して議会同意を得る現代の仕組みは、プロの教育行政を市民代表である教育委員が制御するという「レイマンコントロール」が機能していないのです。
 そこで私は、次回契約から再インストールが不要なように、校務支援システムの期間延長を促して参る所存です。

Facebook 2018.5.17

そごう再々開発を白紙撤回?危険な呉駅周辺総合開発

 ゴールデンウィーク明けの5月8日は、138回目の街頭演説。テーマは、呉駅周辺地域総合開発についてです。
呉市長は新年度予算300万円に基づき、市長諮問機関である呉駅周辺地域総合開発に関する懇談会の初会合を、去る5月2日に開催しました。これは、くれワンダーランド構想推進会議の分科会の位置付けで、4人の有識者で構成。具体的には、東京大学大学院教授、広島大学大学院准教授、都市再生機構理事、道路新産業開発機構理事の4名です。
 前市長は呉駅前広場を再整備すると訴えましたが、新市長は、このエリヤを更に呉駅舎を含む、堺川から二河川までに拡大して、駅前周辺地域の総合開発を目指すとしています。呉市の重要な方向性を担う会議にも関わらず、先の呉市中小企業振興基本条例制定検討懇話会の初会合に続き、非公開となりました。
 にも関わらず、翌日の新聞にその一端がすっぱ抜かれたのには驚きです。委員が突撃取材を受け、その情報を漏らしたことになります。そしてその内容は、そごう跡地再開発を白紙に戻すというものでした。これは委員間同士の自由討議に現れた一コマでしょうから、確定した訳でもないと、市側は主張するでしょう。何故なら非公開とあって、その内容は議会にもまだ報告されていないからです。
 ここで、そごう呉店跡地の再々開発のこれまでの方針を説明致します。これは昨年9月に呉市議会総務委員会で公表されました。スケジュールが示されない極めて珍しい勇み足的内容だったのは、前市長が市長選挙に有利導くために踏み切ったと囁かれています。
 それによると、建物と土地に係る権利者9者を3者に集約することで、再開発を進めるというものです。その3者とは呉市、㈱そごう・西武、日本通運㈱です。その3者で構成する呉駅西再開発ビル管理組合が公募した上で、土地・建物の権利を一括売却する方針でした。
 その条件として、5千㎡を商業施設、その内3千㎡を飲食・物販施設にするという設定です。その部分に関し、建物を改修する場合は3億円を上限とし呉市補助、建物を建て替える場合は5億円を上限とした呉市補助を検討していると踏み込んだのです。
 この場合の呉市の考えは、売却価格を競争させるのではなく、あくまで呉市にとって経済効果が最も期待できる施設を民間主導で誘致するというものでした。これでは価格が叩かれる可能性があるということで、民間の一部権利者が難色を示し、再々開発が5年間も進まなかったのです。
 となりますと、建物の権利床を77%も所有している㈱そごう・西武は、その間呉市に固定資産税を納付し続けなければなりません。そこで同社が折れて、民間権利者から現在の市場相場価格で権利を一旦買い取った訳です。
 ところが、あれから半年が経過しても一向に話が進みません。これは権利集約がまだ完結していないのか、新市長が方針を変えたかどちらかであることを意味します。つまり相手があることなので、呉市の思惑一辺倒では事が進まないことも考えられますし、市長の思惑で事がストップしているのかどちらかでしょう。実際、昨年度呉駅前地区再整備基本計画策定費1千万円を前市長が予算化しましたが、それを市長選後に390万円の調査でストップさせたことから、後者の可能性がちらついて来ました。 
 とは言っても、この3者集約が完結すれば、このビルだけでも土地とセットで再々開発が進む所まで来ていました。しかも前政権では、呉駅前地区再整備は呉市主導で、そごう跡地再々開発は民間主導で、と明確に分けることを、私の質問に対して答弁しているのです。
 この度の懇談会では、呉駅周辺地域における総合開発を検討するということで、目前に迫っていたそごう再々開発を一旦白紙に戻したのです。つまり前政権が組んだ予算を伴う施策とも完全に矛盾しており、正にこれまでの方針を撤回したことになりましょう。
 この方向性で議論が進むのは大変危険です。そごうのみの再々開発でさえ、権利者の合意や権利集約に5年もかかっているのです。これを更にエリヤを拡げて、広島駅前の様に総合開発しようとするなら、権利関係が複層し、相手の思惑も絡むことから、進まなくなるでしょう。そごうが幽霊屋敷と化してしまうのは必定です。そうなりますと、益々そごう跡地の市場価格が下がり、呉市やそごう・西武にとってもマイナスとなるのです。ましてや経済にも大きな悪影響を及ぼします。
 呉市は人口減にさいなまされ、税収も減る一方なのですから、身の丈にあった小幅な開発に止めるべきなのです。背伸びをして大規模開発に手を染めようものなら、経済活性化の道は却って遠のき、財政逼迫要因にもなってしまいます。それでなくとも、今年度から5年間で財政赤字が109億円と算出しているのですから、大規模開発事業に手を染めようものなら、一層の財政赤字を招くのは必定です。
 結局市長マニフェストのくれワンダーランド構想、そしてその目玉と自負される呉駅周辺地域総合開発は、財政赤字を招く大型開発ではないか、その様な懸念が増大したというのが現段階での私の見解です。
 一方、有識者4名が呉市の長期基本構想、都市計画マスタープラン、歴史や財政状況、を熟知されているとは到底考えられません。しかも4名の委員の内、3名が東京から来ておられるのです。過去市長諮問機関において、県外から委員を招聘したのは余り例がないと思います。ということは、報酬の他に旅費・宿泊費を別途支給する必要が出る訳で、これがこの度の300万円という、諮問機関への報酬にしては大きい金額になっていることの要因だった訳です。
 東京から呼んで自由に意見を交わされ、呉市の目玉施策の方向性をいたずらに膨らませれば、長期基本計画に矛盾をきたすどころか、更に夢物語に帰結すれば税金の無駄遣いになってしまうリスクを大いに孕んでいるのです。前市長がマニフェストでJR呉線の複線化を公言し、夢物語に終わった苦い経験があるのです。この時も2年間に亘って調査費と諮問機関設置費として2千万円を組み、血税をどぶに流してしまいました。
 私は、選挙目当てに大風呂敷を広げるこれらの危険な兆候に待ったをかけるべく、今後も訴え続けて参る所存です。

Facebook 2018.5.22

老人集会所の正しい指定管理対策を提唱!

 去る5月14日は139回目の街頭演説。テーマは、老人集会所の管理運営についてです。尚この日は、後から来た国会議員の演説と同時進行となりました。
 呉市は以前から、市が設置した老人集会所を各地区社会福祉協議会に管理運営を委託して来た歴史があり、それを継続させて、地方自治法改正に伴い指定管理制度を導入しました。指定管理とは、公共施設を行政に成り代わって管理運営することで、会社法人や任意団体でも受託が可能となっています。但し、その契約に当たっては、議会の議決を必要とし、大変責任が重くなっています。
 私は、先月から第四地区自治会連合会長を仰せつかり、その当て職として、第四地区社会福祉協議会の会長に選任されました。従いまして、同地区内にある2箇所の老人集会所における指定管理者としての責任がある訳です。
 
 先ず問題なのは、本来なら契約の相手方である各地区社会福祉協議会に指定管理料を振り込んでいない場合が、老人集会所全37施設の内、22施設もあるということです。その具体的な内訳は、運営委員会が12施設、会計担当者に8施設、管理人に2施設となっています。ここでいう運営委員会とは、当該老人集会所を使用する近隣の複数の自治会で組織した任意団体のことです。
 因みに本来の姿である、地区社協に直接振り込んでいるのが、残りの15施設、7地区社協となります。地区社協に指定管理料が振り込まれないと、地区社協としての会計処理や監査ができない場合が多いと推察致します。これでは地区社協が指定管理者であること自体がおかしくなります。実際この様な場合、呉市が指定管理議案を議会提出する際、指定管理者候補の決算状況や老人集会所毎の決算や予算が議案資料として提出されますが、それらは、指定管理者ではなく、市の職員が作成していることが判明しており、言わば自作自演となっているのです。
 第二として、指定管理料が一施設につき年間74,057円と低額に抑えられていることで、施設毎に使用料規定を設定し、それを光熱費や維持補修費に充てざるを得ないことです。
 実は、呉市老人集会所条例には使用料規定がありません。従って、条例根拠がないにも関わらず、利用者から使用料を徴収するのは条例違反となる可能性が高いのです。まちづくりセンターや生涯学習センター(つばき会館)、きんろうプラザ、スポーツ施設等で会場使用料を徴収するのは、各々行政財産としての設置管理条例を定め、その中に使用料規定があるからに他なりません。逆に使用料規定がないにも関わらず使用料の徴収はできないことになっているのです。
 呉市は、「使用料といっても、損耗料としての実費徴収なので、実質的には使用料ではない」と逃げの答弁ですが、規定を定めて料金を徴収すれば、使用料に該当するというのが、国税局の見解なのです。
 では何故、老人集会所のみ使用料規定がないのでしょうか?それは過去厚生省が老人福祉法に基づき、本施設の建設に対し、手厚い補助制度を有していたからです。老人福祉に貢献するため、全国多くの自治体で、使用料が無料となっているものと推察されます。
 ということは高齢者限定使用かというと、決してそうではありません。条例の目的条項には、老人福祉のみならず地域コミュニティに寄与するとあり、つまり誰でも利用ができることになっているのです。にも関わらず使用料が無料というのでは、受益者負担が貫かれていないことになります。呉市も今年度から第3次行政改革実施計画を策定し、その中には受益者負担原則の徹底を謳っているのですから、本計画との整合性も図る必要があるでしょう。
しかも、施設によって利用度が異なりますので、その使用料規定は集会所毎に異なります。更に黒字が大幅に出ていれば、その余剰金を管理人に報酬として支払い、その分座布団をクリーニングして頂くなど、プラスアルファーの管理が可能となります。
 ところが利用度が低い施設だとそうは行きません。つまり、鍵の受け渡しや予約受付等を行う管理人に対する報酬に差が出て不公平になるということです。実際ある集会所では、当初は指定管理料とは別途収支における余剰金から毎年30万円を支払っていましたが、利用が極端に落ち込んだことで、それを全額削減致しました。
 おまけに使用料確保のため、自治会等公共的団体が使用する場合でも使用料を徴収して収入に充てています。これが余裕のある施設ですと、公共的団体による使用の場合は、使用料が免除されていますので、ここでも不公平が明らかに存在します。
第三は税金問題です。管理人に報酬を支払えば、一般的に給与とみなされ、支払う側が源泉徴収をせねばなりません。また、使用料規定を設定すれば法人税法施行令第5条に明記されている収益事業の席貸し業に当たりますので、地区社協として法人税を申告する義務が生じます。万一使用料規定を設定しなかったとしても、指定管理を受託することで、収益事業の請負業に該当するため、やはり法人税申告は免れない訳です。
 またもし法人税申告したとして、収益が8%程度未満なら、所得割は賦課されませんが、法人県民税均等割が2万円、法人市民税均等割が5万円と、例え赤字になったとしても年間合計7万円が課税されるのです。加えて我が広島県の場合は、森林税千円が別途賦課されます。
 これらの対策として、私はいくつかの提案をして参りました。
 第一に、指定管理者たる地区社会福祉協議会が、総会で指定管理料収受を含む運営をきちっと把握し、監査できる体制を構築するよう、呉市が指導することです。そのためには人材育成や研修が避けて通れません。
 第二に、老人集会所条例を改正して使用料規定を設定することです。施設毎にその老朽度、便益度、立地条件、利用度等様々ですので、あくまでもマックス使用料を条例に盛り込み、その範囲内で指定管理者が使用料規定を各々作成し、呉市長が承認するのです。
 呉市としては、できたらこれら施設を普通財産化して、意欲のある地区社協に無償譲渡や無償貸与することを検討しているようです。しかし、無償譲渡を受ければその地区社協は将来建て替える必要が出て来て、そのために減価償却費を積む必要性から収益を圧迫致します。同様に無償貸与だったとしても、大規模修繕は地区社協で行わざるを得ず、やはり修繕引当金を積み、収益を圧迫するのは必定です。
 これに対し、指定管理契約であれば、協定での金額ラインを超える修繕が必要な場合は、指定管理者ではなく、市が負担して改修するため荷が軽い訳です。ということで、こられの案は現実的ではありませんし、どこも引き受けてくれないでしょう。
 第三として、地区社協やまちづくり委員会を兼務する事務局員を、優秀な市役所OB等から嘱託雇用し、きちっと事務を行うことです。その人件費分を呉市が補助する制度を構築するのです。現在、市民センターがある旧市内や合併町では、それら事務を全て市職員が行っており、地域協働の人材が一向に育たず、見せかけの地域協働に陥っているのです。しかも、旧市内の第2地区から川原石地区までの中央9地区においては、市民センターがないため、それらの事務は全て市民が行っており、大きな不公平となっています。新市長は、不公平はいけないと宣言しているのですから、それを実践すべきなのです。
 そして第四は、公共的団体が公共的活動を行う場合、例え収益事業であったとしても、法人県市民税均等割を免除する制度を、県と県内市町が一体となって構築することです。この公共的団体が脱税しているのを目をつむっているのは、全国共通と思われます。つまり法人税法や地方税法が実態に合致していない現状があるのです。
 ですから、先ず呉市から広島県に訴え、制度化すれば他の都道府県も同制度を導入し、やがては国の制度として税法改正を行うところまで行き着くでしょう。
 これらの改革案は、地域協働を展開して行く上で、必要不可欠だと私は考えており、今後も訴えて参る所存です。

Facebook 2018.5.27

定住モニターツアー失敗と重なる移住促進宿泊助成!

 去る5月22日は140回目の街頭演説。テーマは定住促進策についてです。
 呉市は、住宅政策課を設置して、人口減対策として、様々な人口流入・定住施策を打ち出して来ました。特に、平成28年度に新規予算化した子育て世帯住宅取得助成(1/2助成、上限30万円)や移住希望者住宅取得助成(1/2助成、上限50万円)がそれです。これらには国庫補助はありませんから、財源は全て血税となります。
さて、新市長体制に入って初の新年度予算に、移住促進宿泊助成30万円がつきました。これは、広島県の片道交通費支援制度と連動させ、呉市が追加助成するものです。
 先ず片道交通費支援制度とは、就職等の理由で首都圏たる東京都、埼玉、神奈川、千葉各県から広島県内へ移住を検討する者に対し、往路若しくは帰路のどちらか安価な交通費に対して助成するもので、2万円を限度としています。因みに平成27年度は80組の内15組が県内に転入、28年度も80組が利用し、16組が転入した実績を持っています。 呉市は、この制度を活用する人を対象に、更に1泊5千円を限度に3泊まで宿泊費の助成を行います。但しこの新制度は、政府の進める地方創生を受けた、広島中央地域連携中枢都市圏における適用となり、呉市以外にも東広島市、竹原市、江田島市、海田町、坂町、熊野町、大崎上島町が対象となります。財源は特別交付税に付加されるという建前になっていますが、これは内訳が明記されていませんので、実際それが反映されているかは不確かで、国にとって地方を動かす巧妙な手段とも言えましょう。
 
 ところで予算額30万円といっても、その内10万円は啓発リーフレットの作成費ですので、実際の助成額は20万円となります。即ち40泊分となり、1回2泊平均とすると20回分の予算枠となります。
問題は、僅かな血税であったとしても、移住が決まっていない人を対象に、そこまで投じてよいのかという素朴な疑問がある訳です。県の過去の実績を見ても、移住決定率は約2割ですので、残りの8割はどぶに捨てる結果となります。
実は前市長が初当選した時も、当時定住対策室を設置し、新規予算として住宅モニターツアーを企画計上した経緯があります。これは呉市に移住を希望する世帯を公募し、それらの方々に試し滞在してもらい、その期間内に定住を決断してもらうものでした。当初、応募者が殆どいなかったため、補正予算を組むことなく、呉市への交通費を無料化して再公募した結果、複数組の応募がありました。
 これを18年度と19年度の2ヶ年に亘って実施した結果は、市内の物件購入が決まったのは僅か1組に止まりました。しかもその方は別荘を購入したのであって、住民票の移転はゼロだったという、苦い経験があるのです。しかも、滞在期間に、市の担当者が合併町を案内して回り、それに係った目に見えない人件費が消えたことも、大きな反省点です。
 いつも新市長になったら、このようなばらまき予算を組み、結果は徒労に帰結しているのです。本当に呉市に魅力を感じ、移住を求めて来られる方々は、自然な環境の中での田舎暮らしを切望されている場合が殆どで、それは総合的な施策をPRすることで、獲得できるのです。当時私が失敗を指摘したことで、定住モニターツアーは2年間で廃止され、定住対策室もなくなりました。
 一方、定住対策を首長選挙で訴えて当選された首長が、子育て世帯が転入される場合、市有地を無償貸与するというような施策展開をしている自治体も、全国で会間見られます。ですが、人口が数千人にも満たない自治体がこの様な厚遇をするケースが多く、呉市の様に20万人規模の中核市において、多額な公費を投じて1~2世帯移住して来ても、その効果は雀の涙程しかありません。
 これでは、自治体間における単なる人口の奪い合いにしかならず、自治体エゴのそしりを免れません。そんな目先の施策展開よりも、少子高齢化対策は国が方針の抜本的転換を図ることが求められます。その大きな柱が食の改善です。農薬栽培、遺伝子組み換え食品が横行し、ワクチン勧奨、医療・薬剤漬け行政からの脱却を図らねば、この少子高齢化という呪縛は解けず、真の地方創生は訪れないのです。
 現在の国策たるアベノミクスは、大幅な金融緩和と円安誘導策で輸出産業を活性化し、大企業と大都市には有効ではありますが、反面地域格差、大企業と中小零細企業、貧富の差が拡大するだけです。これでは地方創生が成り立たないので、地方創生法を制定し、ばらまき予算を組んでいるに過ぎず、対症療法の域を出ていないのです。
 ここから変えていかないと、呉市だけで定住を促進し、人口を増やすことなどありえません。木を見て森を見ない行政から脱却すべきなのです。

Facebook2018.6.1

消防団員への報酬は、個人への直接振込に是正せよ!

 去る5月28日は、141回目の街頭演説。協力者である暫定相棒の最終日となりました。
さて、5月23日に岡山市消防団の団員報酬問題が浮上しました。これは岡山市消防団99分団の内、実に67分団が団員の報酬が振り込まれる個々の通帳を一括管理していたことが判明、岡山市消防局が指導に乗り出したというものです。
 消防団員は、地方自治法で特別職公務員と位置付けられており、その業務への対価として報酬を自治体が支払っています。報酬である限り、団員個人々々に対して支払われるのは当然です。それが岡山市では、個人通帳を分団毎に管理していた訳で、個人に対して報酬が支払われないのと同義であるため、甚だ不適切というものです。
 それでは我が呉市消防団の場合、どうなっているのでしょうか?実は、多くの分団で、団員の同意を取った上ではありますが、分団通帳で一括管理を行っておりました。これでは、折角活動してもその対価が団員個人に対して支払われないことになります。
 では、何故分団で一括管理する必要があったのかを考えてみましょう。
 各分団では団員相互の意思疎通を図るため、親睦の場、例えば旅行や懇親会を開催しています。この時の経費に充てるのが一括管理の趣旨なのです。これに対し、報酬を個人毎に支払えば、旅行会や飲み会の席にはその都度会費を参加者個人から徴収する必要があり、参加者が激減するのは目に見えています。
 つまり、半強制的に参加させるシステムを確立していたのです。勿論参加しなかった場合にお金が還付されませんので、参加しなければ損になります。だから参加率が必然と高くなり、親睦が図れるという訳です。
 しかし、本当にそうでしょうか?酒類が飲めない方、コミュニケーションが苦手な方は苦痛であって、自身の報酬がその様なものに使われてしまうのは不満であったことは想像に難くありません。旅行会にしても、都合が悪く日程が合わなかった場合も、そのお金は返って来ないのです。参加できない方の報酬が参加する方の費用に消える理屈です。
 しかも、団員は7階級に別れており、階級毎に固定報酬額が異なります。具体的には、年額として、団長82,500円、副団長69,000円、分団長50,500円、副分団長45,500円、部長39,500円、班長37,000円、団員36,000円と、国で基準が定められており、呉市ではこの額を踏襲しています。
 因みにこの度問題となった岡山市では、団員が21,000円ということですから、かなり低いことが判ります。この報酬設定は自治体裁量となっています。因みに通達において、5万円以上の報酬に対しては源泉徴収されます。
 ということは、分団毎に親睦を図っていますので、同じ分団内で、会計への貢献度も個人差があり、それに関わらず飲み会や旅行会の負担は同じですので、不公平がある訳です。
 加えて訓練参加や、火事・災害現場への出動には、その都度費用弁償が支払われます。退職者、自営業者、サラリーマンではいざという時の出動に差が出るのは仕方ありません。ということは、多く出動された方程、それに係る費用弁償額が大きく、会計への貢献度が大きくなりますので、ここでも不公平が存在していることになります。
 一部団員や団員OBからも不満の声は確かに聞こえていました。自身が働いたことによる対価を家計へ手助けする道も閉ざされていたのです。
 末端の団員が動いた結果、一部の分団では、費用弁償だけは団員に分配することを勝ち取った所もあったと聞いています。またこの問題は、10余年前に消防局内で改革の動きが出たことはあったようですが、もみ消された経緯があるとの話も、局OBの方から伺いました。
 そこで私は、平成27年9月、呉市議会26年度決算においてこのタブー視された問題を採り上げ、当局の姿勢を糺した経緯があります。その際一部の議員から反発を受けはしましたが、私の正論を受け、呉市消防局は改革を断行したのです。
 それは、一旦各分団の通帳に所属分団員の報酬と費用弁償を一括振り込むものの、その後分団長から各団員に報酬・弁償明細に沿って分配するという手法への大転換です。そのため、ちゃんと報酬等を受け取ったという受領印を分団員に押させ、それを消防局へ提出させるのです。
 岡山市の新聞記事を受けて私は、市当局に対し調査を行いましたが、全ての分団において、全団員の受領印が押されているということでした。これなら岡山市と違って、表面上は確かに各団員に報酬等が支払われていることになります。
 しかし、一旦支払っておいて、後日分団長に返却させるという一部団員の声も届いておりますが、証拠や明確な公益通報がないため、消防局としてそれを確かめる手立てを持ち合わせていないのが実情なのです。
ということは、会計課の手間は増えるでしょうが、やはり本来の姿である、個人口座毎への直接振込を断行することしかないと考えます。岡山市の場合はこの様にしていても、通帳そのものが一括管理になっていたのですから、大きな抜け道だったと言えましょう。 私は消防局に対し、早急に直接振込への転換をするよう促しました。
 一方、岡山市消防団では、平成27~28年度の2年間で、費用弁償の支払いがなかった、即ち訓練や災害時出場が皆無だった団員が348名もいたそうです。この内夜間の巡視活動を自主的に行った団員は320人いたということです。
 これに対する呉市消防局の見解は、この種の活動をするのは、消防団員としての務めだから、出動が皆無であったとしても団員の務めを果たしており、問題ないとの見解ですが、私の見解は違います。この種の活動は青少年補導員、交通安全推進員、PTA、自治会役員等も行っており、こちらは全てボランティアで、完全な無償です。しかし消防団員は報酬がありますから、これも大きな不公平です。
 私は、訓練が皆無で、且つ災害があったにも関わらず出動が全くなかった団員は、登録だけの幽霊団員、或いは税金泥棒と言われても仕方がないのではないか、と思います。今後実態を調査し、改善策を講ずるよう当局に要請したところです。